ようかいを楽しくうけいれる町の人 - かいけつゾロリのきょうふのやかたの感想

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かいけつゾロリのきょうふのやかた

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ようかいを楽しくうけいれる町の人

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目次

ようかいの格好をしたパフォーマー?

町の人を怖がらせたい「ようかい」たちですが、町につくと怖がられるどころか大歓迎されてしまいます。「ようかい」に限らず摩訶不思議な生物・理解不可能な現象といえば「怖い」というのが定番でしたが、映像の進歩とともにホラー映画や3D映像などが身近になってしまったこともあるのでしょうか?最近では目の前で不可思議なことがおこっても、それをすぐには現実としてすぐに受け入れられないのではないかと思うことがあります。たとえ目の前に「ようかい」の格好をした人たちが現れても、真っ先に思ってしまうのは映画のロケでもしているのだろうか?とか、そういうメイクが流行っているのだろうかということでしょう。

ゾロリたちが訪れた町でも、口では「ようかいだ」と言っていても、普通の人のように接しています。ゾロリは「ようかい」に変身していき、町の人たちもゾロリではなくそれぞれ、ドラキュラ・ゴーゴン・狼男ということを認識してはいますが、ドラキュラにニンニクの入った餃子を勧めたり、十字の入った救急箱を見せたり、ゴーゴンの蛇の髪にパーマをあてようとしたりしています。狼男にいたっては月と雲の関係で変身が不完全となることで滑稽な姿となり、それをみた町の人たちはパフォーマンスでも見ているような盛り上がりです。

「ようかい」ってどんなもの?

そもそも「ようかい」というものはどんなものなのでしょう?ここでは「ようかい」としてドラキュラ・ゴーゴン・狼男・ミイラ男・キョンシーが紹介されています。一見かれらは「ようかい」?と思ってしまいますが、「ようかい」というカテゴリーはとっても広く「日本妖怪」「西洋妖怪」「中国妖怪」と多少区別されることもあるようですが、不可思議な現象を起こすものはすべて「ようかい」と分類されるようです。ちなみにこれらのものを西洋では「fairy」「monster」中国では「妖精」「精霊」「精怪」というふうに翻訳されるようです。

昔は「ようかい」と聞けば「怖いもの」「悪いことをするもの」というイメージが強かったでしょう。しかし現代では「ようかい」一人ひとりにも個性があり、考えがあり、感情があるといった捉え方をした話が多く紹介されており、この物語でも「ようかい」たちが町の人たちを怖がらせようと努力している様子が描かれています。不可思議な現象に対し、ただ単に怖がっていた時代から、その正体を突き止めようとする時代へと変わったことが、こういった物語を生んでいるのかもしれません。

「認識」のちがいによる効果

この町の人たちはそもそも「ようかい」が怖いものだという認識があったのでしょうか?物語を読むかぎりそのような認識があったとはとうてい思えません。どちらかというと「ようかい」は自分たちを楽しませてくれるものという風に思っているようです。それは町長の「あしたから、町のみんなをたのしませてください」という言葉に集約されています。それとは反対にゾロリたちは、「ようかい」たちが現れたとき、「ようかい学校」で教えていた生徒であるにもかかわらず怖がっています。それはゾロリたちが「ようかい」は怖いものだという認識があったため、怖く思ったのではないでしょうか?

ここで注目すべき点は「認識の違い」です。同じ出来事を目にしてもこの「認識の違い」によってとらえ方が全く変わってしまいます。町の人のように「ようかいは楽しませてくれるもの」と考える人たちに、いくら「ようかいは怖いものだ」と言ったところでなかなかその認識を変えることはできません。しかも目の前にいる「ようかい」たちに怖い思いをさせられたのであれば変えることができるでしょうが、変身したゾロリのように滑稽な姿しか見せられていなければ変えることは無理な話です

町の人の「思い込み」による「ようかい」たちの災難

「思い込み」という言葉がありますが、それは他の考えを受け入れず自分の主観で物事を判断することです。なので「ようかい=たのしい」「ようかい=怖い」というのはその人の「思い込み」ということになります。「思い込み」とはよく悪い意味で使用されますが、この町の人たちを見ると「ようかい=たのしい」という「思い込み」をしていたことによって、「ようかい」たちと仲良く楽しく過ごそうとしています。たしかに怖がらそうとしている「ようかい」たちにとってはとても迷惑でしょう。しかし、「ようかい」たちの目的が「危害を加える」のではなく「怖がらせる」ことだけであれば、「ようかい=楽しい」と思い込んでいても問題はないでしょう。最後どうにか町いちばんのやしきをめちゃくちゃにしたことで、町の人に嫌われることには成功しましたが、怖がらせることには結局失敗してしまった「ようかい」たちでした。相手にとって良くても悪くても、一度根付いた「思い込み」を払しょくするのには簡単ではないようです。

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