観ている人を裏切る奇妙な映画だ! - デンデラの感想

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映画レビュー数 5,784件

デンデラ

2.702.70
映像
3.30
脚本
2.00
キャスト
3.50
音楽
3.00
演出
2.50
感想数
1
観た人
2

観ている人を裏切る奇妙な映画だ!

2.72.7
映像
3.3
脚本
2.0
キャスト
3.5
音楽
3.0
演出
2.5

目次

デンデラという題名に惹かれる

デンデラという不思議な題名に惹かれて、以前この映画を大きなスクリーンの映画館で見てきました。姨捨山という老女を山に捨てるという宣伝だったので、ヒューマン的な物語が見れると期待して観にいったのです。確かに最初の前半は母親を山に捨ててこなければいけない息子、母を背負い山に捨ててくる時の親子の葛藤などを感じられましたが、映画の内容は全然違ったものでした。昔、楢山節考とうい映画で似たようなこんな感じの映画を想像してしまうと、全然違うので裏切られた感でいっぱいになってしまいます。デンデラという意味は楢山節考に匹敵する題名ではなく、老婆達が生き残った村の名前です。老婆を捨てるとなるとヒューマン的な要素から外れないと思うのですが、デンデラは見事に外し、思いもかけない展開へと導いていく映画です。

 

思ってみないストーリー展開

映画というのは、テーマがあってそれを軸に描かれている物だと思いましたが、デンデラに関しては当てはまりません。良く言うと予測不可能な物語となるのでしょうが、私は支離滅裂で何を描いている映画なのか、全く理解できなかったという、辛口な感想になってしまいます。その原因となるのがストーリー展開の繋がりのなさです。まず捨てられた老女が、実は生きていた。それがデンデラという村の訳ですが、生きていた老女たちは自分達を捨てた村を襲い復讐を企てようとします。確かに、ここまでの展開には無理はありません。捨てた方と捨てられた側、今後どう相対するのか?観てみたい気にもなります。しかし、デンデラの老女たちは村に復讐する事無く、大きな熊に襲われて次々死んでいくのです。それがちょっとやそっとの死に方ではありません。無残な殺され方をされてしまい、映画はホラーとも言えるような展開になってしまうのです。要するに、前半と後半がまったく繋がっていません。まるで違う人が、お互い書きたいことだけを書いてしまった作品のように思えるです。当初、母親を山に捨ててこなくてはいけなかった息子の葛藤はなんだったのでしょう?そして、村に復讐を誓っていた老女の意味は全く無になってしまいました。ただし、筋やテーマが通ってなくても決して退屈な作品ではありませんでした。クマに襲われるので驚きの連続でした。本当に不思議な作品です。

 

ここまで老女を並べられても

映画には美しい女優さんなどの花となる人物が必要だと思いますが、デンデラでは一つもありません。これほどまでにボロボロにする必要があったのか、年より的なメイクは必要なかったのではないかと思いました。見ている人は100歳の老婆と言われても、あまり見た事無いわけですからおばあちゃん的な部分があればいいだけで、なにも見苦しいまでなお姿にする事はなかったと思います。

 

戦う老女にかなりの無理がある

捨てられたデンデラの人達は村に復讐しようと企てますが、いくらなんでもその年齢のおばあちゃんには復讐する力なんてないと思います。確かに、鍛えたり体力を高めるだけのことは出来ると思いますが、人を殺すという人間的に反した考え方したおばあちゃん達なんて考えられません。賠償美津子演じるマサリは村の掟を破り家族を皆殺しにされ村人に憎んでいます。そのマサリが村人その復讐に反対するのですから、この映画を見ている人達はおばあちゃん達の訳のわからない感情に振り回されることは、間違いないでしょう。この後、復讐からも外れてしまうストーリー展開は本当についていけなくなりました。

 

クマ、クマ、クマ!

これほど、思いもかけない展開で驚かされた映画は久々に見ました。今までのデンデラの存在も、村への復讐も、デンデラに住んでいる人達の仲間割れも、無となってしまう熊の脅威が出現します。普通は熊というと、冬に冬眠するはずですが、デンデラ襲ったクマは冬を越しているクマだということ、しかもその熊は、非常に強暴になるということです。こんな展開なら、デンデラという村の存在も、復讐という名目も全く必要なくなりました。

ただし、今までのストーリーの疑問を感じさせないようなクマの恐怖はインパクトありました。小屋に入ってくる残虐なクマは恐怖以外の何ものでもありません。これが見せたいのなら、もっと最初からクマの恐ろしさを前面に出しておいてくれれば、また違った面白さの映画になったのになと思います。このクマの存在はストーリー展開に困った挙句に、くっつけてしまったのではないかと思えてなりませんね。

 

結局テーマは?

デンデラのテーマは、老いについてだと思ってみていたのですが、最後がクマに食われる展開になってしまってわかりませんでした。想像ですが、もしかして老人達へ何かしらのメッセージを送りたかったのかも知れませんね。あまりいいメッセージではなくて、年相応に生きよう的な感じではないかと思います。恨みを引きずることなく次の世代にゆだねる気持ちと、年を重ねていったからと言っても人間は偉くはなれないといったところでしょうか。最近は、老害と言われる言葉もでてきました。そんな意味を持っている作品なのかも知れませんね。

 

本当はもっと素敵な女優さん

最後に、デンデラに出演した女優さんは、雪の中大変苦労して撮影したように見受けられます。ここで登場する人物よりもずっと素敵な人達だということを、付け加えておきたいと思います。本当に、お疲れさまでした。

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