いつだって恋は突然やってくる - ハチミツにはつこいの感想

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ハチミツにはつこい

4.254.25
画力
4.25
ストーリー
4.00
キャラクター
4.50
設定
4.00
演出
4.00
感想数
2
読んだ人
2

いつだって恋は突然やってくる

4.54.5
画力
4.5
ストーリー
4.0
キャラクター
5.0
設定
3.5
演出
4.0

目次

結局どんなに近くにいても全部は知らない

定番の幼なじみラブ。この「ハチミツにはつこい」は、中でも特にピュア度が高い仕上がり。なんか読んでる自分の心が腐ってるんじゃないかと疑いたくなる出来だ。

赤ちゃんのときからずっと一緒だった小春と夏生。お前のことはなんだって知ってんだよ。そう思ってた。他の誰かを大切に想うことと、君を大切に想う気持ちは別じゃないの…?幼なじみだってね、知らないことはたくさんあるんだ。

そもそもさ、幼なじみは恋愛対象にならないって誰が決めたんだろうね。幼なじみだからって、相手の趣味嗜好が全部わかってるなんてことないじゃん。深く知り合うことをしなければ、しょせん他人の領域。一緒に暮らしてようが、家族ですらわからないことなんて山ほどあるんだから。頭の中で考えていることが全部わかるなんてことは絶対ない。何を考えて、何を感じているかって、言葉にしないと全然伝わらないもの。

いつまでもそばにいたいと思えたら、もうそれは恋ってことで。それなら付き合うしかないという話になる。友だち以上になるには、恋人になってその人の中に踏み込むしかない。つーか付き合ったとしてもすべてを知れるわけじゃないけどね…正確には、「理解して大切にしたい」と思う、ということなんだろう。恋人になるということは。

その気持ちに最初に気づいたのは小春で、いつも夏生のいいところ・好きなところを素直に褒めてきたのがあだとなり、全然恋の気持ちが伝わらないせつなさを味わうことに。変わらず君は見えるところにいつもいてほしい。その気持ちに気づくのにずいぶんと時間がかかってしまったが、ウザさはなくて、お互いがすごくいい子で、微笑ましい気持ちで読めるストーリーだ。

客観的に見たら夏生が超イケメン

夏生は華麗に小春を助けた一件からモテ具合に拍車がかかってしまい、小春のモヤモヤを炸裂させることになる。小春も地味―にモテはじめ、夏生も気が気じゃない。それが…

幼なじみだからだ!

になるんですか…ピュアすぎる。かわいすぎる。ニヤケすぎるわ…。爽やかなサッカー少年である夏生は、気さくで誰にでも優しい男の子。そりゃー人気者になるしかない。おめかしした小春を見て、

なんだそれ …かわいいじゃん

ってやばくない?ときめかす天才?ここで変に否定しないから最高なんだよ夏生は。小春が最初に自覚したはずの恋の気持ち。だけど、夏生が自覚してからの怒涛の攻めがすごかった。やきもちオープン、小春の好きな人探しに一生懸命な夏生。そして放送室で公開告白!もう別れらんないわこの2人。小春が、夏生を一番近くでずっと応援していたいから…って身を引いていたのに、なんてやつ。壁なんてぶち壊して突撃してくる夏生であった。もうね、好きって気持ちにいろいろあるのは事実だけど、離れたくないならもう大枠ではそれは恋なんだよ。考えてる暇はない。タイミングを逃す前につかみにいかなくちゃ!そして行動した夏生のおかげで、2人の関係は進展したのだ。

サッカーで転校することになっても、自分が目指す夢も小春のことも、両方大切にする夏生。どんだけイケメンなんですか。マネージャーというよくある奴が横やりを入れてきても、小春を一番に考えている夏生にはほれぼれするしかない。ずっと一緒にいるんだから焦らないという夏生。常にお互いが相手の幸せを願ってきたからこその関係性である。

捨てがたい愛しさ

都築くん、最高。エリートくんの抱える問題を晴らし、笑顔をくれた小春。恋した都築くんはクールなツンデレ。突然抱きしめちゃったのも、おでこにキスしちゃったのもかわいかったが、やはり小春の浴衣が見たくて夏祭りに来ちゃった都築くんが最高だった…とろけそうな笑顔。いただきました。

頭がいい分、叶わぬ恋をずっと追いかけることはしないし、誰よりも好きなあの子の幸せを願いたい。いい子すぎる都築くん。イケメンだ。そしてせつない。常に自分より相手を大切にしようとする。そんなキャラクターたちがいっぱいいるのがこの漫画のいいところ。醜い心は洗われてしまう。

弱っちい小春は、寂しいときに隙だらけ。都築くんが入る隙間もばっちりあいていた。しかし、そういう弱っているときに、夏生が駆けつけないことがないのだ。必死さがまたイケメンなので、もう非の打ち所がないんだが…デレた都築くんの顔とか、何も言わずそっとそばにいてくれることとか。強引じゃないだけで、愛はものすごく深いのが都築くんである。

もちろん、お互いの存在は邪魔だったかもしれないが、都築にとっては夏生も大切な友だち。一人で生きていたものだった都築に、ライバルという居場所と友だちとのかかわりをくれた夏生。何より、小春が幸せそうだから。譲ってあげるしかないんだなー…愛しいやつだわ本当に。

確かにお互いが別の人と結ばれるのも見てみたかった

西園寺さんは仁科先生に恋してた。というか付き合っていた。だけど、別れるしかなかった2人。そこで夏生が小春に目もくれず突っ走っていたら、絶対西園寺さんは夏生を見てくれたと思う。自分をいつも助けてくれる夏生を、ほっとけるようなキャラじゃないからね。

そして都築くんだって、ピアノを通して小春と関わってきたし、小春に助けられもした。小春がつらいときに支えてくれた都築くんを、無下にすることなんてないと思う。タイミング次第では、2人はそれぞれの相手と結ばれていただろう。うまくいくかどうかって、タイミングにかかっている。

もし夏生が西園寺さんと付き合っていたら、普段は西園寺さんがしっかりしてくれてて、大変な時は夏生がいつも助けてくれて支えてくれる。そしてお互いを尊敬しあっている。そんな関係になりそう。小春と都築くんであれば、もう常に甘さ全開で、都築くんが小春を大切に大切に守っていく関係になったことだろう。

どちらの関係になるにしろ、小春と夏生の「お互いの幸せを思って行動できる」ということは変わらずにありそうだ。ピュアすぎる2人には全12巻すべてで胸をときめかされ続けたし、他の登場人物たちも愛ある人ばかりで、キュンキュンしまくりだった。

ずっとそばにいるから

夏生と小春になら、「愛する」という言葉が似あうなーと思う。好きなだけじゃなく、相手の幸せを願えること、何か困ったことが起きたとしても、お互いがお互いを守って乗り越えていってくれる。間違いなくそういう行動がとれそうな2人であったと思う。

夏生にとってみれば、小春がずっと小春でいてくれればいいと思っていただろう。それが、あの嫌なマネージャーの一言でもっと小春が輝く道が見つかった。毒ある言葉も薬になるってことだ。ずっとそばにいることだけがその人を幸せにすることじゃないかもしれない。

スポーツ栄養士という仕事を見つけた小春は、夏生と奥さんとしてより輝きを増すことだろう。つーか、スポーツ栄養士って単独では絶対需要なさそうだよね…栄養面で万全のサポートをする、素敵な奥さんというポジションに永久就職していればいいと思う。

幼なじみラブの物語としては、とてもわかりやすく、ピュアさがかなり高めの物語であった。これだけ毒気を抜かれる少女漫画もなかなかない。夏生と小春のキャラが良すぎたんだろう。小さなころからお互いの存在を大事だと認識していた二人。失くしてはならないものだと知っていたからこそ、やはり2人は一緒になるべきだったのだろう。

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幼なじみから恋をする

幼なじみと言っても結局他人小さなころからずっと一緒だった小春と夏生。お互いの癖だってなんだって、お前の事はわかってる。そのつもりだった。だけどなんでだろう。私じゃない誰かを大切に想うあなたを見て、心がざわつくんだよ…幼なじみは恋愛対象にはならない。よく言われるこのセリフ。だけど、結局は他人なんですよ。いつ恋愛に発展したっておかしくない。生きていくうえで、お互いの何でもかんでも知っているなんていうのは嘘なんですよね。本当にいろいろなことを頭の中で考えていて、いつの間にか違う世界の住人になっていたりする。考え方も、感じ方も、見た目も。全部同じでいられるわけなんてないんです。それでも、一緒にいることを選ぼうと思ったら、付き合うしかないよね。友達として一緒にいることよりももっと相手のことを知りたいと思ったら、方法はそれしかない。お互いに対するこの気持ちが何なのか、先に自覚したのは小春でしたね。...この感想を読む

4.04.0
  • betrayerbetrayer
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