史上最強の謝罪
謝罪とは強さだ。
謝ること。それは弱いことだろうか。
答えは否である。謝ることのできる者は強い者だ。
まさか、と思った人こそこの漫画を読んでほしい。
謝罪の奥深さ、謝罪の強さ、謝罪のかっこよさを知ることになるだろう。
刃牙シリーズの作者の作品のひとつだが、
刃牙シリーズでは戦いにおける強さばかりを描いているが、この作品では逆に謝罪、謝ることの強さを描いている。
戦いと謝罪、両極端にあるように感じるがいずれも強い男にしかできぬ芸当であることがこの作品から知ることになるだろう。
刃牙シリーズで、「強さ」とはわがままを通す力のことだと述べているが、
それは肉体的強さを持つものの体現である。
しかし、肉体的強さを持たなかった者、最強を別の意味で体現した者には、わがままを己が肉体で通すことはできない。
では、なにをすればいいのか。
その答えがここにある。そう、謝罪だ。
あなたは、謝罪をしていますか。
大人になるにつれてプライドだけが肥大化し、しばらく謝っていないのではないでしょうか。
そんな大人にこそこの漫画を読んで、謝罪の大切さをあらためて知ってほしい。
謝ってわがままを通す。
なにをいっているのか。わからないだろうが、きっと刃牙シリーズを読んでからこの漫画を読めばきっとわかる。
謝罪はなぜ、どのような場面で行うのか。
悪いことをしたときか、
誠意を示すときか、
否だ。
謝罪をするときとは、わがままを通すときだ。
やってしまったこと、これから行う不義理なこと、すべて謝罪で解決するのだ。
世間では「謝ればいいと思っているのか」「謝ってすむなら警察はいらない」という言葉があるが、
そんなレベルの謝罪ではないのだ。
本当の謝罪を見た者はどうなるのか。
本当の謝罪はどんなものなのか。
気になった方は是非手にとってみてほしい。
後光が指すような土下座を。
謝罪されているこちらが、恐れ多くなるような土下座を。
この男。謝男。
謝男(シャーマン)。
作者の板垣先生は長年、地上最強の男を描いてきたが、この漫画の主人公は真逆。
地上最弱の男。
教師でありながらクラスメイトのまえで「この世にわたし以下に位置するものはいない」と述べる。
もちろんクラス全員がきょとん。
しかし、そんなことを平然と述べる裏になにがあるのか。
不良たちは、強いものと張り合うことで己の強さを示したい、
だから調子に乗っている教師には反発するが、自ら地上最弱を名乗る先生に刃向かったところであからさまな弱いものいじめになってしまう。
どうすることもできない、だからどうもしない。それが地上最弱の男の作戦だったのか。
普通の人間なら考えられない表現だ。さすが板垣先生。
地上最弱を描くためには、地上最弱を描かなければ。
地上最弱を表現してこそはるか高みにある地上最強の強さがひきたつということなのか。
これは謝罪のバイブルだ。
今まで謝ることはださい、と思っていた人たち。
謝れないことが最もダサいのだ。
地上最弱以下でもいいのか。肉体的な強さだけでいいのか。
強い男に憧れるものよ、肉体を鍛えるだけではなく、精神を鍛えたらどうか。
人間、だれしも悪いことをしてきたと思う。
その悪いことに対してしっかりとあやまることはできていただろうか。
謝って、許されたのだろうか。
そんな過去の苦い経験を思い出しながら、自分が謝男(シャーマン)だったらどう謝るか。
そんなことを考えながら、是非読んでほしいものである。
強さも弱さもなく、
立場の上下もなく、
ただ詫びる必要があるか否かを考えてほしい。
そうすると自然にあなたは謝罪しているはず。
そんな謝罪は恥ずかしさなど微塵もなく、一種誇らしさすら感じてしまうだろう。
地上最弱の男から学ぶことがあることを、
謝罪の意味をしることを、
この漫画を通して教えてくれた板垣先生。さすがすぎる。
板垣先生の作品をまだ手にとったことがない人はきっと多数いるだろう。
私の周りの人たちもそうだ。
多くのひとは「絵がうけつけない」だの「気持ち悪い」だのと否定するが、
最初から否定の念しか持っていない人間には見てもらわなくたって構わない。
そんな人たちに土下座してまで読んでもらっても、それはきっと板垣先生の道に反することになる。
むしろ、無理言ってすまなかった!と土下座して立ち去ってもらうのがよいだろう。
しかし、強さに憧れるもの、少しでも興味があるひと、そんな受け入れる心を持った者に
「ありがとう!恩にきます!」と全力で謝辞し、作品を勧めたい。
最強の格闘技はなにか、
空手、柔道、ボクシング、プロレス、相撲、、、etc
様々な答えがあるだろう、
では最強の強さとはなにか、
空手、柔道、ボクシング、プロレス、相撲、そして謝罪、、、etc
もはや土下座は「強さに」なってしまうのだ。
強さのバーリトゥード(なんでもあり)があるとしたら、
私は、あえて謝罪を推していきたい。
板垣先生しか表現できない奥深い世界である。土下座と強さの答えは読者しだいだ。
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