エロいシチュエーションを楽しむだけ
ストーリーは腑に落ちないところがある
空手道場で体を鍛えた過去があるが、彼氏をつくったり女っぽくなろうと決めた世莉。そしてモテてモテてどうしようもないが孤高を気取ってる碧樹。お互いに空手道場での出会いがあり、意識していたにもかかわらず離れてしまった。そんな2人の恋を描くのだが…腑に落ちないところだらけだ。
まず、立ちはだかる問題が現実離れしすぎているところ。宙は九条先生をレイプしちゃったということで弱みを握られていた…って言ってたけど、逆じゃね?と思うんだが。傷ついた女のほうが優位に立ってるってなんだそれ。恐ろしすぎる。そして使われる宙。世莉を襲って傷つけちゃいなさいって…世莉が好きになってた宙にはけっこうな苦しみ。わーおドロドロ。そんなことあるかい。
その後も碧樹が九条先生の策略にハマって心中されそうになる、碧樹に対抗意識バリバリの奴に襲われる、鷹来グループのよくわからん復讐に巻き込まれてボロボロになるなどなど…おーい犯罪級ですよー…校内に写真をばらまかれた結果の謹慎が3日っていう短さにもだいぶびっくりだわ。そして普通に学校に通学する世莉…なんだこの軽さは。親、何してる?愛がありゃーどんなことでも乗り越えられる…?その世界観、わかりません。碧樹の心情が測りかねるうえ、世莉の余裕もよくわからずである。何かあるたび世莉の体が狙われちゃうんだが、そればっかりが手段じゃないだろうに。頭脳戦があるとか、世莉と碧樹の気持ちの複雑さがあるとか、そういうのがほしいのだが。
長くごひいきにされている漫画ではあるが、なんで流行ったんだろうって思うストーリーである。
ドキドキを楽しみたい人にウケたのかも
エロいから、小中学生が見てみたいと思ったんじゃないだろうか。とにかくシチュエーションが多彩であり、神聖なる空手道場から、学校の教室、カラオケのボックス、外もあり、家もあり。ちょっと背徳感ある場所で、ドキドキしながら楽しむのである。人から見られているようで誰もいない、そんな場所で燃え上がっちゃうパターンもあるのだ。そして人それぞれ多少なりとも憧れがあるんじゃない?その欲望を表現してくれているから、読んでみたくなった人がいるだろう。
肝心のシーンはだいぶマイルドで、かわいい少女漫画の域を出ないようになっているがね。終始ベッタベタで周りがほとんど見えていない世莉と碧樹なので、盲目っぷりに引いてしまう人もいるかもしれない。よく考えてほしい。犯罪級のことが起こっていることに。警察を呼んだほうがよかったのになぜ呼ばない…!
自分的には、外は論外。そう思うようになった。防犯カメラはこのご時世どこにでもあるんだよ。碧樹は世莉に「誰にも見せたくないし触らせたくない」と言っているが、じゃー堂々とそんな危ない場所はやめてくれないだろうかと言いたい。見せつけているのは君である。そして世莉の抵抗は全然抵抗になっていない。だって襲われたその日ですら、むしろ碧樹とイチャコラできてうれしくなってるだろうお前。ぶんどって守ってもらえるなんて、夢のまた夢だからな!そんな状況になったらみんな逃げちゃうんだからな!
大事な空手はもういいんですか
女らしくなると決めた、世莉にはもう空手はいらないのですか?キーになっていたのは最初の方の合コンだけで、後はもう出てこないじゃないか。道場では空手をやれ!違うことするな!と言いたい。
お互いに好きだったのに、小さなころの世莉のチラ見え事件によって離れてしまった2人。恋が成就してから空手への情熱みたいなものをいつでも燃やしてくれていたら少しは共感できたのだろうが、もう世莉のことしか見えてない碧樹と、碧樹のことしか考えてない世莉には引くわ。
世莉は全然モテてない。これは間違いなくて、碧樹がモテているのだ。世莉がよからぬ連中に襲われまくるのは、碧樹がモテすぎているから。横からぶんどりたいと思うほど恋い焦がれる濃いパターンの相手が多く、逆恨みも満載。敵は碧樹に嫌われるのが怖くてその周りから攻めていく周到な輩である。世莉は寸でのところで助けられている敵に描かれているが、ほぼ完了していると思うのは気のせいだろうか。世莉のいいところって全然見えないんだよね。幼なじみだからこそのラブなのか知らないが、碧樹が世莉を好きすぎるのである。世莉は襲っていいですよと言わんばかりの行動の仕方をしているからねー許せん。そして男もまあどうぞやっちゃってくださいって言われたらそんな普通にいけるもの?浅はかすぎると思わんかね。漫画は心の機微が大事なんだよ!と言いたい。実写じゃ伝わらない、回想とか心の声とか、微妙な目線や表情の変化とか…そういうのがほしい。
謎のサスペンス的展開
九条先生のエピソードがとにかくよくわからないんだよ。確かに宙に無理矢理襲われて、消し去りたい過去だったというのはわかる。そして、その心を癒してくれた、優しくて気の合う碧樹に恋してしまったのもわかる。で、なんで世莉を誰かに襲わせることで、碧樹の心が自分の方を向くと考えられたのかが謎。それって自分がやられたことだと思うんだけど、人の事なら別に何も考えずに傷ついたのを見たって何も思わないってこと?
そして、碧樹の何を知ってるの?ってこと。碧樹がいかに世莉を好きで、なぜ離れたのかも知らずに、九条先生からみて横からいきなり出てきた女だからと攻撃できる、その無神経さが謎。怖すぎるわ九条先生。碧樹のことわかってたら、もし仮に世莉が完璧にレイプ完了されたとしても、たぶん愛していくんじゃないかなって思うよ。そして、それが自分のせいで行われたんだと知ったら、碧樹自殺するんじゃない?それを狙って一緒に死にたかったのかしら…傷ついた女は怖い。何するかが全然わからないし、感情の赴くまま、理論なんてそこにはないんだ。こんな女に引っかきまわされた世莉は、いちおう、かわいそうね。九条先生のことに関しては序盤に登場したキャラだったので、この2人、今からサスペンス劇場か?と思ったよ。恋物語にとりあえず戻ってきてくれてよかった。
鷹来グループに関しても、なぜ関係ないにもかかわらずあれだけ巻き込まれるのか納得がいっていないけどね。八つ当たりのとばっちりで、論外の展開だったと思う。これだけ謎な展開が続くと、世莉と碧樹のラブラブが唯一落ち着くところになってしまうね。夢みさせてほしいのよ。血みどろみたいわけじゃないと思うんだ、この漫画では。
これぞ最高のモノ
他に勝るものがない最高・最上のものがレンアイってことでいいだろうか?よくわからないイベントに引っ張られたが、それらに勝つには恋・愛の力だねってことでシメてみようと思う。どんなにおかしい・最悪の状況になったとしても、お互いを信頼しているから大丈夫だ。そういうことが言いたい…のかもしれない。だから絶対ないでしょっていうようなことをどんどん起こして、世莉と碧樹の気持ちを試していた。作者がキャラクターを動かして楽しんでいたのかな。
わりと早く世莉と碧樹は付き合い、今までのモヤモヤした気持ちを吹っ飛ばすようにイチャイチャしまくっていた物語だった。周囲のことに気を配ることがないくらい、お互いのことが大好きな2人。たぶん、別れないと思うね。何言われても、愛し合っていくのだろう。それこそが恋愛至上主義。これがあるからこそがんばれるっていう意味だったのかもね。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)