重厚な喜劇であり、高級な悲劇であり、見事な心理劇の人間ドラマの傑作 「冬のライオン」 - 冬のライオンの感想

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重厚な喜劇であり、高級な悲劇であり、見事な心理劇の人間ドラマの傑作 「冬のライオン」

4.54.5
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
4.0
演出
4.5

名優ピーター・オトゥールとキャサリン・ヘップバーンが、がっぷり四つに組んで演技の火花を散らすこの「冬のライオン」という歴史劇は、ワクワクするような演劇的な面白さを持った作品だと思います。そして、壮絶な人間ドラマであり、重厚な喜劇であり、高級な悲劇であり、見事な心理劇だといってもいいと思います。

十二世紀末。時のイギリス王で"冬のライオン"と呼ばれるヘンリー二世(ピーター・オトゥール)が、十六年も幽閉中の王妃エレナー(キャサリン・ヘップバーン)や、三人の王子の全てをシノン城へ招きます。王の愛人である若いフランシス皇女と、その弟のフランシス王もそこに加わって、王位継承をめぐり、権謀術数と愛憎が渦巻いていくのです。

王が、自分の愛人と王位を三男に与えようとすれば、長男を偏愛する王妃は、そうはさせじと次男を味方に引き込みます。それが更に離反し、接近し、裏切り合い、おとしいれ合う、虚々実々の駆け引きが、圧倒的な迫力で展開していきます。

この全く予断を許さない展開という点では、推理スリラーそこのけの上質のサスペンスであり、辛辣なセリフが見事に絡み合って、笑いを生み、知的ゲームの楽しさを堪能させてくれます。

特に、五十歳の王と六十一歳の王妃、この憎しみに貫かれた老夫婦の、くされ縁の底にたゆたう無残な"愛"が、不思議な悲しみで迫ってくるのです。

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