本物に出会う
初めての出会い
忘れもしない小学2年の冬。担任からの「宿題」は日曜日の朝に放送される映画の「モダンタイムス」を観てくることだった。
それまで映画というものに関心のなかった私が「宿題だから!」と朝から堂々とテレビを独占して観た映画。台詞もほとんどない斬新さとコミカルな動きの面白さに、子供ながらに笑って観た記憶がある。
それから私は映画に興味をもち、新作や話題作を見るために足しげく映画館に通った。
しかし、初めて観た「本物」のインパクトは強く、大人になってから改めてテレビで放送されたのを観ると更にチャップリンの世界に引き込まれた。
この男は……
機械の一部のような働きをするところから始まるが、この男、運が良いのか悪いのか。とにかくアナログな映画のセットで怪我をしないかヒヤヒヤしながら観てしまう。また転職を繰り返すところで、この時代の社会やお国柄も垣間見れるところが面白い。
いつの時代も警察は横暴だし国民は疲れてるし、塀の中でも悪さする人はいるし。
でもチャップリンは明るい。とにかく前向きである。不当に捕まっても何故か明るい。妙な薬のせいかもしれないけど。歌詞がわからなくなってもとにかく明るく歌う。
今の日本に必要な人じゃないだろうか。
そして未来へ
途中から出てくるものすごく綺麗な女の子と共に新しい生活を始めるが、何故ここまで身体を張るのかと言いたくなるほどの笑いをとってくる。
こんな笑いを日本の芸人達はで目指していたんだろうなと思う。映画のあちこちに真似したのかな?と思うところが出てくる。この映画の方が先に作られているだろうし。
女の子も働くお店で、先に張っておいた伏線でまた、警察に追われたり。椅子を倒しながら逃げるのは秀逸だと思った。何度見ても笑う。
2人で幸せに暮らすことを夢見て道を歩く姿には「きっと幸せになれるよ」という言葉が自然に出てきてしまう。ちょっと生活力に不安があるけれど、完璧なんてないんだから、明るく暮らせたらいいなぁと心から願うのです。
最後に
この映画はコメディという括りではなく、エンターテインメントとして観て良い作品だと言いたい。
子供だった私を映画好きにさせてくれた映画、原点です。こんなに上手くいく人生があるわけがない、それも映画だからこそ上手くいくのです。
笑って笑って少しせつなくて、観た後にまた観たくなる映画こそ名作になるのだと思います。
人に親切にしておけば必ず報われる、そう教えてもらった映画のひとつです。
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