りりこは世の女性達の投影
スターりりこ
この漫画のざっくりとしたストーリーは、全身整形で美貌を手にしたりりこの身体が整形の後遺症で崩れていくという恐怖の絵図です。私が思うに、りりこは世の女性達の投影だと思います。女に産まれたからには、綺麗でいたい、男性にチヤホヤされたいという気持ちは誰にでもあると思います。それがいきすぎてしまったのがりりこで、理想を求め過ぎて本当の幸せを見失ってしまうのです。では、りりこにとっての本当の幸せとは何かとなるのですが、醜かった頃の自分を捨てて今のりりこは、全てが作り物です。そんな自分をチヤホヤしないで、私を見て欲しいという叫び声が聞こえてくるような気がします。自暴自棄や暴言や乱暴な一面は自分をわかって欲しいという甘えに見えます。スターという肩書きを手にして大切なものを置き去りにしてしまったのでしょう。
後遺症で身も心もボロボロ
身体に痣ができて、それがどんどん増えていく整形の後遺症がメンテナンスを繰り返しても手に負えなくなるのです。読んでいて、グロテスクなホラーのようでゾッとするのですが、これは身体の崩壊ではなく、幸せを失っているりりこの心の崩壊を表しているように見えます。りりこは、スターという立場で、プレッシャーから心が壊れています。周りに当り散らしたり、おかしな性癖に走ってみたりと、自分が自分でなくなっているように思えます。りりこは孤独であることを隠すためにママやマネージャーに依存し、自分の心の不安定を必死で守っているように見えます。ファンや現場スタッフ、チヤホヤしているのは虚像のりりこであって、本来のりりこではないのです。
本当のりりこ
りりこの身体はどんどん蝕まれて、ボロボロで再起不能な状態にまでなります。スターという輝かしい栄光を手にした代わりに失ったものも多い、それがまるで身体に反映されているかのようです。りりこはきっと、妹と幸せに暮らしたかったのだと思います。それなのに、美しくなり過ぎた故に、スターの階段をどんどん登っていき、降りられなくなってしまったのです。そこに意地やプライドも付け加えられて、心を削ってニコニコ微笑み、がむしゃらに働き続けていたのです。吉川こずえという、天然の美少女を目の前にして、今まで自分が作り上げたものが全て否定されたような気がして、彼女を襲撃してしまったのだと思います。最後、壊れて自害してしまうりりこ、彼女の心の弱さが限界に達した結末です。
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