まさにこれがアメリカンドリーム
元気がない時に聞きたい曲NO.1
『ロッキー』というとお決まりのあの曲です。トランペットと共に始まるこの曲は、サビがすこし遅めで始まるのですが、そこがまた良いのです。ロッキーのトレーニング風景と共に流れてくるこの曲は、不思議と力が湧いて来ます。なぜかガッツポーズをしたくなるのは、やはり映画の影響でしょうか(笑)。作曲をされたビル・コンティ氏はこの後も『ロッキー』シリーズを担当していますが、やっぱり『ロッキー』といえばこの「GonnaFlyNow」が真っ先に思い浮かびます。落ち込んだ時には必ずこの曲が聞きたくなります。
スポ根とは違う
私も、私の両親もスポーツはあまり得意ではなく、ボクシングの試合もテレビでたまに見る程度でした。しかし、両親がシルヴェスター・スタローンのファンだった事からこの『ロッキー』も見ました。正直に言うと最初はあまり見る気は起きませんでした。ボクシングには興味もなかったし、生卵をガバガバ飲むシーンはかなり衝撃的でした。ですが、ストーリーが魅力的で気が付いたら夢中になって見ていました。三流ボクサーで、自堕落な生活を送っていたロッキーは、トレーナーのミッキーにも愛想を尽かされてしまうのですが、そんな彼には片思いしている女性が居ます。そうです。エイドリアンなのです。ペットショップに毎日通い、何とかエイドリアンの気を引こうとするロッキーは、何だかとても可愛く見えたし、初デートでスケートリンクに行くシーンでは、ぎこちない2人の会話がとても素敵で、恋愛映画としての魅力もあると思います。そこで出てくるのがアポロです。かなりムカつく対戦相手です。自分の対戦相手が負傷したからといって、話題作りに無名の選手と対戦したいなんて、一体ナニサマのつもりなんでしょう。それにしても、ロッキーのアダ名が「イタリアの種馬」っていうのも考えたらすごいアダ名なんですよね。しかし、そのアダ名のおかげで対戦相手に選ばれたのですからすごいです。そして、試合は始まります。掛け率50対1というあきらかに不利な戦いですが、ロッキーは最初にダウンを奪います。それで観客の心を掴みます。しかし、さすが世界チャンピオンです。瞬く間にロッキーは不利となります。なりますがロッキーは諦めません。何度も立ち上がりファイティングポーズをとります。結局、アメリカ人も日本人もこういう展開が好きなんですよ。しかし、日本のスポ根ものとは違うのが、そこに「努力」や「根性」は出てこないという事なんですよ。あるのは「勝利」への執念と「己との戦い」なのです。試合は判定でアポロが勝ちますが、人々はロッキーの名を叫びます。そして、力を出し切ったロッキーはただひたすらにエイドリアンの名を叫び2人は抱き合います。単なるスポーツものでは終わらないところが日本とは少し違うと思いました。
ロッキーそのもの
この『ロッキー』の脚本を書いたのはスタローン本人です。今では誰もが知るハリウッドスターの彼ですが、当時はオーディションに50回以上落選していたそうです。その為、ポルノ俳優や用心棒などをして生計を立てていたそうです。そんなある時に行われた「モハメド・アリ対チャック・ウエプナー」の試合が彼を変えました。世界最強とまで言われていたアリに対し、ウェプナーは転職を繰り返しているような選手でした。誰が見ても勝敗はあきらかでした。でしたが、彼のパンチは重く、アリはダウンを奪われます。試合はもちろんアリが勝ったのですが、アリはウェプナーの事を「二度と対戦したくない相手」と言わしめたそうです。この試合をモデルにして、スタローンは『ロッキー』を書き上げました。それもたった3日で。そして、プロダクションに売り込んだのですが、プロダクションとしては脚本は気に入ったものの主演にはポール・ニューマンやアル・パチーノの名前をあげました。しかし、スタローンは自分を主演させてくれというものでした。プロダクション側は反対します。それもそうです。素晴らしい脚本なのですから、主役も人気のある実力者を使いたいと思うでしょう。しかし、スタローンだって引き下がれません。長い交渉の結果。36万ドルといった破格の脚本料は2万ドルにまで下げられたそうですし、俳優としてのギャラも最低なものだったそうです。それでも、スタローンはきっと満足だったと思うんです。実は、本来のラストでは人種差別的な思想に絶望したロッキーが試合を放棄して会場を去るというものだったらしいのです。これは、スタローン自身がイタリア系アメリカ人ほ父親とロシア系の母親との間に生まれ、人種差別的な事を経験していたからかもしれません。しかし、当時の奥様であるサーシャさんが「こんなロッキー嫌いよ」と言ってくれたおかげであのハッピーエンドになったそうです。そして、この『ロッキー』は第49回アカデミー賞作品賞を受賞し、第34回ゴールデングローブ賞ドラマ作品賞受賞。更には2006年にはアメリカ国際フィルム登録簿に新規登録されるという快挙を成し遂げました。そう思うと、スタローン自身がまるでロッキーのようですね。
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