もう少しうまく展開して欲しかった作品 - カレ、夫、男友達の感想

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カレ、夫、男友達

3.503.50
映像
3.50
脚本
3.50
キャスト
3.50
音楽
4.00
演出
3.00
感想数
1
観た人
1

もう少しうまく展開して欲しかった作品

3.53.5
映像
3.5
脚本
3.5
キャスト
3.5
音楽
4.0
演出
3.0

目次

女所帯

女三姉妹でそれぞれが個性的。似ている部分は男運のなさと見る目のなさで、これは母親譲りなんだなあと納得しました。木村多江さんは日本一不幸の似合う女優として地位を確立されています。その役がDV夫の妻役で、悲壮感が増しているなあと自分自身の長所を存分に発揮されています。真木よう子さんは性については奔放で、ある程度一途で、でもそばに恋人がいないとひらひらとどこかへ飛んで行ってしまう軽さがあります。それは彼女のイメージに合っているし、真木よう子さんの美貌が周りを放っておかなくさせるんですよね。三女の夏帆ちゃんはもうなんだか切ないです。父親に対する偏見と不正愛に飢えていて、典型的なファザコンになってしまっていますね。これを打破するって本当に難しいと思います。ましてやまだまだ若いし学生ですし、落ち着いて考える暇もなく毎日が過ぎていく時ですから、感情がまとまるはずもありません。若さゆえの苦しみだなあと、少しだけ懐かしく思いました。母親の高畑淳子さんも全てを無理に悟ったような役柄でとても合っていると思います。しかし、娘三人を立派に育てて、離婚した夫とも友人関係が続いて、本人は表面上は納得という風を装っていますが、その中途半端な気持ちが時々三女を傷つけているという自覚がなく、フォローもきちんとされていない様子で、なんだかもやっとしました。家庭を築くのは夫婦で築きますが、夫婦の事情を子どもに投げつけるのは違うなあと腑に落ちませんでした。父親は論外。所詮父親も人間だという事実のみで、不倫して再婚してちゃっかり新しい命までこしらえて、再婚相手もいやらしい笑顔を浮かべて、娘のかぶった不幸分は背負い続けて生きて行ってほしいなあと思いました。

三人三様

女三姉妹というのは男親にしてみれば理解できない領域の広い家族が三人もいるわけで、立場的にはどうなんでしょう。肩身が狭くてもどかしいのでしょうか。私は兄が二人いて女兄弟という存在がいません。従兄弟もほとんど男で、女の身内は母親に親戚の叔母さんと年が離れています。私はその分可愛がられましたが、子供が三人とも女子というのは私にとっても不思議で理解できません。女の子しかいない家庭でもっとピンク色のふわふわした性格になりそうですが、治子はサバサバしていますし、育ちゃんもどちらかと言えば女々しい部分はありません。麻子は初めての子だからか、女性らしい奥ゆかしさがあります。この違いはどこで生まれるのかわかりませんが、高畑淳子さん演じる母親がだいぶこざっぱりとした性格だから治子も育子もそんなに女女しくはないのかなあと。

DVの落とし穴

麻子は暴力を振るわれても、隠しカメラを設置されて四六時中監視されても、邦一が好きで、一緒にいたくて放って置けなくて自分のことを大事にしようとしません。これいかに。共依存になりかけてるのかなあとうすらぼんやり思っていたのですが、一度逃げ出してからはっきりと共依存であることがわかりましたね。もう始めからお気付きの方もいらっしゃったと思いますが、なぜでしょう、どうして居心地の悪い場所に帰ろうとするのか。というよりもNHKさんってこういうドラマをあえて作る目的はなんなのでしょうか。民放は数字を取るために(数字のためではなくもっとクリエイティビティな目的のもとあえて)過剰な演出や人間の本能的な部分に訴えかける題材を使ったりすると思うのですが、NHKさんはなぜマヨネーズをぶっかけちゃうような昼ドラちっくなドラマを作ったのでしょうか。ふと疑問に思いました。私はあまり局にこだわってドラマを観るタイプではないので、こういう流れがすでにできていたらすみません。クリーンな青春ドラマというイメージの強いNHKさんがDVでボロボロになる木村多江さんをばーんと映し出していることに不思議でした。相当生贄として身を捧げているにもかかわらず、自分をまだ差し出そうとする麻子。同じ家族だったらもどかしい。助けようとする家族の気持ちを踏みにじってるという自覚はあるんでしょうか。変な家族で変わってたっていつだって麻子の味方なのに、こちらが悲しくなってしまいました。DVは周りの人間まで不幸にするなあと改めて思いました。またそれを演じているのがユースケサンタマリアという意外な人物で、最初は違和感が大きかったのですが、だんだん見ているうちにその違和感が不気味さを膨らませていて、いい人そうに見える人物が実は家庭では暴力振るうんです、という怖さにゾッとしました。いやです。見た目じゃ判断できない、結婚してからじゃないとわからない、その人の本性なんて見破ることは容易じゃない。赤の他人と結婚することで、また結婚を継続することの難しさを学んだ気がします。

パパとママ

成人してもパパとママと呼んでいて、家族を疎ましく思うわけでもなく、家族としての単位になると妙にまとまる人たちだなあと思いました。麻子以外はまだ結婚していないというのもあると思うのですが、全員成人していて、それぞれの生活がある程度決まっていて、それでも何かあれば家族として力を合わせて各々のできることをきちんとやり遂げる。変な家族だ、変わってると言っていても、たとえ夫婦が離婚しても、目の前の色々な事実をきちんと受け止めて認めて、それから自分の行動を選択できている、家族に帰るとみんなが客観視できる、冷静になれるというのはいいことだなあと羨ましく思います。この家族の一員になりたい、憧れるという気持ちからか、父親の不倫相手は離婚という結末に至らしめるのですが、だからと言って繋がりを断つことなく、むしろ家族として迎え入れんばかりのママの対応には脱帽です。きっと知らないところで葛藤はあったと思います。でも、この家族の中心はママだなあと。パパのひとりの男としての気持ちはわかりませんし、でも、ママを選んで結婚して娘を三人育てたことはやはり間違いではないことだったなと、そこだけはこのパパを認めたいと思います。

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