初めての恋に戸惑いながらも進んでいく - 日々蝶々の感想

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日々蝶々

4.504.50
画力
4.63
ストーリー
4.25
キャラクター
4.50
設定
4.38
演出
4.25
感想数
4
読んだ人
5

初めての恋に戸惑いながらも進んでいく

4.54.5
画力
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
5.0
設定
4.5
演出
4.0

目次

美しすぎる容姿の女の子

高嶺の花。柴石すいれんは高校1年生の女の子であり,ひとたび顔を見れば誰もが振り返る,美しすぎる容姿を持つ。とにかくかわいすぎて,男子たちから好意を向けられすぎて,男子と接することに臆病になってしまっている彼女は,高校でもそれは変わらず。むやみやたらに声をかけられたり,デートに誘われたり,無理やり連れて行かれそうになったり…親友のあやちゃんが守ってくれるって言っても,高校生にもなれば女の力では抵抗のしようがないこともあるわけだ。

そこで登場する川澄くん。女子がどんな生態か,全然わかっていない男の子。空手で強くなることだけを考えているような彼は,すいれんと目が合っても唯一目をそらした人物。自分に興味を示さない彼に,逆に興味を持ってしまったすいれん。そこから一気に「好き」なのだと自覚していくことになる。自分を冷やかすのではなく助けてくれた男子は川澄くんが初めて…モテるのが当たり前の人が陥る恋の罠である。

かわいすぎて困るっていう漫画だと,「I Love You Baby」(小森みっこ作)があるが,こちらも同じように女の子に守られ,自分から行動することができなかった女の子。弱かった彼女が自分から近づきたいと思える男の子と出会い,恋をして,成長していくお話だ。全体としてよく似ているんだよね。この物語の中でも男の子は女の子の扱いに慣れているわけではない,空手に打ち込む硬派な男の子。ただ,小森みっこさんのほうでは,トモくんがちゃんと先回りして気づいてくれていて,ちゃんと好きだと自覚できているところが違うんだよね。「日々蝶々」の中では,どちらも恋を知らなさすぎて,人と関わっていく方法がわからなすぎて,不器用だからうまくいかないことが多かった。好みにもよるけど,初々しさは「日々蝶々」のほうが強いと思う。

硬派すぎる寡黙な男の子

川澄くんの

女子ってよくわかんね

というセリフ。いいなーそれだけで不器用さが伝わるなーって思う。運動部って感じで,自分がすいれんを好きなのかどうかも判断できなくて…でも誰にも相談できないって思ってて悩む彼にはついついにやにやとしてしまった。

一本筋が通っていて,一生懸命で,自分に対してストイック。尊敬する後平くんに負けて骨折したときも,逆にもっとがんばんなきゃって自分を鼓舞することができ,普段から現状に甘んじていないのが好印象。そんな彼でも,わからないことはわからないし,得体のしれないものに出会うことは怖いこと。明らかにすいれんは川澄くんが好きなんだろうって思うのに,自分はどうなんだ?でも誰か別の男が彼女を助けられるのか…?自分の気持ちと向き合い,自分がどうしたいのかの答えを探していく。

一番この二人のやり取りで好きなのは,まだ好きだとは伝えきれていないけれど,2人で水曜日の放課後は一緒に帰ると約束ができたあたり。2人の距離は絶妙に離れていて,「送っていく」ってことがどういうことなのかもわからない空気。でもつかず離れず,確実に一緒にその道を歩いている。ここですいれんが意地悪っぽく曲がり角で待ち伏せしたり,振り返ればついてきてくれているのを確認して,川澄くんも負けじとわざと距離を離してみたり…萌え。早く想いを伝え合って!と叫びたいけれど,こんな曖昧なときほど楽しいんだよなと共感してしまう,「日々蝶々」の主人公たちの距離の縮まり方を表現した,名シーンだ。

何かを変えたいときは変わっていくこと

でもいつまでもその距離でいるわけにもいかない。もっとそばにいきたいと思うすいれんと,まだまだわからないことが多くて戸惑う川澄くん。やはりこういうときは女の子の方が早熟に求めるものだなと感じる。大事にしたいのは本当なのに,どう接することが誠実で,正しいことなのかって考え込んでいる彼はとてもいい子なんだけどね…同い年同士で悩むより,たぶん川澄くんには年上の女性のリードがあったほうがよかったんだろうって思うわ。

川澄くんなりに大事にして,想っているのに,それが空回りしてしまったり,恋でも空手でも先輩な後平くんの助言(というか邪魔?)もあって,

俺と付き合って楽しいっすか?

って聞いちゃう川澄くん…不器用なのはわかる。わかるが,相手だってたくさん考えているわけで,傷つくんだなーこれが。楽しいのに,なんて表現したら伝わるんだろうって,すいれんも言葉が足りないからこそ,すれ違う。このもやもや・ざわざわした気持ち,イライラさせてくれたよ、本当に。

こういうとき,やっぱり助けてくれるのは友達。りょーっちもバカだけど,川澄くんのことをよく見ているから,苦しそうなのに気づいてくれる。あやちゃんやみんながすいれんのこと助けてくれる。そうやって,相互に影響しあい,大事な時に川澄くんが迷いを吹っ切って行動に出てくれる。このあたり,男だよね。さらには,すいれんもいつまでも受け身でいるわけにはいかなくて。後平くんが告ってきたり,自分の悩みの図星を突かれたり,影響を与えてくれる人がたくさんいて,すいれんも自分から行動を起こすようになる。ずっと一緒にいたいから,自分がどう行動するべきか。未来で一緒にいるために,今何をするべきか。それを自然と考えて選択していくすいれん・川澄くん。実にさわやかで,きれいすぎるくらいだった。

目線を変えて伝えてくれる

物語の進め方としては,すいれん目線で主に進行。たまに同じシーンを川澄くん目線に変えて表現している。おかげさまで,言葉が足らなすぎる2人の行動の意味をちゃんと解釈できるから,読者に優しい設計だったと思う。考えすぎて,悩みすぎて,自分のやりたいことを押し付けるわけにもいかないって思っている2人。それをさらけ出せるまでの紆余曲折をじっくりと楽しむことができる。

普段は常に彼らの親友たちが代弁してくれているので,実によく2人を理解してくれているなーって感じる。ここまで友達想いな子たちっているのだろうかと疑問にも思うが,生涯大事にするべき友というのは,こういう与えあえる存在なんだと感じさせてくれる。

サブキャラも充実

一番の難関は後平くんだったわけだが,彼がすいれんに告ったのはまたちょっと違うっていうか…川澄くんのことを想っての行動だったはずだ。いつでも悪者っぽくしながら引っ張ってくれる後平くんにはいつまでも頭が上がらなそうだよ。最終的に小春を選んだ時は,めんどくせー男だな,と思ったけれどね。結局は姉たちから影響を受けて,似たような女を愛するってことじゃないだろうか。

そしてあやちゃんの秘密の恋もまた…胸を打ったね。最後まで告げることはなかったけれど,そういう恋もきっとある。実は誰よりも傷つくことが怖かった。すいれんがそばにいてくれることに,頼っていた自分がいたのかもしれない。りょーっちが見つけた恋する相手もまた,かわいい顔して意志の強い女の子で。お似合いすぎて,何も言えなくなるあやちゃんが,最強にかわいい。最後までこれが恋だと認めようとしなかった彼女の意地っ張り。そしてその後のすいれんとの対話…友情って,いいなーこんな人づきあいがしたいなー…と思わせてくれる。

全体としてとても爽やかでマイルド。イチャイチャするより,もどかしい歩み寄りのやり取りを楽しむ漫画であると言える。最後の最後までキスもできずに引っ張りまくったわけだが,すべてがクリアになった時にその時は自然にやってきて,すごく納得できた。すれ違ってきたものが一つになって,最初に恋を自覚した海にやってくる。なかなかいい演出ばかりであった。

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複雑な気持ちの変化をうまくあらわした作品

ちょっとずつちょっとずつ…その時間がいいですよねかわいすぎて人との付き合い方に困っている超絶美少女の柴石すいれん(しばせきすいれん)と、空手一筋硬派男子代表の川澄泰一(かわすみたいち)の恋の物語。ちょっとずつちょっとずつ。ゆっくりと進んでいく恋に、ついついときめきます。主人公がすでに美少女でしゃべる回数が少ないという設定の良さたいてい恋愛モノのマンガでは、ヒロインがかわいいか、コンプレックスありかで分かれますが、この日々蝶々では”完全に美しすぎる”という設定。主人公の柴石すいれんの設定はよくあるといえばありますが、仲の良いメンバー以外には絶対にしゃべらない奥手すぎるところ・天然でちょっとずれているところ・儚い空気感がベストマッチで、新しく思えましたね。人気が出るのもよくわかります。メインの2人(すいれんと川澄)の口数の少なさは、何となくリアルな少年少女たちを映しているように思います。と...この感想を読む

4.54.5
  • betrayerbetrayer
  • 250view
  • 3044文字
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蝶のように

好きになるのに言葉はいらない好きよりもっと、キラキラした純粋な雫のような物語だった。現代は、言葉をものすごく雑に扱っているなと思い知らされた。言葉で表現することが全てではないことを改めて感じさせられた。川澄とすいれん どちらも考えて考えた末の言葉や気持ち、お互いが丁寧に言葉も気持ちも紡ぎだしているように感じた。特に、すいれんの言葉の使い方には、とても考えさせられる。必要な時に、必要な文だけ、必要なあなたに、とっても優しい温かい言葉だった。逆に 言葉を大量に生産して消費するのは、どうなのだろうか とも考えさせられた。人と人をつなぐのは言葉だけじゃない。ただの手段である。言葉に人を縛り付ける力もない。心の優しさがあって、初めて言葉は生かされるのだ と、すいれんから思わされた。蝶のようになりたい高嶺の花よりも蝶になりたいということは、何か自由を感じさせられた。今、社会で 自由をはきちがえてい...この感想を読む

5.05.0
  • ユウナユウナ
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  • 1019文字

とにかく純粋‼︎

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4.04.0
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  • 119view
  • 555文字

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