部下からみた新撰組の誇りと忠誠心
少年の成長物語
ドラマやマンガや小説、ゲームまで、新撰組には様々なジャンルの作品があり、多くの作者がいる。歴史物の中でも、世代や男女を問わず人気で知名度も高い。
PEACE MAKER以外にも、数多くある新撰組をテーマとした作品は、局長の近藤勇副長の土方歳三が主人公として中心となっている物が多いと思うのだが、PEACE MAKERは隊士ではなく、土方に小姓として仕える少年、市村鉄之助が主人公というのが中々斬新で興味をそそる。
あえて隊士ではなく、歴史の教科書などでも特に触れられない鉄之助を主人公にする事で、新撰組とも幕府内部とも、反幕府側とも違う視点からストーリーが進んでいくために、他の作品とは一味違った新撰組を楽しむ事が出来ると思う。
キャラクターの魅力
マンガだから当たり前ではある。それでも言いたくなるくらいに、見た目も中身も個性的で魅力的なキャラクター達なのだ。
絵が綺麗で、かといって少女マンガのような繊細で、全員が容姿端麗キャラなわけではないのがまた良い。しっかりギャグ要員もいる。
鈴や紗夜、サラや歩姉のようなオリジナルキャラクターも重要な役割があって、それぞれの背景にも触れているし、歴史に忠実なストーリー展開ではない所が、既に歴史上で結末を知っている人でも展開が予想出来なくて良い。そこが面白さに繋がるのである。
新撰組から見て敵となる側のキャラクターも見た目や性格が個性的で、読んでいて飽きないし必ず読者のツボを抑えるキャラクターが1人はいる。
恋愛も友情も家族の絆も楽しめる
恋愛という面では、鉄之助と紗夜の淡い初恋や、山南とサラの切ない関係が読者を引き込む。がっつりではなく、あくまで控えめに恋愛の要素が盛り込まれる所がとても良い。
友情では、鉄之助と鈴や、辰之助と丞、永倉達3人のやりとりがとても賑やかで、お互いの信頼や友情が羨ましいくらいに見てとれる。勿論土方と近藤の友情だけでは表しきれない関係も最高である。
そして家族の絆は、まずPEACE MAKERで語らずにはいられない丞と歩姉の姉弟。
涙無しでは読めない山崎姉弟の話は、読者の好きなシーン上位にあがるはず。
他にも、血が繋がっている訳ではないが、近藤と土方、沖田の3人は新撰組が出来る前からずっと家族のようで、微笑ましくも切なくて、それでも愛が感じられる特別な関係である事は読んでいて明らかである。
そして沖田の飼っているブタの名前が、土方歳三の名前の読み方を変えてサイゾーである事で、沖田にとって土方がどんな存在なのかもこちら側が無駄に深読みしてしまう。無駄ではないのだが。そこがまた楽しめるポイントなのである。ここに萌えという感情を抱いた読者は少なくないはず。
主人公は鉄之助なのだが、鉄之助の成長と共に、他のキャラクターの中心となるストーリーの内容も濃く、複雑に重なってこの作品が作られているので、読者を飽きさせる事なくどんどん読み進めてしまう。
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