性教育を目的として作られた作品 - ないしょのつぼみの感想

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ないしょのつぼみ

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ストーリー
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声優
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音楽
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性教育を目的として作られた作品

4.54.5
映像
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ストーリー
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キャラクター
4.5
声優
5.0
音楽
4.5

目次

原作者・やぶうち先生、および原作について

やぶうち先生の代表作「水色時代」をはじめとして、思春期の少年少女の心情、心の成長を細やかに描く作風である。1996年に「水色時代」がアニメ化したことで、その関連の作品を学年誌「小学六年生」に連載したことがきっかけとなって、以降小学館の学年誌に性教育を絡めた作品を連載する運びとなった。それが本作の原作「ないしょのつぼみ」である。やぶうち先生の実体験が基となっている話も多いとのことである。この「ないしょのつぼみ」は学年誌が休刊になる2011年度末まで8年続いた。ただし、主人公や周囲の設定などは毎年変わっている。2008年に第54回小学館漫画賞児童向け部門を受賞した。アニメ化されたのは8年続いた連載の最初の1年の連載の話である。

 性教育の視点からの考察

本作品を性教育の視点から見てみたい。原作が掲載された学年誌は男女問わずに見ることができる雑誌であった。原作は絵が少女漫画っぽく、一応「少女向け」とした漫画ではあるが、男子が見ても十分興味が持てる内容である。むしろ、男子にも見てもらいたい内容と言える。この作品の大きな特徴は、男の子の視点からの描写の多さである。通常、少女向けという作品ではほぼすべてが女の子目線で話が進むし、心の内面というのも女の子についてがほとんどである。しかし本作品は、男の子からの視点での描写も多い。もっとも顕著なものが、「夢精」の表現である。主人公・つぼみが好意を寄せる男の子・根本が、友達カップルのキスシーンを見たことで、つぼみとのキスシーンを夢で見たことで夢精し、ショックを受ける描写がある。男の子でも性的なことで落ち込むことがあるというのは、女の子にとってはなかなか知りえない情報だろう。思春期に性のことで悩んでいるのは女の子も男の子も同じということがよく分かる場面である。なお、原作においてこの場面では「夢精」という言葉を出していないが、アニメでは「夢精」であると表現している。その前の場面の授業での性教育ビデオ内でも「夢精」という言葉が出てきている。これは、アニメ化にあたり、より性教育を重視した構成になっている、と捉えることができる。

 思春期の心と体の成長を描く

思春期の大きな問題として、「体の変化に追い付けず、とまどう心」ということが挙げられる。性教育と言うのは主にこの体の変化の部分を学ぶわけである。もう一つの要素「とまどう心」については心自体を学ぶのは難しいものの、「個人差があること」、「感じ方、捉え方は人それぞれであること」、「大人に頼ればいいこと」などを繰り返し教えることで少しでも安心して体の変化を受け入れられるようにしている。アニメ版、商品化されているDVDでは、副音声として専門の先生による解説、アドバイスが収録されており、さらに詳しく性のことについて知ることができたり、思春期の女の子の性の考え方、恋愛の考え方についても勉強することができるようになっている。

 男性の先生の描写を

ここまで、このアニメが性教育作品として申し分ないものであることを見てきた。しかしここであえて二つほど注文を付けてみたい。まず一つ目は、男性教員の描写がほしいということ。原作でもアニメでも、性教育の授業(ビデオを見せていた)を担当していたのは女性の先生であった。何気ない描写ではあったが、これは性教育は女性がやるべきものという固定観念があるのではないだろうか。ここは男性の先生の描写であって欲しかった。性教育と言うのは、男性女性関係なくやるべきことであり、それは教える側でも同じことであろう。そういう意味ではアニメの副音声で解説している専門の先生が男性であるという点は素晴らしいと思う。ここで懸念されるのは男性の先生が児童を性的な対象として見ているのではと言う疑念が生まれることだ。実際の教育現場でも男性の先生が性教育を担当しない場合の理由はおそらくこれであろう。しかしそれは逆に子供たちに正しい判断を促すチャンスでもある。確かに、性犯罪の過半数は男性である。男を見れば犯罪者と思え、と言われてしまうこともある。しかし、性教育の授業でそういった心配が必要なのかをきちんと考えてもらいたいと思う。大切なのは、今目の前にいる人が自分にとって悪いことをしようとしているのか、いいことをしようとしているのか、それを正しく判断する能力を身に付けることであろう。それが後述する性犯罪の危険から自分の身を守るということにつながっていくのである。ここの場面、性教育担当を男性の先生にして、女子児童の「先生、あたしたちのこと、いやらしい目で見ているんでしょ」という言葉に対して、「確かに、男の中には、君たちの年齢の女の子でもそのような目で見てしまう人もいる。それは事実だ。しかし、今、私が何をしようとしているかを考えなさい。あなたたちがこれから先を生きていく上で必要な知識を教えようとしているわけでしょ。あなたたちにプラスになることをしようとしているのです。相手の性別で判断するのではなくて、目の前にいる人が今、あなた自身に危害を加えようとしているのか、それともプラスになることをしようとしているのか、それを正しく判断できるようになろう。それがあなた自身を守ることにつながるんですよ」と、少し長いセリフだがこれを男性の先生に言ってもらいたかった。実際の学校ではなかなかできることではないことだからこそ、こういう架空の物語の中でやってもらいたかった。そうすることで、性教育の一端の内容が強化されていたと思う。

 子供が性の対象になることについて

さて、先にも触れた「子供が性的対象になる」ということであるが、これは性教育の非常に大切な一部分であると思う。場合によっては命にもかかわってくることであるから。しかし、アニメでは3話と言う短さからか、これが取り上げられていないのである。原作ではこれを扱っている話があるだけに、この部分をアニメにしなかったことは残念で仕方ない。思春期の時期はやはり自分自身の体のことがメインになってしまいがちである。体が大きく変化することであり、きちんと知っていないと不安だからである。だから、そこに重きを置いて指導しよう、ということは理解できる。が、それでも、それと合わせて「自分自身の身を守る」ということも必要な知識だと思うのである。なぜ子供が狙われるか、子供を誘ってどうするのか、それをきちんと知っていない子供が非常に多いのである。ネットの情報であるが、このことを子供に聞いたところ。「子供好きの人で一緒に遊ぶため」という回答も見られた。これでは間違いなく誘われたらついて行ってしまうだろう。悪い人について行ったら、自分の身に何が起こるのか、ということを知っておくことはとても重要なことだと思う。子供にはとても伝えづらい内容だが、きちんと話しておくことが子供の命を守ることにつながると思われる。

 もっと増えてほしい性教育作品

近年は今述べた犯罪のほかにも、安易な性行為での妊娠、中絶の問題も依然深刻である。そういうことを子供たちに問題提起し、考えさせるきっかけを作る手段として、このようなアニメ作品はとても有用であると思う。本作品が3話構成だったことは残念だったが、アニメ化自体が大変意味のあることだと思う。これに続いてくる作品が出てくることを願う。そして子供がしっかりとした性教育を受けるきっかけとなるものを一つでも増やしていけたらいいと考える。

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アニメ制作された意図が明確ここまで制作された意図が明確に感じることができるアニメ作品はない気がします。原作マンガからアニメ化されたOVAですが、制作意図が、一般的なマンガやアニメとは大きく異なるのが特徴的といえます。特に感じたのが、6W2Hに当てはめられ、教材として意識されています。 WHAT(テーマ:何が)性教育 WHO(誰が)原作者及び制作スタッフ WHOM(誰に)小学校高学年の女子向け WHY(なぜ)心と身体の成長・知識を伝えるため WHERE(どこで)マンガ・アニメ媒体を通じて WHEN(いつ)マンガは平成16年連載開始、アニメは平成20年OVA発売 HOW(どのように)主人公の成長を通して女性の発育や恋愛感情を描く HOW MUCH(いくら・どれくらい)予算は不明 ここまで目的が明確に打ち出されたアニメ作品は珍しいように思います。また小学生向けの題材ということで、アニメ・マンガという媒体は適しているのではないでしょう...この感想を読む

5.05.0
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