まさかのどんでん返し
見てるこちらも騙された
この映画は2度見たくなると言われていたが、実際に私もそうだった。ヴァージルと同じく愕然とし「騙された!」と思った。そしてその伏線は映画の様々な部分に散りばめられており、見返すと「あのシーンはそういう意味だったんだ!」と楽しめた。2度見て2度楽しいと思える映画だ。
持つべきものは友?
鑑定師のヴァージルはある日不思議な依頼を受ける。なんと顔が見えないのだ。仕事を進め、彼女に関わるうちに惹かれてゆく。ある日壁の隙間から覗き見たクレアの姿はとても美しかった。その日からヴァージルは彼女の虜になっていた。ヴァージルは友人であるロバートに相談したり彼女に服を贈ったりして、なんと結婚までこぎつけるのだ。
しかし最終的には彼女を含め友人たちにも騙させてしまうのだ。ヴァージルに認められなかったビリー、友人の機械技士のロバート、そしてその周辺までにも。コレクションにしていた絵画は根こそぎ盗られ、ロバートが組み立てたオートマタは彼らからのメッセージをしゃべりながら不気味に動いていた。そのシーンはとてもゾッとした。あの歳になるまで女性とも上手くいかず、友人も数少ない。宝は絵画の少女たち。彼はそのほとんどを奪われてしまったのだ。なんともやり過ぎなのではと思った。彼をここまで貶めるために長い時間をかけて、怪しまれないように繊細に。まるで絵画の贋作のようだ。恐らくビリーから贈られた絵画もビリーが描いたものだろう。もしかするとこのとんでもない事件そのものがビリーの作品なのかもしれない。
彼はまんまと騙されたのだ。残念ながらヴァージルには見る目がなかったようだ。
彼女の思い出の場所で
事件後、彼はクレアが話していたレストランへと足を運ぶ。1人で寂しそうにしている。彼はクレアを待っている。だがもしクレアが現れたら彼はどうするのだろうか。「よくも騙したな」と怒り狂うのか、はたまた「あの時はそんなこともあったけど君のことを愛しているんだ」と許すのか。
それは彼自身もわからないのではないだろうか。彼女を愛しているのは間違いない。でも彼はたくさんの物を失いすぎてもう真っ白になっているのだ。施設に入ることになり、ただただ呆然と日々を送っていたがやはりクレアのことが強烈に頭に焼き付いていた。その思い出のみを頼りに彼女の思い出の場所へ。ただそこで彼女に何を話すかも考えてないし、そもそも会えるかもわからない。でも彼女が言っていた思い出の場所に行きたかった。何か彼女を感じる事ができるかもしれない。そう彼女が最初で最後の愛した人なのだから。きっと彼はずっと待ち続けるだろう。
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