人物描写と主義主張の分析 - 機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)の感想

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機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)

4.754.75
映像
4.75
ストーリー
4.75
キャラクター
5.00
声優
4.50
音楽
4.50
感想数
2
観た人
3

人物描写と主義主張の分析

5.05.0
映像
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ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

性格が非常につかみやすい人物描写

まず、バナージはもう「勇気ある少年」という名がふさわしいだろう。最初からユニコーンを預けられた時からその印象がありました。自分ならあそこでガンダムにのれないと思うから。だが、あそこでというか最初で父親、カーディアスが死ぬとは思わなかった。死ぬのがはやすぎる。ただ、息子思いであり、ガンダムをたくした父親心はほんんとうにすばらしい。今まで隠していたこと、自分が重い責任を持っていたことを想定するとやはり立派な父親であったのだろう。あの世界ではあのガンダムが未来への鍵であり、いわゆる世界をいいようにも悪いように変える武器である。それの行方を決める重要なポジションを守っていたカーディアスはバナージの父親としてはさすがの一言である。父親としての責任をはたしていないところはあるが、未来を考えての決断であったのだろう。1話目でそれをたくされ、父親の考えを悟り、行動にすぐにうつせたバナージには尊敬する。ただ、若いため、感情的で大人の論理には敵意をはっきり表しているところがあるが、そこは人間としての「感じる心」が何より重要だとするバナージの信念が表れている。オードりーも性格に関しては似ている部部がある。彼女の正義感はつよい。戦争は絶対防ぎたいという思いが1話目から伝わってくる。バナージに共感し、未来をよりよい方向へと進む彼女には感動させられる。特に驚きなのは行動力だ。あれだけきたない大人の政治の中で、自分を強調する彼女には女性としての強さとこだわりがにじみ出ている。最後のシーンでは箱をどのように使うか考えているが、実際答えがでていたのであろう。その結果が戦争であっても、話し合いであっても彼女は覚悟していたのだろう。

主人公以外の人物像

真実を未来にたくし、人類としての新たな一歩をふみだそうとする理想には共感できる。フルフロンタルは全く逆だったのだろう。彼は悪役ながらスペースノイドをよくしようとはしていた。ただ、やり方が違ったのだろう。箱という重要な情報が入った時、外交材料として使うのは理にかなっている。彼にはスペースノイドの民意を代弁するという信念があったに違いない。彼が残念なのはおそらく、今までの人生に絶望をもったことだろう。だから箱を未来にたくすという選択ができなかったのではないかと考える。相手が敵である以上、現実のわれわれでも情報を外交カードとして使うことは多々あることからも彼の考え方は現実的に感じられる。マリーダやジンネマンに関しては主人公たちの影響が多大にあり、考え方を変えていったのだと思う。マリーダはもともと軍人でただひたすらに任務をこなすといった感じだった。しかし、バナージと出会うことで彼の感じ方を学び、希望を持ち、よりよい未来の道を探している。また、彼を勇気づけているお姉さんという立場に私は感じている。理想主義と現実主義の考え方をしっかりと理解し、行動している。マリーダという人物は「ほんとうにこうであってほしい」という大人の姿だ。今起きている現実を知り、物事を主観的客観的に見て行動し、バナージたちに理想と現実を比べた考えを伝え、選択させている。そんな彼女は私は好きだ。ジンネマンはとにかく熱い。大人であるけれども軍人としてはすばらしい父親であったであろう。子供思いで、理想の父親である。自分の恨みがあることも理解し、それに疲れていることも彼は理解している。軍人であるのに非常に情熱的でこの物語には「絶対ひつような人物」だ。リリーにかんしては変わりすぎたと思うほど、考え方が変化している。ただ、オードりーがすきなのか、真実が表にできるのか怖いのか。その選択におびえているように感じられる。

理想主義と現実主義の衝突

この物語ではこの二つの主義主張がきれいに分かれている。現実主義にはビスト財団とフルフロンタルがあてはまる。このふたつの陣営は現実的にどのように相手を屈服させるか考えている。話し合いで解決しないのであればやっつけるのみだと。最終話ではそれが鮮明に見える。真実の情報を流失をおそれているビスト財団は兵器を使ってバナージたちを全て消しさろうとしていることからもそれが分かる。また、彼らにはいわゆる「権益」がほしかったのだろう。箱の真実を持っている以上、権力をもてることはたしかだ。それを守ろうとしたゆえの行動であったので、正直、今の現実世界でもありそうに感じてならない。フルフロンタルに関しては先ほども申し上げたとおり、スペースノイドの利益を代弁者として器として果たそうとしている。この二つは双方ともに理解し合えるとは思っていないので戦争はさけられないのだろう。そう判断しての両陣営行動の結果がアニメでは描写されている。それに「まった」をかけたのがバナージたちだろう。彼らはまだ大局観というもの持っていない。だが「話し合う努力をやめてはいけない」、「未来に希望をたくす」、という理想を大切にしている。それら二つの理想には私は共感する。現実世界でもそうあってほしいと願っている人は多いだろう。

人類の発展の過去と未来

ジンネマンの砂漠でのシーンに注目したい。人類は昔は自然の慈悲を受け入れていて、災害から身を守るために都市、集落を作った。ただ、そこで便利にするためによりよいシステムを作っていったが、いつしかシステムを維持していくのがつらくなった。そこで、新天地である宇宙に希望をもとめた。だが、そこでまた出来上がったシステムは別のものでもとあったシステムとぶつかるようになった。私の理解が正しければ、ジンネマントとバナージの会話の要約はこうであると思う。これについてはほんとうにそのとおりで、ユニコーンの世界と現実の人類が発展してた歴史に対する解釈は一致している。現実の私たちの社会では国ごとにできあったシステムは今でもぶつかりあっている。そこには宗教の違いや人が歩んできた歴史と慣習が違うためにおきているのだと私は考えている。ただ、そのために話し合うという努力というものは、現在の私たちの世界でもとても大切なことだ。未来に希望を託し、よりよい未来を創りたいと願っている子供はたくさんいる。

現実世界の悲観

しかしながら、残念なのはジンネマンもいっているとおり、「恨み」だ。戦争で傷つけあったという事実がある以上、怨念が敵とした相手にこべりついている。それを晴らすのは簡単ではないということもこのアニメを通して勉強できたところだ。もう一つは人類は幸せを追い求めて悲しみをなくそうとしているのに、そうならない。それは自体がとても残念なことだということ。これは私たちの現実世界でもいえることだろう。幸せを追い求めていろんな政策や行動をしているが、いつもみんながハッピーとは限らない。また、今でも恨みを持って生きている人もたくさん存在する。

音楽と映像技術分析

このアニメで感動したのはストーリーだけではない。音楽だ。その場にあった音楽が適切に流されている。例えばガンダムに乗るシーンや主人公が活躍するところなどはぴったりである。その音楽の盛り上がりと感動を呼ぶ、構成にしてあるところは「すばらしい」としたかいいようがない。映像に関しても繊細に描写されている。戦争が現実今前で起こっているようだ。ガンダムの一つ一つの行動とパーツ、戦いのシーンとともにきれいに映し出されていると思う

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