幼なじみから恋をする
幼なじみと言っても結局他人
小さなころからずっと一緒だった小春と夏生。お互いの癖だってなんだって、お前の事はわかってる。そのつもりだった。だけどなんでだろう。私じゃない誰かを大切に想うあなたを見て、心がざわつくんだよ…
幼なじみは恋愛対象にはならない。よく言われるこのセリフ。だけど、結局は他人なんですよ。いつ恋愛に発展したっておかしくない。生きていくうえで、お互いの何でもかんでも知っているなんていうのは嘘なんですよね。本当にいろいろなことを頭の中で考えていて、いつの間にか違う世界の住人になっていたりする。考え方も、感じ方も、見た目も。全部同じでいられるわけなんてないんです。
それでも、一緒にいることを選ぼうと思ったら、付き合うしかないよね。友達として一緒にいることよりももっと相手のことを知りたいと思ったら、方法はそれしかない。お互いに対するこの気持ちが何なのか、先に自覚したのは小春でしたね。やはり女子というのは精神年齢が早熟で、感情豊かですね~夏生を本当に大切に想ってきたからこそ、夏生の好きなところをいつでも伝えてきた。そのことがあだとなり、まったく夏生に伝わらないこの気持ち…歯がゆさがかわいらしい。
一方の夏生も、小春が自分から離れていくかもしれないって想像しただけで、耐えられないって…こりゃーもう家族になるしかない。少しずつ成長して、これからだってどんどん変わっていく。だけど、この先もずっと、君だけは変わらず隣にいてほしい。幼なじみから発展するラブなんてありきたりなのに、なんかこの夏生と小春の2人のピュア感には心打たれる感じがあるので不思議です。
夏生のイケメン具合が光る
近くにいたからわからなかったけれど、夏生ってこんなにかっこよかったんだ…。小春のやきもち、炸裂でした。爽やかなルックス、サッカー激うま、フレンドリーで気がきいて優しい。こんな男子は誰もほっておきません。好きだなと自覚したとたん、実は夏生には恋した相手がいると知り…こりゃーもう応援するしかないと思ってしまった小春。小春が夏生を想う気持ちは、家族愛みたいなものなのか、独占欲だったのか、恋だったのか。いろいろ考えても、やっぱり夏生を大事にしたいという気持ちが一番だから、夏生をいつでも応援していたいと思うから…くぅ~!こういう考え方のできる女子はモテるんだよな~!!そうはなかなかなれないんですけどね!!
サッカーで選抜され、小春と離れてからの夏生も、やっぱり小春が一番で。マネージャーとかもろもろにもてはやされようが、やっぱり小春だけは譲れない。一途なところもまたそそるんです。これからずっと一緒にいるんだし、焦ることなんてないな~…とか、本当に健全な男子ですか?ってくらい真摯な気持ちが感じられるシーンだった。焦ることなんてない。ずっとこれから一緒にいるってことだけは疑いようがない。そんな気持ちで付き合ってくれる人を選びたいし、自分もそうやって大切に想い続けて生きていけるようにしたいものだね。その人の幸せを想って行動できるかどうか。これが結婚できるかどうかの分かれ道なんじゃないでしょうか。自分の幸せばっかり考えていると、だめなんだよなーってつくづく思い知らされてしまうピュアストーリーです。
都築と小春
都築もなかなかに好きでした。黒髪の短髪が好みという、個人的な要素も入っていますが、キャラクターとしては、どちらかというと主人公向きでしたよね?エリートの憂鬱。それを溶かす庶民。抱えていた闇が彼女を通して溶けていく。これは主人公級の出来事でしょう。ツンデレ具合、小春を欲するがあまりの衝動的な行動。でもやっぱり頭がいいから一歩引いて、相手の幸せを祝福しようと思うイケメンさ…そんな幸せもある。わかってるけど、せつなさが満載でした。
小春は寂しい寂しいばっかりで、自分ばっかりになってたから、都築のつけ入るすきもばっちりありました。ただ、そういうときに必ず夏生は駆けつけるんですよね~…大事な時にちゃんとそこにいてくれるっていう安心感。都築と小春が近づかないように必死に守ってる姿もまたキュンとさせてくれる。夏希はなんてイケメンなのでしょうか。それでも都築だって負けていません。デレたときがたまりません…!小春の気取らない気持ちをちゃんと受け止めて、強引じゃなくそっと包んでくれるような…優しい奴だなってわかるんです。
ただ、孤高を気取ってた都築にとってみれば、小春だけじゃなく、夏生だって大切な存在だったことでしょう。だからこそ、この2人の幸せを応援してあげようという気持ちになったんだろうなって思います。悪い男だったら許さないけど、いい奴だから譲りたいと思う。そんな気持ちにもなってたんじゃないでしょうか。甘酸っぱい恋だったね。
お互いがお互いの幸せを願って生きていくとかもありだった
ちょっと考えたのは、ハッピーエンドの別パターンもありだったんじゃないかなってことです。夏生は西園寺さんと。小春は都築くんと。明るくて元気いっぱいの人と、クールで憂いのある人。お互いにそういうカップルでも面白かっただろうなと。お互いの足りないところを埋めあえる関係というか。
夏生が一目ぼれした西園寺さん。でも西園寺さんからみれば、夏生には小春しかいないってわかってた…とかどんだけ冷静な女なんですか。都築くんとは大違い。都築くんは芽生えた気持ちを最初は認められなかっただろうしね。夏生と西園寺さんだったら、絶対西園寺さんがリードする感じで、夏生はいつもついて回ってるんだけど、大事なところで強引で、ドSなところを急激に出してくる…なんていう展開がお似合いのように思いますね。小春と都築くんだったら、都築くんが絶対甘すぎることになってたでしょうね…実はドMなところを見せてくれたり、失敗しちゃってかわいいところを見せてくれたりしたら…激萌えだったなー…なんていうことを勝手に想像しちゃいました。一生懸命でいっぱいいっぱいなところが見てみたいという、あくまで個人的な嗜好なんですけどね。
そして幼なじみとしての幸せは、お互いの幸せを想ってあげることだと気づいた…とかね。登場人物がいい子たちばっかりだったので、ついつい違う道も模索してしまいました。
ずっと愛する
小春も、夏生も、お互いをずっと愛していこうと思っていて、そこは純粋に素敵だなと思いました。これから何があったとしても、この2人だったら乗り越えていってくれそうだなと思います。相手の気持ちになって考えるということが、何よりもできている2人ですからね。
夏生はサッカーでどんどん自分を高めていくけれど、小春自身には何もない…これって、女の子によくあることじゃないでしょうか。一緒に居られる以外に、求めるものが見当たらないというか…だから寂しいって思ってしまうし、感情的になりやすい。そこで、ちゃんと相手のためになにができるだろうかと考え、スポーツ栄養士という道を見つける小春。マネージャーさんの嫌味をただの悪口で終わらせない。真面目な小春だからこそできる切り返しです。
誰かの役に立ちたいということが、人間関係をよくする上でのエネルギー源になりますよね。でも、大人になるにつれ、自分のこと、生活、立場とか、いろいろなものを守ろうとして、他人と関わりを薄くしていく気がしてならない。そういうときに、少女漫画って沁みるんですよね~あーそういう気持ち、忘れちゃだめだなって。夏生と小春みたいな幸せを見つけられるようにしたいものです。
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