週間少年ジャンプにて異例の将棋漫画!武士の挑戦
サラリとした画とは正反対、コアな分野を熱く描く
「このご時世に将棋できましたか!逆に熱い!!」池沢先生の前作、剣道漫画『クロガネ』のファンだった私が感じた第一印象です。週間少年ジャンプでは異例の将棋を題材にした作品に、溢れる期待感が抑えられませんでしたが、一方で最近の少年達に将棋という盤上遊戯はどのように映るのかという不安感もありました。
内容は初回から池沢ワールド全開。一能突出型の残念系主人公が思わぬ分野で突然才能が大・爆・発!将棋を知ったその日にプロ目指すという胸熱展開に不安感がどこかに旅立ちました。しかしながら、今にして思えば、そんな簡単にプロを目指すという目標を掲げるのはどうだろうと感じます。将棋や囲碁、チェスといった盤上遊戯のプロの世界の厳しさは、素人の耳にもよく聞こえてくる程です。そこに初回からど素人がプロへの道を歩む展開に抵抗感のある方もいるのではないでしょうか。
熱い展開にはそれ相応のリスクも含まれます。そんな、茨の道を歩む池沢先生は剣をペンに変えた武士(もののふ)でしょう。さすが、剣道経験者!
連載時期、半年のズレが悔やまれる
史上最年少プロ棋士となった藤井聡太四段の活躍で空前の将棋ブームが巻き起こっている中、この作品は既に全43話で完結を迎えていました。
ストーリーとしてはプロ棋士養成機関である新進棋士奨励会への入会までを描き、打ち切り終了となっております。連載時期としてはちょうど、将棋ブームが始まろうかというタイミングでの打ち切りであることから、もう一年、いや、半年でも連載時期がズレていれば将棋ブームと相まって、さらなる展開が観れたかと思うと、非常に悔やまれます。逆に言えば、先見の明があったと言えるのでしょうか。時代を先取りし過ぎた感が否めません。
どこまで魅せるか、打ち切りではあるが・・・
この作品は打ち切りではありますが、その終わり方はとても綺麗なものであると感じます。単純に決めた目標を達成するまでを描けば良いのか。それだけが漫画ではありません。先を観せない事による魅せ方もあります。もちろん長く観れる事に越した事はありませんが、中途半端に終わるよりは、未来を想像できる終わり方に魅力を感じます。そういう意味では、この作品の終わりは想像の膨らむ終わり方だったのではないでしょうか。
しかし、最終話である二年後の様子を観ると、まだまだ描きたかったものがあるのではないかと感じます。池沢先生は満足されたというコメントを残していますが、未練がないわけではないと感じずにはいられない最終話でした。
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