どうせならてっぺんまで行ってくれりゃーいいのに - フィールドの花子さんの感想

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フィールドの花子さん

3.503.50
画力
4.00
ストーリー
3.25
キャラクター
3.25
設定
3.00
演出
3.25
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どうせならてっぺんまで行ってくれりゃーいいのに

3.53.5
画力
4.0
ストーリー
3.5
キャラクター
3.5
設定
3.0
演出
3.5

目次

本当にがんばったのかがわからない

つまるところ、デクは基礎がしっかりしていて応用の効かない、実にもったいない状態であった、ということだ。あとはそれをどう使うか、というスキルの部分で劣っていたために、いつまで経ってもサッカーがうまくならなかった。そこを変えてくれたのが幽体離脱してきた花っち。彼女がデクに憑依してくれなかったら、デクは一生デクのまま、うまくなれずにただ落ちぶれていくだけだったことだろう。

ただ、デクが持っていたその体、手に入れるまで本当に大変だったと思う。その過程があまり細かく描かれていないから、使えない木偶だったデクの血のにじむような努力を見せてもらいたかった。また、少し文句を言ってみる。普段習慣としてやっていたことが、いつの間にか体の土台をつくることにつながっていたなんて、そんな無目的に鍛えても自然とそうなってるなんてこと、本当に体を鍛えている人たちに失礼だ。花っちのおかげで今までのデクではなくなって、自信を持ってがんばれるヒトになっていくが、花っちが憑依するようになってからはその基礎部分がおろそかになっていた気がする。総じてデクには共感できない点が多いのだ。

弱小チームがのし上がっていくためには、日々のトレーニングと価値観を変えるような出会い、憧れとそれに見合う努力が必要だ。5巻ではそのへんを語り切れないだろう。何より、サッカーはチームで勝つためにがんばるもの。デク1人がのし上がったところで意味はない。

あなたは何がしたかったのか

交通事故によって意識不明状態へと陥ったという花っち。なでしこジャパンに選ばれるほどの能力を持っていた彼女のこと、もっと教えてもらいたかった。意識不明となり、どんな気持ちでいるのか、そして幽体離脱によって花っちがどのように救われていくか。女の子なんだし、そんなさらっと流さないでくださいよ。感情の機微をもっと伝えてほしいわけこっちは。なのに、サッカーがやりたいってこと以外、花っちのことが全然わからない。無表情なのは、それが本体ではなくて幽体離脱状態であり、それなりに花っちも心が傷ついた状態であることを意味していたのかな…

なぜ相手がデクだったか、ということも、少しは夢みさせてくれてもいいじゃない。本当にそれは偶然だったの?実はもっと運命的なものがあった…!とかいう淡い夢を少しはさ。花っちは、デクの体を通して自分自身のサッカーとも向き合い、そして幽体離脱ではなく自分の体にきちんと戻ってやりたいことを目指す勇気をもらう。もっと泣ける話にすりゃーいいのにと思うよ。

デクがその才能を開花するにつれ、花っちのカッコいい出番は減っていく。これも、女子と男子じゃ目指せるところが違うってこと、見せつけられているようで悲しいね。デクがデクの力で自分の体を完成させていくのが、そりゃー正しいことなんだけれども、花っちあってこそのデクなんだから、下剋上・チーム作り・試合と、すべてにおいて何らかの関与がほしいわけ。

一軍に入るっていうことはそんなに簡単じゃない

甘く見るんじゃないよ!と言いたい。一軍入れ替え戦なんて、もっと過酷なもんなんだよ!まさかすぐに入れ替えのチャンスがやってくるとは…一足飛びだ。そしてキャプテンに勝利してしまうそのあっけなさ。このチーム…大丈夫?まだ花っちのことも、デクのことも、全然わからぬままにキャプテンに勝利しちゃったからね。一軍に入って、活躍するために奮闘して、たった1つの勝利に一生懸命しがみついて。スポ根漫画は泥臭いからいいのであって、初期値が高いと何となく引いて読んでしまう。

ストーリー的には、一軍に入ったからと言って輝けるわけじゃない、と言いたかったらしい。あくまでそこは通過点であり、チームとして勝利を収めることが本当に欲しい結果なのだ。デクは今までに経験したことのなかったレベルでプレーを覚えていくことになる。自分と基準値が全然異なる相手から学ぶことのほうが、実際社会でも多いからね。いきなり高いところに来ちゃったなーと思ったけれど、その世界でもがいて勝ち上がることは相当楽しそうだし、自分を成長させる近道なんだと思う。似たような連中と絡んでいても、どんぐりの背比べにすぎない。デクのいいところは、素直で、真面目で、ひたむきで、怖くても逃げない心の強さだ。花っちのおかげでその能力が活かせる場所までたどり着けたデク。これはもう恋と言っていいのだろう。

余計な恋は邪魔なんですが

花っちは確かに病院に入院していて、恋どころじゃない。しかし、妄想の中では勃発しそうだったね。宗ちゃん、デク、花子。宗ちゃんは本当に花子のことを大切な仲間だと思っているし、デクにとっても大切な人なんだけど、本当の花っちを知らないデクにとってはかなりの気後れ…挑もうにも挑めない、もどかしい関係…ぽかった。はっきり言ってどうでもいい。さっさとデクを最強にしてほしい。

そこから、デクという新たな相棒を見つけてしまった宗ちゃん。まるで花子と一緒にサッカーしてるみたい…うん、相手は筋肉の発達した花子で間違いないんだが…宗ちゃんにとってみれば同性のデクとのコンビのほうがいいよね。でもそうすると花子が悲しくなっちゃうじゃん…女だから、いつまでもコンビじゃいられない。少しせつない気持ちが漂った。勝手にだけど。そして、デクが自分の力で能力を開花させていくようになると、花っちはまた悲しい気持ちになるよね。デクを応援しているのに、応援できないような心境になる。そんな少女漫画みたいな分析をしている私は、若干気持ち悪い。

サッカーは個人プレーだけでなく、組織力で勝利するもの。チームスポーツは何でもそうだからこそ、デクのことはもちろんチーム全体の状況に焦点を当てて、みんなで強くなっていくことが大切。いつまでも花子に頼ってばかりもいられない。花子にうつつを抜かしている場合じゃないのだ。練習あるのみ!

これからも飛躍する要素はあったはず

おもしろくなってきた!というところで終了した「フィールドの花子さん」。トイレの花子さんをもじったようなタイトルで、ウケを狙ったのかなーなんて思う。いつまで続くかと思っていたらもう終了だったな~…

デクと花っちとの新しい関係性や、阿澄とのコンビ、強敵と勝負して成長していくデクたちチームの進む過程などなど…まだまだ見たいものはあったのに、花子さんはいい加減自分の体と向き合おうってことで去っていった。絵の雰囲気とか、ちょうどいいゆるさで読みやすかったのに…いろいろツッコミどころはあったとしても、なくなってしまうと寂しくなるね。

花っちあってこそのデクだから、できればもうしばらくお世話になってくれてたらよかった。ただ、花っちが事故で幽体離脱状態にあることを考えたら、早く体に戻って、自分の人生歩めるようにしてあげることのほうが大事だよね。これからは花っちもさらなる努力を重ねて、人として大きくなって、サッカーも充実させていくに違いない。

ただ、時々生きてても幽体離脱してデクに会いに来てほしいなーとは思う。どうせデクは些細なことで落ち込むのだろうから、落ち込むデクを叱りに来てほしい。もちろん、意識の戻った花子本体でも応援に来てほしいが、言いづらいことは幽体離脱で言ってやってほしいね。それでこそデクと花っちだなってところを見せてほしいものだ。

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出来損ないがサッカーの頂へ駆け上がりきってない

デクの努力の具合は…よくわからず一般的に言って、弱小チームやめっちゃ下手くそがのし上がっていくスポーツマンガの場合、必ず要となる奴がいるか地獄の練習を地道に生き抜いたかのどちらかになりますよね。それがこの「フィールドの花子さん」では主人公デクの下手くそ野郎がすでに体が出来上がっているというオチなのです。デクがへたくそだったのは、せっかく日ごろのトレーニングと祖母からのお使いをこなして鍛えた体をうまく使えていないだけだったことが判明。花っちが憑依してくれなかったら絶対にわからなかったこの事実。デク、よかったね…!がんばってたら幸運は目の前に落ちてくるんだね。実際のところ、こうやって体の使い方を知らずに選手として注目を浴びることなく終わっていく人っているのでしょうか…練習している中で、こいつは使える!ってなればコーチや監督からお声がかかるはずなので、やはり何かしら強みを持っている選手でない...この感想を読む

3.53.5
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