「花に染む」を独断と偏見で考察してみる - 花に染むの感想

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花に染む

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画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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「花に染む」を独断と偏見で考察してみる

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
4.0
演出
4.5

目次

「駅から5分」の続編として発売された「花に染む」。

第21回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作でもあり、たくさんの話題を呼んだこの作品もまた、くらもちふさこ大先生を語る上で欠かせないもの!本当に何回も読み返しては、ない頭で思考を巡らせます。

そんな花に染むを、わたしの独断と偏見を交えて語ります(石ころ投げないでネ)

この町で友と会い、礼節を知り、恋を育んだ

始まりは、序章として描かれている花乃と陽大や陽向、雛との出会いから。当時小学6年生だった花乃は陽大の流鏑馬に心を奪われます。最初は「こんなガキんちょだったっけ?」と天真爛漫な陽大に不信感を募らせる花乃でしたが、陽大の的を射抜く姿に惹かれて(後に人として惚れ込んでいると鄒に語る花乃)倭舞中の弓道部に入部することを決意します。

背中に感じる陽大の気配 甲矢と乙矢を支え持ち 騎座から腰を切って息を吐く 立ち上がる 陽大の一糸乱れぬ息遣いが私の平常心を守る

試合中はもちろんのことながら、最終話まで形は違えど花乃を守り続け、支えてきた陽大の緊張感(存在感)。度々出でくるこのフレーズには恋人や親友、そんな陳腐な言葉では表しきれない花乃と陽大を取り巻くさまざまな関係性が現れているようで、個人的にとても気に入っています。

淡い恋心を胸に秘めながら穏やかな生活を送っていた彼らの日々は、比々羅木神社の宝物殿の出火事件によって大きく変わってしまいます。この事件により、一気に両親、兄諸共を失ってしまった陽大は療養するために関西の専門ケア施設へと身を移すことになります。

「ようだい?」『陽大(はると)』

陽大が既に目覚めていることに唯一築いていた花乃をよそに、陽大は生まれ育った場所を離れることになり5巻でそこでの生活の様子や伊織との出会いが描かれています。

花乃や雛、失ってしまった家族との思い出の場所から遠く離れた環境での伊織との出会いは、陽大が自分自身と向き合う上で大きな影響を与えたように感じます。ゲームセンターで転けてしまった伊織に自然と花乃を重ねる陽大(心持ち寂しそうな表情を浮かべています)。この場面で陽大は何を思ったのでしょうか。個人的な見解としては、「姿なき家族を意識させる倭舞で生きていくことの方が辛い」と再会を果たした花乃の前で自身の心情をぽつりぽつりとこぼす陽大(1巻参照)からも推測できるように身の上を自在に仮装することで苦から逃れ、倭舞での思い出を心の片隅に閉じ込める。けれど陽大にとって特別な存在だった花乃のことは心のどこかで引っかかっていたのではないかと思います。また自身のその感情に気づいてしまった陽大は、過去と決別するために花乃の面影を意識させる伊織とは「もうキミとは二度と会わない」と言い放ちます。直接的な表現が避けられていた陽大の心情が揺らいだことが割と分かりやすく読み取れた数少ない場面だと思いました。

まだ 花を 美しいと

ケア施設で暮らす男性に借りた西行の本を片手に、花乃宛に打ったメールを見ては「これを送ること自体が執着だろ」と送らずに保存してしまいます。この場面よりも前に伊織と「はなの」の話をして「かわいかったんだ」と意味深に呟くところや鄒の幼少期の描写、伊織に「雛のこと もう二度と悪く言わないで」と真剣な表情でそう伝えるところも踏まえると、ケア施設での陽大の心情を読み取るのはすご〜く難しい!時折陽大が放つ言葉の「彼女」にさえも雛もしくは花乃のどちらが当てはまるのか疑問に思うところが多々あります。ここでの「花」は花乃を表していることは明確ですが、陽大の花乃に対する”執着”が淡い恋心の延長線上にできた執着なのか、二つとしてない親友であるからこそ生まれた執着なのかは明確には描かれていません。そもそも陽大が捨てきれずにいる”執着”は花のなのか、雛なのかもこの段階では微妙です(既にキャパオーバー)

これはわたしの個人的主観ですが、くらもちふさこ大先生の描く男性ヒロインはどれも心情が掴みにくい!でもだからこそ、くらもちふさこ大先生だけが作れる唯一無二の世界観が描けるのだろうなあ、と思います(素人のくせにめっちゃ語る)

「親友」……って言ったら 昔 笑ってくれた

全く意図が読めない陽大の行動に、最後の最後まで心を悩ます花乃でしたが運が味方をしたのか念願の雛、花乃、楼良の三人で試合に出場することになりそこで初めて陽大の真意に気付くことができます。楼良の一糸乱れぬ息遣いや、ひとつひとつの動作や立ち振る舞いに、陽大の面影や気配、そして緊張感を感じる花乃は、涙を浮かべながら的を射抜きます。

出番が終わり、一心に陽大の元へ向かおうとする花乃に「いるよ 陽大」と言って、穏やかな表情を向ける雛(ここめっちゃ感動した)。過去に同じ行動を取った陽向が連想されます。今までのほつれて解けなかった蟠りがだんだん解けていくような、そんな心が温まる場面のように感じました。

きっと 彼女の笑顔が すべて終わらせてくれる

最後の花乃と陽大が抱き合って、泣きじゃくる花乃を穏やかな表情で慰める陽大。「花に染む」の最後にふさわしい素敵なシーンでした。ていうかこの漫画に出てくるキャラクターが揃いも揃って落ち着いてることもあるけど、陽大って花乃より年下なのメッチャ萌えません?(やめろ)(急激な語彙力の低下)何はともあれ、たくさんの苦楽を共に乗り越えて支え合ってきた花乃と陽大には親友、恋人、それ以上の存在なんだろうなあ、というのがこの本を読み終えての率直な感想でした。

ここまで独断と偏見の考察をつらつらと続けてきましたが、花に染むファンの皆さんに少しでも共感して頂けたら幸いです。この度はご覧頂きありがとうございました。

花乃、陽大の未来が健やかなものでありますように、願いを込めて

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