『星屑ニーナ』 物語の展開とニーナさんの魅力がすごい!
『星屑ニーナ』 作者 福島聡 の感想を書いていきたいと思います。
他の福島聡作品とは一味違い、ポップな雰囲気とスピード感がまた癖になる作品です♪
展開が早い!
タイムスリップコメディの名に恥じぬタイムスリップ感ですね(笑)
ことあるごとに時間が飛んで、
ニーナさんが星屑の先生(主人)のなることに決まってすぐ3年後になり、
結婚後タイへーが星を取りに行き3年後になり、
直後宝くじが当たり反重力装置を星屑島に付け10年後になり、
次の回では50年後になっていて…
最終的には1000年飛んだり過去に戻ったり。
落ち着かないマンガですね(笑)
しかし、ちゃんと区切りごとに時間が飛ぶので置いて行かれてる感は無く良くまとまってる。
スピード感があって面白い!
魅力的なキャラがたくさん!
話が一段落するごとに時間が飛び、主人公も変わるので物語が全体的に単調にならず飽きさせないのもいいですね。
個人的に好きなのはルイ!
あんなにちんちくりんだったルイ君がニーナさんを原動力に成長する様は少年漫画好きな私にはクリティカルです(笑)
ニーナさんが好き過ぎるあまりニーナさん断ちを決行し旅に出るが、地球一周では足りず二周目に突入したり、様々なことに本気で取り組んで忘れようとしたり、
「食べることこそ愛!」
「泳ぐことこそ愛!」
「空を飛ぶことこそ愛!」
ルイ君にはすべてが愛に通じているのでしょう。
良い言葉ですね。
物語が進むにつれタイへーの過去が分かっていくのも面白い。
ていうかよく見たら結局タイへーって仕事してないじゃん!
公園でバケツで釣りしてたのはウケた(笑)
根っからのニート体質なんでしょうね。そういう意味では悟空とかベジータと同じかな(笑)
何といってもヒロインのニーナさん!
この物語を一番オモシロくしているのは何といってもニーナさんの魅力ではないでしょうか!
独特の価値観を持ち、世間一般とは一線を画したモノの考え方、捉え方には引き込まれるものがあります。
名言も多いですよね。
「ひとりでいて淋しい時はあるけど、ふたりでいて淋しい時だってあるよ。」
「一生を棒にふるくらい面白いことをやるの、退屈は敵ッ。」
「死ぬ間際はさ、アタシは今とは全然ちがう別人になってるよきっと。頭も身体もモノの考え方も。」
ニーナさんでも淋しいことがあるのかと思ったが、二人でいても淋しい時はあるかぁ…それもそうかな。
死ぬ間際に別人になっているというのもニーナさんらしい。
常に今を生きているニーナさんは過去、未来に囚われず、変化を恐れていない。
そういった部分がこの一言で表されているような気がします。
将来の為の我慢が好きな日本人とは真逆な考え方ですね。
個人的に一番好きなのは、
星屑 「人は何故眠るのですか?」
ニーナ「夢の続きを見るためよ」
難しいことは考えず、自然なままのニーナさんがやっぱり一番ですね!
まさかのヒロインであるニーナさんが物語の序盤である1巻で亡くなってしまうという展開でしたが、4巻までその存在感を保てたは、やはりニーナさんの魅力があったからこそでしょう。
さすがニーナさん! さすが福島聡!
最終回はハッピーエンド!?
なんやかんやあって星屑が人間になり、ニーナさんと結ばれる訳ですが、これってハッピーエンドなの!?
ニーナさんの笑顔が良いからとか、結ばれたからハッピーエンドという意見がありますが、私は違うと思うんですよね。
まあ確かにおおむねハッピーエンドだとは思うんですけど、ニーナさんのセリフで
「(省略)…こんな何もない場所での私の夢は全部叶ってるんだ。」
というのがあります。
確かにニーナさんの夢は叶っているようです。
しかし、その後のセリフで
星屑 「僕は昨日夢を見ました。僕とニーナさんがここでずっと暮らしてて…ニーナさんより僕が先に死ぬ夢です。」
ニーナ「アタシより先に死んじゃうの?」
星屑 「はい。」
ニーナ「・・・・・。」
ニーナ「そうなればいいね。」
星屑の夢は星屑の願望を表しているものだと思われます。
ロボットであるが故に寿命がなく、大切な人が自分より先に死んでいく経験を何度もしている星屑はそのつらさをもう味わいたくないと思っているのでしょう。
ニーナさんもそれを察してか、「そうなればいいね。」と言います。その顔は複雑そうな表情をしています。
そしてニーナさんは「そうなればいいな。」と言って踊りだし後ろを向きます。
その様子を見て星屑が、
星屑 「なんで踊ってるんですか?」
ニーナ「えー。踊ってればいろいろ忘れれるもん。」
ニーナさんには何か忘れたいことがあるようです。
私が考えるには、ニーナさんは星屑のことを思い星屑の夢(自分が先に死ぬこと)が叶えばいいと思うが、先述の通り、この何もない場所に一人取り残される不安があり、それを紛らわせるため踊りだしたのではないかと思います。
後ろを向いたのは、一瞬不安そうな顔になってしまったのを星屑に見せない為で、そう考えるとその後に見せる笑顔も満面の笑みというわけではなく、少し気丈に振舞っているようにも見えます。
確かに星屑といることで幸せなんでしょうが、完全なハッピーエンドでないというのはそういう訳です。
皆さんにはどう見えるでしょうか?
総括
終わり方は人によっては捉え方が違うかも知れませんが、作品全体としては基本的にハッピーエンドで登場人物の成長や、愛を通す様子を見ていると非常に幸せな気持ちになります。
あまり有名な作品ではありませんが、私にとっては今まで読んだマンガの中で5本の指に入る名作だと思っています。
こういった隠れた名作がもっと世に出ることを祈っています。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)