実話に基づいた作品
どちらが幸せな人生なのか
この映画は銀行強盗犯とそれを追い続ける連邦捜査官の人生を描いています。ジョニーデップ演じるジョンデリンジャーは頭の回転が人並外れており彼に不可能があるのかと思わせる程魅力あふれる完璧な人物です。人望も厚い彼は仲間だけではなくやがて国民からも英雄のように扱われていきます。彼の魅力が反社会的人物であることをかき消すように彼の思うがままに事が進んでいくところはやはりジョニーデップが演じるからこそ観ていて説得力があるように感じました。それとは逆にクリスチャンベール演じるメルヴィンパーヴィスは無口で無表情、与えられた役目に対して没頭するあまりそのプレッシャーに押し潰されて苦悩している連邦捜査官です。誰がどうみたってジョンデリンジャーは極悪人ですし救いようがないのですが何故かメルヴィンパーヴィスを見ているとジョンデリンジャーの生き方の方が人間らしくって魅力的に感じます。それはこの映画の描き方によるもので、面白さだと思うのです。何故ならジョンデリンジャーは仲間思いで仲間の為なら自分の身を投げ打つ事も出来ますし愛した女性の為なら捕まる事だって怖くありません。ですがメルヴィンパーヴィスは私生活が一切描かれておらず家庭があるのか友人がいるのかも分かりません。それどころかジョンデリンジャーにほんろうされるあまり心を病んでいってしまいます。観ている側からすればジョンデリンジャーの方は人間味があり人生を謳歌しているように感じますがメルヴィンパーヴィスを観ているとすごく閉鎖的で冷血なイメージを与えるんです。何を楽しみに幸せに感じて生きているのかどうしても掴む事が出来ません。そんな両極端の二人ですからどちらの人生を自分が選択するか鑑賞しながら自問自答していました。
役作りへの本気度が見える
銀行強盗をはたらく極悪非道の犯人とそれを追う連邦捜査官。どちらの目線に立ってこの物語を見るかでまた感想が変わってくると思います。私はジョニーデップのコミカルな演技しか見た事がなくこんなにスマートな演技が出来るのかと冒頭から驚いてしまいました。普段のジョニーデップは一癖も二癖もある役柄が多くそれはそれでインパクトがあり好きでした。そんなジョニーデップももちろん見たくなる時があるのですがたまにはカッコよくてクールなジョニーデップを見たかったんです。しかもクリスチャンベールとの共演がこの映画の魅力を増してくれていると思います。クリスチャンベールといえば私の中で体を張ったパワフルな演技のイメージがあり役作りの為ならなんでもやってのけちゃう実力のある俳優といった感じでしょうか。しかし役に徹するあまり少し無理している印象も受ける時があったのですがパブリックエネミーズのような実話を題材にしている難しい役柄を自分のものにしていました。物語でゆうとジョニーデップは華がありカッコよく仕上がるストーリーでクリスチャンベールは影に隠れるかなと思いましたが存在感は十分ありました。見る前はジョニーデップの話題作という事もあり鑑賞したのですが始まればどちらの演技も素晴らしく中立の立場でこの映画を観ました。どちらが欠けても成立しない役者二人の見事なハマり役に脱帽です。
迫力十分のガンアクションが必見
この映画は派手さがありませんがアメリカの時代背景が鮮明に映し出されていてまるで自分もタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。ファッションや街並み、車にしても全てがその時代を忠実に再現されています。大掛かりな爆破シーンや加工シーンはなくただただガンアクションが繰り広げられます。美女が飛び入り参加してくるよくあるおまけシーンなどはなく最初から最後まで男と男の打ち合いなのですがそれがなんだか観ていて心地が良い。大掛かりな爆破や戦闘シーンに少しマンネリ化していた私には新鮮でとてもよかったです。私は映画館でこの映画を鑑賞しましたが森などでの静かなシーンではバーンという銃声が館内に響きわたりすごくドキドキしたものです。音で魅せる映画が少なくなってきている最近の映画では味わえない重みがあります。私は銃にはそこまで詳しくありませんが最新鋭の自動火器などおっと思わず言いたくなるようなガンアクション好きの方にとってはたまらないシーンが目白押しです。たくさんの銃を常に持っているので威圧感たっぷりなんですが、あくまで警察へ発砲するためのもので市民は巻き添いにしない。銀行強盗に来てお客のお金は盗まないなどそんなルールがなんだか面白い。ですからすごく嫌な警察官がたくさん登場するのでなんだか警察との打ち合いに爽快感さえ覚えてしまいます。なんていっても上から下までばっちりキメた紳士達が銃を打ち合う姿は釘付け間違いなしなので女性でも楽しめる作品だと思います。2時間20分という長い上映時間でしたが気づけば時間が過ぎているような引き込まれる作品です。
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