未来の話ではない、ディストピアを描く - リベリオンの感想

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未来の話ではない、ディストピアを描く

4.04.0
映像
5.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
4.5
演出
4.0

目次

「リベリオン」が描く、目の前に迫る未来

この作品で描かれる世界は、私たちにとって遠いものではない。

「リベリオン」で描かれるのは恐ろしいほどに抑圧された世界。

それはまるで、かの有名な「マトリックス」を彷彿させる。

ただ、本作の方がよりリアリティがあり身近に感じるのは

私たちにとって身近なものが管理されているからだろう。

本、音楽、人形、当たり前のものばかりなのだ。

国家に見つからぬ様、細々と生活するリベラル達。

そして彼らを排除しようとするクラリック。

彼らが対峙する姿は、とても分かりやすい敵対関係にあるのだ。

Forget The Matrix?! でも既視感はない

本作と同様のテーマを持つ作品は少なくない。

「華氏451」「ガタカ」など、昔から映画のテーマとして愛されてきたのが

ディストピア映画である。

因みに監督は、キャッチコピーにつける程なのだから

「マトリックス」を意識しているのだろう。

しかし、本作を見ていても他作品を彷彿させないのは、

劇中に登場する架空柔術「ガン=カタ」のおかげだろう。

「マトリックス」では、キアヌ・リーブス演じるネオによるアクションシーンが有名。

今でも、あのポーズを取れば「マトリックス!」と言われるほど。

本作では、「ガン=カタ」という銃と空手を組み合わせたアクションを見る事ができる。

コンセプトは「現実的ではないが、かっこいい」。(実にアメリカっぽい!)

まるでゲームの様に、無駄な動きは一切ない。

無表情でどんどん敵をなぎ倒していくクリスチャン・ベールの姿は、惚れ惚れするものがある。

(因みに、ガン=カタは形を変えていき、

「ガン・フー」(ガン+カンフー)という名で親しまれているそうだ。

ガン・フーが見られる作品は「ジョン・ウィック」など。)

予定調和だけど、やっぱりグッとくる

結局主人公は、抑圧された世界から抜け出し、リベラル達と共に戦おうとする。

それまで黒い服を着ていた主人公が白い衣装で戦いに挑む姿は

白旗の様にも、純真無垢さを象徴する様にも、はたまた生まれ変わった様にも見える。

目的を果たしたプレストンが見せる微笑みは、なんとも涙を誘う。

映画だから、といえばそれまでだが

たった1人でも立ち向かって行こうとする姿は、とても魅力的である。

それは、冒頭の完全に洗脳された無表情のプレストンが、

少しずつ感情を取り戻していく姿を丁寧に描いていたからこそ際立つ

崇高なヒロイズムによるものであろう。

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