SF戦争漫画のようで悲恋が主軸?
ケイジとリタ
ひ弱で軟弱な主人公と圧倒的戦闘力を持つ孤高のヒロイン。一見相容れない2人が実は同じ境遇(ループ)に置かれていて心を通わせていく。物語冒頭でリタが死ぬ直前にあるケイジに話しかけるシーンでのセリフ「ジャパンでは食後のグリーンティーは無料だと聞いたのだが本当か?」が、後々ループを経験している二人にしか分からない暗号のようになっていくのが少し面白い。また冒頭、死に際のケイジにリタの心の声として「おまえが死ぬまでそばにいよう」と書かれているが、最後立場が変わりケイジがリタに向かい「きみが死ぬまでそばにいよう」と涙ぐみながら声をかける姿が切ない。
ギタイとループ
かなり早い段階でループがギタイの通信網に組み込まれた事が原因として明かされるが、リタとケイジの他にループに巻き込まれている人が出てこないのが少し残念。運命の2人を演出するには良いかもしれないが、全体的に浅く感じる。侵略者であり人類滅亡を脅かす存在であるギタイは姿かたちからして、異質な雰囲気を纏い、人類との意思疎通は皆無、侵略と駆逐以外に目的を持たず迫ってくる様子が、恐怖感や絶望感を作中全体に漂わせている。
バトルアクス
46回の死のループから戦闘能力を上げてきたケイジは武器の弱点を解決する為、リタと同じ武器バトルアクスを手に入れる。ここで同じ武器を手に入れ戦闘力共にリタと近づく事が、最後リタとの対決に繋がる伏線になっている気がする。バトルアスクを作ってほしいと頼みにきたケイジは「戦場を生き抜くための武器がいるんだ!」と主張する姿がレイルにはリタと重なって見える。ここ辺りから同じループを経験しているという理由以外に、元の素質からしてリタとケイジにはかなり近いものがあると感じられ2人の結びつきの強さをより引き立てている。
最後の戦い
最終的に2人はどちらか一方を殺さない限り、このループからは抜け出せない事を悟り戦闘に向かうが、2人の関係性がまだ構築されきっていない段階と感じられるのがあと一歩感動できない。お互いが惹かれあいこの世に唯一無二の存在だと感じ始めているのは伺えるが、親密度や距離を縮めるイベントがあといくつか欲しかった。一人残されたケイジは自分のスーツをリタが好きな空の色に塗り替え、リタに代わって人類の為戦っていくと決心する描写など、細部の演出が洒落ている。
感想
全話通して見ると、読みやすく適度に設定も複雑で引き込まれる要素に溢れていて一気に読める。面白い設定だからこそ、主人公2人のバックグラウンドにもっと迫ってほしかったのと、対ギタイ武器のバリエーションや他キャラクターの戦闘スタイルも描いてほしかった。
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