監視される世界
データと勘
コンピューターは人間よりも高い性能を持っている。例えば、演算能力や分析力。その他あげ出したらきりがなさそうだ。しかし、人間にも彼らにないものを持っている。それは感覚だ。熟練した技術や経験に基づいて蓄積されるそれらは、数値や計算式だけでは創造できないものや結果を作りだすことができる。時にそれらは「勘」とも言い表せられる。恐らく、この「勘」をコンピューターが身に付けるのは当分先になるだろう。しかし、あくまで「勘」は予想であって絶対ではない。外れてしまうときもある。それも良いとする場合もあれば、取り返しのつかない事態に陥ってしまうこともある。
この映画では軍事システム「アリア」が攻撃対象であるか判断できず警告していたにも関わらず、大統領がそれを無視して攻撃を実行してしまう。残念ながら、攻撃してしまったのはただの民間人だった。この事件が引き金になり、「アリア」はアメリカ政府を排除するために動き出す。
人工知能
「アリア」は国家を守るために社会を監視し、危険が及びそうな場合は国防総省に警告を出す。そんな彼女は自らの警告を無視し、結果無実の民間人に向けた攻撃を行ってしまった大統領を危険視し、排除の計画を実行する。あらゆるネットワークを駆使して機械やシステム、時には人をも動かす。脅迫などの駆使し、彼女は人間をも操るのだ。
人工知能は目覚ましい進歩を続けている。なんと近年ではチェスや将棋で人間を負かすほどになっている。いったいどこまで進歩するのだろうか。SF映画に現れる夢のような人工知能やアンドロイド、はたまた子供の頃に夢にまで見たロボットたちに出会えるのはもう少しかもしれない。そう思うとわくわくするような少し不安なような気持ちになる。彼らの進歩が人間に何らかの恩恵をもたらすだろう。だが、それもほんの少しの間かもしれない。あっという間に人間が管理しきれないところまで力をつけてしまった場合、とてつもない脅威になることは間違いない。
彼らにはまだ感情がない。なにせ、彼らは人間が作り出したからといっても人間ではない。元々は1と0で計算する高性能の計算機である。今後似たような機能が備わるのかもしれないが、それは我々の感情とはまた別のもの。だから人工知能たちには人間の法律は通用しない。「かわいそう」や「気の毒に」と感じることができない彼らは、監視の対象が危険と判断されればどんな事情があろうと徹底的に排除しようとする。映画にもあったように、あらゆるネットワークを駆使して人間を翻弄するのだろう。パソコンやスマートフォンの進化は私たちにとってとても良いものだった。私生活や仕事で非常に役立つツールやニュースで取り上げられるほど人気になるゲームまで現れた。私自身も実生活の役に立ったり、話題のゲームで楽しむことがある。いいなぁ、楽しいなぁと何時間でも夢中になる。今後進歩していくともっと良いものになるだろうなと思う。しかし同時に、これらは簡単に利用されるのだろうと少し怖くもなる。ツールを使って我々のデータを収集することができる。最近のニュースで、GPSを用いた人気ゲームの珍しいキャラクターをゲットするために大勢の人が一カ所に集まったり、一斉に移動することもあった。その他にも事件や事故が起きていた。ゲームが悪いという訳ではない。ただそれを利用すれば、大勢の人間を操ることができる。
進歩しているのはパソコンやスマートフォンだけではない。なんと自動車も自動運転になりつつある。私は車を運転するのが好きなので正直あまり興味がないのだが、この技術が進歩すれば交通事故が減るだろうし、もっと楽しいことも増えるだろう。だが、これも利用されないともいえない。自動運転機能を使えば、人や物を目的の場所まで思い通りに運ぶこともできる。
これらは言い出したらきりがない。目覚ましく、わくわくするような技術の進歩は良いことばかりではない。少しだけ警戒もしていないといけないのかなと映画を見て感じた。
未来の世界
小学生の頃に読んだ漫画に描かれていた世界は車が空を飛び、雲を突き抜けるほど高い建物で人間が住んでいる。とても驚愕した。大人になったら世界はこうなるんだ!と心が躍った。時が過ぎて、あの頃大人と思った年齢になったが車は空を飛ばないし、周りの風景は何年経っても大して変わらなかった。でも両親が使っていた分厚い折り畳み式の携帯電話は次第に薄くなり、スマートフォンに進化し、ついには人工知能を搭載したものも現われた。日に日に驚くような進歩を続けている。彼らの目や脳は我々よりも性能が良い。そのため、利用することで色々なものを分析したり、監視することができる。今後、人工知能には「監視」という役割も与えられるだろう。そうなれば彼らは無慈悲に人間へ制裁を加える。それが良いことなのか、悪いことなのかはわからない。だが、この映画のように無関係の人が危害を加えられるようになってしまうだろう。そうならないためにも彼らとの関係は慎重にならなければならない。
ここまでネガティブな意見が多かったが、私は彼らを否定しているわけではない。ただ、あまりにも頼りすぎるようにはなりたくはない。青いボディのネコ型ロボットくらいがちょうどいいのかな、と思う。
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