とにかくかっこいい
座右の銘はラブアンドピース!そんな彼は人間台風!
主人公のヴァッシュ・ザ・スタンピードは金髪ツンツン逆立てた髪型に青い瞳で真紅のコート、派手な格好して大口径のリボルバー拳銃に、左腕には隠し銃を仕込んだ義肢を持ってあっちこっちで騒ぎ起こすから、とうとう600億$$の賞金首になっちゃったのに、本人は至って平和主義。ただの平和主義じゃない、不殺の凄腕ガンマンというトンでも設定にめちゃくちゃ笑いました。しかも自己紹介はこれ。
あえていうとするなら
愛というカゲロウを追い続ける平和の狩人…みたいなカンジ?
何言ってんだオマエ的なことをしれーっといってのけ、襲い掛かるチンピラを軽くいなして彼の凄さを感じさせてくれました。町内会の大騒動ののちに賞金首から局地的災害に政府から指定されて賞金はなくなったけど、やっぱりどこにいってもお騒がせ。そんなヴァッシュですが、最初の頃はだいたい事件に巻き込まれてましたね。災厄が喜んでやってくる、みたいな。
コミカルでテンポも良く、どんどん読みたくなりませんでしたか?私は当時次の日仕事だっていうのに面白くて、コミックス3巻深夜まで読みふけりました。次の日寝坊して仕事ギリッギリでしたね。それくらい面白かった。
出てくるキャラクター達もそりゃあ見事に個性的。ウルフウッドは読み返すと3巻で初めて登場したんでした。砂漠で「用意のいいイキダオレ」と言われたあの十字架はまだ本当の姿を見せてなかったりね。その後の「マキシマム」からいいコンビになっていきますが、ここではあんまり出てきませんでした。
メリルとミリィの保険屋コンビの登場時のセリフも「マキシマム」につながっていきましたね。あれは嬉しかったなあ。
メリル「バナナサンデー!」
ミリィ「ガトーミルフィーユとセイロンティーをセットで」
ガトーミルフィーユ、食べてみたくてどこに売ってるんだとつい探しましたが、当時住んでた場所のケーキ屋さんにはどこにも置いてなくてガッカリしました。その時には東京に住んでましたが、都下だったので23区の有名店ならあったはずです。後日友人が遊びに来てくれた時にガトーミルフィーユを持ってきてくれまして「ミリィちゃんのあれだああああ」と心の中でサムズアップ。もちろんセイロンティー用意しましたよ。
今ならアニメや漫画のカフェをイベントなどでやっているから、この2つのメニューは鉄板になるでしょうね。やったらいいのになあ、連載開始〇周年記念とかでカフェ。妄想は広がりますね。
いちいちカッコイイキャラクターやメカニックデザインの数々。
トライガンって言ったらこれに尽きます。特にヴァッシュの大口径リボルバー。リボルバー式と自動拳銃をミックスさせたような感じで本気でカッコイイ。だいたい銃口が下についてるデザインなんて見たことなかったですよ。スタイリッシュ。
もしかしたらガンマニアの方で「こういう銃実際あるよ」ってご存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、私は知りません(そもそも知識もあんまりない)。ただリボルバーは見た目かっこいいけどヴァッシュのようなドンパチじゃ、弾なくなったらマガジン替えるだけの自動拳銃のほうが楽だったんじゃないか?とは無粋ですね。リボルバーのほうが弾詰まりないし、ヴァッシュだったらあっという間に装填しちゃうから。
メリルのデリンジャーは実際ある小さな拳銃ですが、ミリィのスタンガンは架空のもので十字型金属棍棒を射出する大口径。一応非殺傷性らしいですが、あんなのに当たったら普通に大怪我です。下手したら死にます。でもカッコイイんですよねえ。片手で持てちゃうミリィちゃん素敵。
A・ARM(エィンジェルアーム)に至ってはもうなんていうか、美しくて恐ろしい、人ならざる者の武器ですね。ナイブズがきっかけを作り、ヴァッシュの右手が変化して圧倒的なものになる。それを使うと月に穴が開くほどの威力を持つとは……武器というか兵器というか。意味は同じかもしれませんが。
砂蒸気(サンドスチーム)もカッコよかったですねえ。砂の上を走る巨大蒸気機関車は現実世界でいえば豪華客船みたいなものでしょうか。ヴァッシュも「3等客室」と言ってるし、中にいる人々も着飾って優雅な旅を楽しんでいる描写がありましたからね。砂蒸気の内部にある伝声管部屋とかカイトが砂蒸気の強制停止した場所にもゾクゾクしました。名前も「フロウリッシュ号」なんて洒落てました。
バド・ラド団の集団が乗ってるのはタイヤがついているから砂蒸気とは違った乗り物なのかな?でも砂蒸気に追いつけるだけのスペックがあって、なおかつ暴走した砂蒸気を止めることができるって、これ相当な乗り物でしょう。
バド・ラド団と言えば派手ないでたちのヘッドのB.D.ネオン。キャラデザが秀逸です。彼もまた敵ながらカッコよかった。やってることは盗賊だけど、ヴァッシュとの仁義通してましたしね。持ってる武器は装飾されたリボルバー。おしゃれな雰囲気の銃でした。ヴァッシュは腹に穴開けてたハンディで戦ったけど、ネオンだって両肩に重量級の発電機積んで挑んでました。そして片方の発電機を吹っ飛ばされて負けた彼は部下に言うのです。
命はるからカンバンってのは光るのよ
これは人の生き方に通じるものがないですか。
そりゃ普通に生きてて命はるようなことなんてありえないです。でも、一生懸命生きてたら、仕事でも趣味でもなんでも頑張ったらネオンが言う「カンバン」は光るんです。それがうまくいかなくたって、その人の人生は光るんじゃないかと。
キャラクターの成長記でもあるエピソード満載。
2巻でメリルとミリィが出会った老夫婦とバドウィック。この親子の関係が変わると同時に、メリルもまた変わっていきます。親との関係は家訓の「自立せよ」との言葉をドライなものとしてとらえていた彼女は「月刊ミリィちゃん」と呼ばれるほどの分厚い手紙を書くミリィに「絵葉書程度が普通」と言います。実際そんなもんでしょうね。でも、バドウィックが自分の親に銃を向けたことを怒れるミリィを見て、モーガンから老夫婦を守り、おじいさんから言われた言葉で「自立」の意味を知っていきます。そしてバドウィックもまた、親からの愛を知っていきました。
砂蒸気・フロウリッシュ号のエピソードの時に出てきたカイト。彼もまた成長していきます。バド・ラド団の使いっぱしりしているときにヴァッシュに出会い、少しずつ変わっていきます。父の設計したフロウリッシュ号の設計図の写しを大切に持っていたことで、父を慕っていたことに気づき、その大事なフロウリッシュ号を守るために戦いました。そして彼も大人になっていくのです。そんなカイトが歌った歌はレムの歌っていた歌。歌い継がれている歌を聞いたヴァッシュはきっと、親から子へとつながっていく人間の営みに感動してたんじゃないかと思うのです。
最後に。
3巻ラストに教会に集まってきた異能集団GUNG-HO-GUNS。そこで生まれ変わったナイブズは、人間を憎み、滅ぼそうとしています。そこには「チャペル」と呼ばれたウルフウッドもいます。これからヴァッシュもメリルもミリィもどうなってしまうのか……と、本気で続きが気になっちゃう終わり方しましたよね。もうね、ほんっとーに気になって気になって「このまま終わっちゃったりしないよね!?ねえ徳間書店さん!?」と思ってたら少年画報社さんから「マキシマム」がでて本当に安心しました。ありがとう少年画報社さん。
ちなみにメリルがヴァッシュに名前を呼ばれたところ、私の中では思いっきりフラグ立ったのは言うまでもありません。いやあ妄想しまくりました。
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