テニスを通じて岡ひろみから、力がもらえる作品 - エースをねらえ!の感想

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エースをねらえ!

4.504.50
画力
4.75
ストーリー
4.50
キャラクター
4.65
設定
4.50
演出
4.25
感想数
2
読んだ人
3

テニスを通じて岡ひろみから、力がもらえる作品

5.05.0
画力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.8
設定
5.0
演出
5.0

目次

よし!と自分自身にエネルギーをもらえる

スポコン物の漫画は数多くあるけれど、私が読んだ中では一番エネルギッシュで、自分自身に力をもらえた漫画でした。辛い時や悲しい時に「エースをねらえ」を読んで乗り越えたような気もします。実際、この本を読んでテニス部に入ったのですから、この作品の影響力は半端じゃないでしょう。確か、あの松岡修造選手も「エースをねらえ」を読んでテニスをしていたと聞いています。古い漫画ではありますが、人々の心に響く作品です。

 

力のある名台詞が多い

人々の心に残った理由として上げられるのが、名台詞だと思います。「この一球は無二の…」や「同じ人間が打ったボール、取れないはずがない」「ぞうきん一枚でコートの水を…」など、いくつもの心に響く台詞がちりばめられています。その台詞は引用もありますが、この場面にふさわしい言葉ばかりです。作者が登場人物の心に寄り添えたからこそ、名台詞となり読んだ人の心にいつまでも残るのだと思います。

 

何度読んでも涙が止まらない

読んだ人がどのような感想をあげるかはわかりませんが、私の場合は何度読んでも涙が止まらなくなってしまいます。その泣ける場面は、宗方コーチが死んでしまう場面もそうですが、それよりも泣けるのは、岡ひろみが宗方コーチの死を乗り越えて、再びコートに立つ場面です。人は悲しみよりも、感動することで涙を流すものなのだなと、改めて感じました。

 

客観的にみると老けた高校生

漫画の描き方は作者によって異なりますが、登場人物は、かなり大人っぽいです。悪く言うと老けているかもしれません。特に、高校生らしい初々しさがないのは、お蝶婦人です。立て巻きカールの髪型に大きなリボン。本当にこの髪型をしたらいったいどんな高校生となるのでしょう。今の高校生なら絶対にしないヘアースタイルです。しかし「エースをねらえ」の中では、違和感のない髪型でした。特に、テニスで追い詰められたときに、お蝶婦人のリボンがハラハラと落ちた場面は圧巻でした。お蝶婦人の本気度がリボンの取れた彼女から感じとれます。男性人の藤堂と尾崎は長髪の無造作ヘアっぽい感じで、これもまた高校生のヘアースタイルとは思えませんね。

 

岡ひろみと藤堂の恋がせつない

テニスがメインとなっている「エースをねらえ」ですが、岡ひろみと藤堂の恋愛は見逃せません。岡ひろみの成長を妨げるような愛仕方をするなと、言われた藤堂は影ながら岡ひろみを見守っていきます。惹かれあう二人が互いに距離を置こうとしている姿は見ていてもとても切ないものを感じます。岡ひろみはそんな藤堂との試合の中でテニスの誰もがなしえなかった業を取得していきます。物語の中のできごとなのに、二人の緊張した恋愛感情と、岡ひろみのひたむきなテニスする姿を見事に描かれているために、本当に起きた出来事のように錯覚を起こしてしまいます。

のびのびとしたテニスの絵

「エースをねらえ」はテニスをテーマとした漫画なので、当然にテニスシーンは多いのですが、その際に書かれているテニスフォームが実に見事です。サーブする姿やレシーブする姿、エースをとる瞬間などをノビノビとした絵でダイナミックに表現しています。そして、登場人物の表情もすごくいい!追い詰められた時の表情や勝ち進んでいる時の勢いのある表情、気持ちを切り替えた時の表情がその人物の心を上手に表していると思いました。特に、岡ひろみの「ちくしょう!」といって試合に臨む姿はかっこいいです。

 

岡ひろみの仮病が笑える

「エースをねらえ」は、濃いスポコンの話ですが、時々笑える場面もインパクトがあって見所の一つとなっています。たとえば、画鋲を踏んでしまっただけなのに、テニスを休みたいために、包帯でグルグル巻きにしていたのが、コーチに包帯を取られてばれてしまう場面はかなり笑えました。

 

時間の流れを無駄なく生かしている

作品は岡ひろみが高校一年から大学生までを描いていますが、時間の流れと経過をとらえて、上手に利用していると思います。岡ひろみの描き方も「エースをねらえ」の最初の方では子供っぽい雰囲気に書かれていますが、後半の岡ひろみは、髪型は変わっていないのにとても大人っぽく、色っぽい見える岡ひろみになっているのです。また、高校で後輩が登場し、高校の卒業というときの流れを作ることで、読んでいる人を物語に没頭させていると感じました。漫画やアニメだと、この時間経過や流れを無視した作品が多数あり、何年たっても登場人物の年齢は変わらないことがありますが、「エースをねらえ」はあえて時の流れで、人々の心をつかんでいると思います。時間とともに主人公も成長し、読んでいる私たちは、その成長を見守っていくうちに、いつのまにか岡ひろみを応援しているのです。

 

宗方コーチが死んでからが良い

「エースをねらえ」というと、宗方コーチが死んで終わりだと思う方も多いかも知れませんが、そこから先がより面白く、感動する展開になってきます。再起した人間がどんなに強いのか、人間が再び立ち上がる事の感動をぜひ見て下さい。

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命がけのスポコン魂

ひろみの忍耐「エースをねらえ」は、絵を見るとコテコテの少女漫画であるが、読み進めるうちに実はすさまじいスポコン魂が描かれたストーリーと、仏の世界にも通じるほどの高い精神性が根底に流れているように思えてならない。主人公の岡ひろみは、ペットの黒猫のゴエモンと戯れる普通の女子高校生であるところからはじまり、宗方仁という鬼のようなテニス部のコーチとともに一流のテニスプレーヤーに成長していく。テニスに打ち込む向上心、宗方コーチへの師弟愛、藤堂との恋愛、すべてはひろみの忍耐が支えている。お蝶夫人の嫉妬心岡ひろみの憧れの存在である、お蝶夫人こと竜崎麗華は、高校生とは思えないほどの精神性の持ち主である。物事に動じない言動、高いプライドと自信は、彼女の美貌と育ちの良さに裏打ちされたものだろう。そんな彼女も岡ひろみに対して一時期、嫉妬心を燃やすことがあるが、ひろみの素直さに次第に彼女の心は溶けていく。彼女...この感想を読む

4.04.0
  • めいたんめいたん
  • 275view
  • 2040文字
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