コメディの重要性を主張したい映画だがそのコメディがうまくいってない - サリヴァンの旅の感想

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コメディの重要性を主張したい映画だがそのコメディがうまくいってない

3.43.4
映像
3.5
脚本
4.0
キャスト
3.5
音楽
3.5
演出
4.0

目次

コメディの重要性を問う

コメディ作りに嫌気がさした映画監督という前提の人物が登場。よくある話だが、社会派の映画を撮ろうとし始めますが、周囲に「苦労知らずのあんたでは無理」と言われ、反対を振り切って浮浪者に身をやつした旅を始める。まあ、このあたり突拍子がないのですが。

そのうち、ハリウッドで女優として芽のでない失意の女性とともに行動を始めますが、ちょっと苦労したら家に帰って休養をとるというやりかたです。はんぱものですね。

そのうち、別の浮浪者に襲われ、警官を殴るという事件を起こし、自分が誰かを証明する機会を得ないまま強制労働所送りに。自分と誤って自分を襲った浮浪者が自分として死んでいる記事を見つけ、一計を案じ、自分がサリヴァンを殺したのだと言って、世間の目に曝され、仲間達に救出されます。サリヴァンが死んだと思って、会計士と結婚した元妻の情報が入り、別れたかったサリヴァンは晴れて、例の女優の卵と結ばれるという落としどころです。いずれにしても、サリヴァンはコメディはやはり重要なのだと労働所体験(皆がくだらないアニメコメディで大笑い)で気づくとかいうテーマも入っています。

脚本はよく練られているが・・・

脚本がよく練られていてはいます。でも、もう少し、主人公が女優に心を引かれるところを描いてくれてもよかったですね。なぜなら女優が結構魅力的ですから。中盤から、「本当に大変な苦労をすることになってしまう」という強制労働所送りの展開は絶妙だし、短い間に、一計で脱出するというのもこれまた見事です。

ちょっと、労働所の時間が短すぎるかなあと感じました。労働所の苦労があまり伝わってはきません。また、コメディがどれほど人々を楽しませているかという主張が出てきていますが、これぞ最高のコメディという感じではありません。音楽映画で「名曲ができた」と言って、その映画のために作った曲が果たして名曲かという大勢にとって説得力のある曲が提供できるのかに似ています。そういう意味では、この映画のコメディの重要性を示すコメディの提供は失敗に終わっていると思います。

全体を通して何か大事な一本線が弱い気がする。

全体を通して、何か、根本的な「一本線」がないというか、弱い気がする。それは俳優なのか、ストーリーなのか。他に、言及する点としては展開が早いこと、それから、映像のみでストーリーを追うところもよかったと言えばよかったのですが。

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