むせろ最低野郎ども!装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント野望のルーツ
目次
装甲騎兵ボトムズ野望のルーツとは
1988年に発売された、「装甲騎兵ボトムズ」シリーズのOVAにして、ボトムズシリーズの一番最初の時系列に当たる作品。TVシリーズや、OVAシリーズに度々登場してきた吸血部隊「レッドショルダー」に所属していた頃のシリーズ主人公、キリコ・キュービィーを描いたもの。また、過去のOVAに出演し、キリコの過去に深いかかわりを持つレッドショルダー創設者、「ヨラン・ペールゼン」が再登場、レッドショルダー設立のきっかけとなったある出来事、そしてキリコにまつわる秘密が描かれます。
ブラックとかいうレベルじゃねえ吸血部隊!レッドショルダーの真実
右肩を血に染めた地獄の部隊。如何に生存率が低い作戦においても生き残る、たとえ友軍の生き血を啜ってでも・・・過去作でも、所属員のスペックが異常に高いことや、様々な戦場における熾烈な戦いぶりが断片的に描写されてきた「レッドショルダー部隊」。その秘密は、「共食い」と称される隊員同士の事実上の殺し合いにありました。そんな異常な環境下に置かれる事で、能力純度をふるい分けしていたのです。
ペールゼンが部隊を設立した目的の一つは、完璧に訓練された軍隊を作ること。そしてもう一つは・・・決して死なない人間、「異能生存体」を探し出すこと。
そんな人間の存在などあり得ない。しかし、「それ」はペールゼンの前に姿を現す。それは・・・
ペールゼンの「野望のルーツ」とは
今作にて本格的に人となりが描写されることになったレッドショルダー創始者、「ヨラン・ペールゼン」。彼の目的は当初、完璧に訓練された軍隊を作ることでした。しかし秘密部隊の将校であった頃、とある任務中に「ある存在」を見たことで彼の運命は一変します。彼が見たもの、それは真空中でも死なない不気味な赤子の姿でした。赤子はペールゼンをキッと見据えます。その姿に畏敬を覚えた彼。そこから、ペールゼンの「野望のルーツ」が幕を開けたのでした・・・
超クオリティで魅せるATの戦闘シーン
さて、ボトムズシリーズの主力メカといえば、3~4m程度の人型兵器「AT」です。今一つシリーズを知らないファンからはATの見た目の「ダサさ」「野暮ったさ」からつい敬遠をされがちです。しかしボトムズシリーズの魅力の一つと言えば、全身に満載されたギミックをフルに生かして戦うATの姿であることはファンにとって周知の事実!過去シリーズの魅せ方も素晴らしいものでしたが、今作ではOVAという事もあり、シリーズ中屈指ともいえるハイクオリティーな戦闘シーンが見られます!
キィーンと甲高い音を鳴らしてのローラーダッシュ!急ブレーキや急旋回をかけるために地面に打ち込むターンピックの迫力!ATの顔ともいえるターレットレンズの回転アクション!アームパンチ・・・僅か3~4m程度の小さな見た目に似合わず多彩なギミックを持ったATの魅力が見事引き出されてる素晴らしい戦闘シーン!
本作の中で特に素晴らしいのは、終盤の惑星サンサでの戦い。主人公サイドもさることながら、キリコを狙うレッドショルダー隊長、リーマンの乗るスコープドッグがまたカッコいい!特に電磁式パイルバンカー(実はこのパイルバンカー、ボトムズシリーズが発祥って知ってました?)をセット、キリコのスコープドッグにぶち込むシーンなど、筆者的にはご飯3杯はイケる名シーンの一つ!ボトムズシリーズを「ロボがダサい」という理由で敬遠してる人!人生の3割近くは損しているといっても過言では・・・ないかも?(個人の主観が多分に入っています)
絶対に死なない?死ねない?悲しき運命の主人公
ボトムズシリーズ通しての主人公、キリコ・キュービィー。彼こそはペールゼンが長年探し求めていた「異能生存体」なのでありました。異能生存体とは、250億分の1の確立で存在する「死なない人間」。異能生存体には、自身が望む望まないに関わらず、あらゆる事象すら歪めてまで死を回避することが出来る能力(資質?)が備わっています。
「自分だけ致命傷を負わない」「打った弾丸がたまたま相手の急所に当たる」といった事から、「目の前で撃たれた筈の弾丸がなぜか逸れて当たらない」等、明らかに物理的に干渉しているとしか思えない現象まで引き起こすのです。
ある意味、究極のラッキーマンと言えるキリコ。しかし、それは彼にとって幸せなのでしょうか?
作中のペールゼンをはじめ、彼の異能の能力を狙うものは後を絶たず、キリコの周りは常に血と硝煙のにおいに満ちた戦いが付きまといます。また、異能の能力は自分にしか働かず、時には親しい仲間の命を踏み台にしてでも生き残る、いや「生き残ってしまう」のです。戦いを離れ、安らかに生きたいと願うキリコ。しかし異能の能力がある限り、彼の戦いは終わることはありません。キリコは、ロボットアニメ屈指の悲しき運命を背負った主人公なのです・・・
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