悪に勝ったマレフィセントの優しさと深い愛情
マレフィセントの持つ本当の優しさと彼女と一体化した私
マレフィセントと聞くと私は暗く怖い印象を持ちます。多くの人がそんな風に思うでしょう。しかしこの作品にはマレフィセントの秘めた女性らしさや美しい外見などがタイトル通り彼女を中心に描かれていました。眠れる森の美女とは全く違う印象を受けて彼女の事が私は好きになりました。眠れる森の美女の中にももっとマレフィセントの女性らしさや優しさを表に出していけば良いのにと感じました。もしかしたらオーロラよりもマレフィセントの方に魅力を感じるという視聴者は多いかもしれません。男性でも女性でも関係なくマレフィセントの孤独な世界感を気になり出すでしょう。私は正しくそのうちの1人であり、マレフィセントの暗いイメージが気に入ってしまいました。あそこまで大きな翼を羽ばたかせながら自分の世界を見てみたい、あんな速いスピードで空を飛び全体に広がる景色が美しすぎて感動しました。次々にその景色がスライドショーの様にどんどん入れ替わり、私はまるで自分もマレフィセントと同じ景色を見て風を感じているような気持ちでいっぱいになったのです。とにかく、マレフィセントが黒い翼を広げてものすごい速さで飛び回るシーンが私は大好きです。不思議なことに、私は高い所が苦手で普段から遊園地などでジェットコースターや観覧車でさえ乗る事が出来ません。映画を見ていて高い所のシーンが映り出されるとゾクっとしてしまいます。鳥肌が立つため目をつぶってしまうほど高い場所は苦手なのです。そんな私がこのマレフィセントを見て、彼女が空を飛ぶシーンを何も恐れる事なく見れただけでも嬉しく、不思議に思いました。なぜ私はこの場面をずっと楽しみながら見る事ができたのでしょうか。あの時の私は明らかに楽しんでいて体を揺らしている自分がいました。それは私がマレフィセントと一体化して大きな翼を一緒に広げている感覚でした。マレフィセントに入り込み、空からみた景色は最高に素敵でした。何度でもあの景色を見ていたいと思いました。それ程素晴らしい景色を見てきた彼女の心の中は黒く塗り潰されているわけがない、悪の心を持つわけがないと私は確信していました。
オーロラの笑顔に秘められた魔法
マレフィセントが大事にしていた自慢の翼が奪われてしまったせいで、存在していなかったはずの悪の部分が少しずつ湧き出て怒りが込み上げてくる場面は個人的には非常に悲しい印象を受けました。恐ろしさも感じながらもそれでも彼女の魅力は失われていません。心に少しだけ存在していた優しさが私は忘れられませんでした。
どこか遠くで見守る存在として温かい光のようなマレフィセントは、作品を観る前の私が想像していた女性とはまるで別人でした。これまでに見た作品の中でこんな風に自分の想像と違う印象を受けた登場人物は今までにありません。最初から最後まで彼女の魅力は優しさに包まれながら生きたオーロラにも映り出されていました。オーロラが受けた沢山の優しさはほとんどがマレフィセントからのものであったと確信出来ました。まるで母親のような存在として作品では描かれているように感じました。遠く離れた場所からそっと見守り続けたのは女性の本能なのです。翼を奪われてしまった彼女は以前よりも人間に近付き、さらにその母性本能が生まれオーロラという可愛くて美しい女の子を見捨てる事が出来なかったのだろうと私は思います。母性本能は、女性なら誰にでも存在して人それぞれ感じ方は違うのかもしれませんがマレフィセントの孤独を癒してくれる存在になったオーロラは、マレフィセントの優しさを受け取りお互いに強い絆が生まれます。オーロラもマレフィセントもきっとお互いの存在の大切さに気付きマレフィセントの悪はオーロラが消し去ってくれたような気持ちになりました。”オーロラの笑顔”にはそんな力があったのではないでしょうか。自らが放った悪の魔法が、マレフィセント本人を苦しめていたのです。永遠の眠りについたオーロラがマレフィセントのキスで目覚めたように、オーロラの笑顔は、マレフィセントの持つ悪を少しずつ小さくしていく魔法のような力が存在していたのです。
最悪な印象から愛されキャラクターにまでなったマレフィセントの存在感
眠れる森の美女をもしこれから見る事があったら間違いなくマレフィセントを中心にみてしまうかもしれません。オーロラは美しく可愛くて素敵な笑顔を持ち多くの人々から愛されるキャラクターです。マレフィセントはもちろん脇役でしかありませんでした。その事実は誰もが認めることでもあります。しかし、人それぞれそ、どのキャラクターを愛するかは自分にしか分かりませんし、自分の感じ方によって当然異なります。誰もが主人公を愛するわけではないのです。
私はこの作品を見るまではオーロラが1番大好きでした。何故なら想像の中でのマレフィセントは暗くて深い悪の魔法を手にした真っ赤な口紅が特徴的な気味が悪いという最低な印象だったからです。しかし、本来の彼女を知った瞬間、私はマレフィセントが大好きになり彼女の母親のような優しさに心が奪われ、自分の母親の姿を思い浮かべていました。マレフィセントは、消して悪者ではなかったということに気付くことが出来て本当に良かったです。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)