「しょく」と入力すると「殖」が2番目位に出るほどのファンが語る「強殖装甲ガイバー」
作品の簡単な概要
1985年連載開始、かれこれ30年以上続いているヒーロー漫画の名作!
ある日の下校中、偶然「ユニット・ガイバー」を拾ってしまった少年、深町晶。
謎の超存在「降臨者」がガイバー(規格外品)と呼ぶ存在となった彼は、秘密結社クロノスとの
戦いを開始する・・・といった王道なヒーローものかと思いきや、クロノスは世界征服を達成して
しまうは、そのクロノス内でも謀略が渦巻くはでてんやわんや。グイグイ引っ張られるような魅力
溢れる作品なのです!
キャラクターデザインの妙!
ガイバーの魅力と言えば、概要に挙げたストーリー展開もそうですが、なんといってもキャラクターデ
ザインでしょう!主人公ガイバーはもとより、クロノスの構成員「獣化兵(ゾアノイド)」のデザイン
は圧巻です!獣化兵の多くは、既存の動物や、伝説上の怪物などが元になっておらず、作者のオリジナ
ルデザインなのです。完全オリジナルデザインで、しかも魅力あふれるキャラクターを作っているので
すから、作者の能力の高さが伺えます。もちろん、分かりやすい動物モチーフもいるにはいるのです
が、それでも見事に「ガイバー」の世界に溶け込んだデザインラインとしているあたり、流石としか
言いようがありません。
傑作キャラクターといえば、第1話に登場し、これぞ獣化兵!という魅力に満ちたパワー系の
「グレゴール」、肩に大型の生体レーザー(これも斬新!)を備えた「ヴァモア」、最強の超獣化兵
(ハイパーゾアノイド)「ゼクトール」、そして主人公のライバル的存在にして、究極の戦闘生物
「アプトム」などが挙げられます。筆者の一押しはゼクトールです!比較的わかりやすい「カブトム
シ」型の獣化兵なのですが、カブトムシのパワーと、イメージに反して全身にビーム砲を備えていると
いうガイバーのオリジナリティ溢れるデザインラインは傑作中の傑作です!
小さな始まり、大きすぎる展開!?
偶然力を手にした主人公が、秘密結社との戦いに身を投じる・・・という始まりはありきたりなの
ですが、そこからの展開がすごかった!作品序盤~中盤にかけ、クロノスは圧倒的な力で一度は主人公
らを破り、世界征服を達成してしまうのです!もはや世界はこれまでか、と思いきや、生きていたガイ
バーらによって反撃ののろしがあげられます。そんな戦いのさなか、ガイバーとは異星人「降臨者」が
作った産物であること、その「降臨者」はクロノス、さらには獣化兵はおろか、人間、はては地球上の
生命の全てを創造した存在であるということが判明し、ストーリーは宇宙規模、地球創生の歴史にまで
発展してしまうのです!!偶然力を手にした主人公、という比較的小さな出来事から始まり、あまりに
壮大なお話へと飛躍していくのですが、それだけの広がりを違和感なく、さらっと描いてしまうのがこ
の作品のすごい所なのです。
というか、ここまでスケールのでかい設定を持った漫画というと、かの名作「火の鳥」くらいなのでは
ないでしょうか。
色々な小ネタ、よもやま話
①知ってる人には有名ですが、ガイバーは3回のOVA化、1回TVアニメ化を果たすなど、映像作品も多
彩なのが特徴です。さらにすごいことに、なんとハリウッドで実写化まで果たしているのです!・・・
まあ、主人公の必殺技がメガスマッシャーというよりミリスマッシャーだーとか、そこはかとなく漂う
B級臭とか、気になる所は色々ありますが、実写化したことは素直にほめときましょう(笑)
②筆者が思うに、作者は相当な特撮マニアなのではないでしょうか。主人公らの設定はもろ変身ヒー
ローだし(というか、漫画の初期案はメタルヒーローものっぽかったらしいです。担当からダメ出しく
らって、真逆のバイオヒーローとなったのだそうです)、敵であるクロノスの大幹部らはウル○ラマン
とかみたいなヒロイックなポーズで能力を繰り出すし、敵も味方もやったら高い所が好きだったりする
し、作中たびたび街や大きなビルやらが怪獣映画ばりにぶっ壊れるし・・・特撮ファンはにやにやしっ
ぱなしですね(笑)
③ガイバーといえば、主人公や敵の能力がメチャメチャインフレしているのが面白い。ガイバーはガイ
バーで、あらゆる物体を消滅させる威力の熱線「メガスマッシャー」や、その100倍強い強化型の「ギ
ガスマッシャー」などを備えているし、敵は敵で人工的にブラックホールを発生させたり、街一つ壊滅
させる熱線をぶっ放したり、対象を空間ごとぶった切ったり、あらゆる獣化兵の能力を取り込み、自分
の体を最適化して複数の能力を備えてパワーアップしたり、とチート技のオンパレード!しかし、一方
的に甚振る、甚振られるのではなく、チート対チートでぶつかり合っており、その辺のバトル漫画と比
べて結構バランスが取れています。そんな所もストーリーテーリングの妙なのでしょう(笑)
最後に、この漫画の最大にして唯一の欠点は、とにかく展開が遅いこと!作者の遅筆っぷりは殿堂入り
ものです。この作品のファンは、遅れに対する寛大な心をもって接してあげましょう(笑)
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