他人事とは思えない女性の素の姿 - ホタルノヒカリの感想

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ホタルノヒカリ

4.174.17
映像
4.00
脚本
4.33
キャスト
4.50
音楽
3.67
演出
4.17
感想数
3
観た人
6

他人事とは思えない女性の素の姿

4.54.5
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.5

目次

他人事とは思えない干物女の実態

コミックが原作の、2007年のヒットドラマ。

主人公は「干物女」と呼ばれる女性で、その生態は、
会社での仕事は有能だけど、家に帰るとジャージ姿、
面倒くさがりでゴロゴロしてばかりで、
恋愛するより家でのんびり過ごす方がいい、
と、恋愛を放棄している、というもの。


原作者のひうらさとる氏は、干物女の特徴を
以下のように定義しているらしい。

・メールの返事が極端に遅い、短い
・簡単な食事なら台所で立って食べる
・忘れ物を靴を履いたまま、膝立ちで部屋に上がり取りに行く
・休日はノーメイクでノーブラ
・半年ほど美容室に行っていない
・冬場は、毛の処理を怠る、又はしない
・1人で居酒屋に入れる
・最近ドキドキしていない
(ウィキペディアより)

ただ、これを見ても、ドラマを見ても、
全部が全部とはいわないけど、
かなり他人事とは思えなかった(笑)

恋愛を放棄していない点を除けば、
案外これって、たいていの女性の素の姿じゃないの?
と思うのだけど、どうなんでしょうね。

世の中で認識されている「女性像」って、
これもすべてがそうとは言えないけど
「男性が理想とする女性像」
になってる気がするし
女性も男性に愛されたい願望があるから
それを受け入れないといけないとして
「それが女性らしさ」
と錯覚してるとこ、あるんじゃないだろうか。

けど、それってかなり無理してること多いし
男性と女性でそんなに違わないよ、ってことも多い。


ドラマの中のホタルの姿は、
結構、素の私の姿と言ってもよかった。

そういう意味でも、「干物女」と名付けられることの方が
かえって違和感に思えたのは私だけだろうか。

ぶちょおとホタルの掛け合いが見どころ

このドラマはとても好きなドラマだったんだけど、
藤木直人演じる「ぶちょお」と綾瀬はるか演じる「ホタル」の
掛け合いのセリフが、なんといっても面白かった。


ぶちょおは、クールでちょっとSっ気のあるオレサマ系なのに
「○○だもん」「そうじゃないもん」と、
甘え言葉が口癖。

これが個人的にはツボだった。

私はどうも、こういう母性本能くすぐられ系には弱いようだ。


コミックが原作のものは、キャラクターがとても立っている、
と感じることが多い。
漫画家と小説家、脚本家、と、それぞれの職業による個性の違いが
そんなところにも現れるんじゃないか、とも思う。

登場人物のコントラストも、コミック原作ならではのメリハリな感じがするし
作品全体としても、コミック的なニュアンスを感じた。
少女マンガのテイストはなじみ深いので、
ある意味とても見安かった気がする。

素の姿を見せられる、という尊さ

干物女、ということは
家では素の姿、ありのままの自分でいるわけだから
それをお互い見せ合える、ということは
何よりも尊いんじゃないかと思う。

ひょんなことで同居が始まったぶちょおとホタルは、
結局、お付き合いをすることになるのだ。


このドラマはパート2や映画も製作されたシリーズものだけど、
本作品は、長らく恋愛から遠ざかっていた干物女のホタルが
職場の同僚に恋をするというのがテーマ。

恋愛って、ドキドキするし
相手に好きになってもらいたいあまり、
素の自分が出せなくて
好きなのに緊張しちゃったり疲れちゃったりすること、
あるあるある!!って、うなづきポイントたくさん。

恋をした相手「マコト君」と、念願叶って同棲生活まで行くけど、
「家の扉が鉛のように重い・・・」
と心の中でつぶやくホタルの気持ち、
すごくリアルだな~って、思った。


私も初めて彼氏が出来た若かりし頃、
デートでご飯を食べる時、
口に食べ物を運ぶサマを見られるのが恥ずかしくて
一番上品に見えるメニューを、と、ピラフを頼んでみたけど、
それでもやっぱり緊張してしまって
ほとんど味がしなかったのを覚えてる。


「相手に愛してもらいたい」が主軸になっちゃってる恋愛は
やっぱり「相手」基準になってしまうから
自分がどっかに行ってしまってる。

そりゃあしんどいに決まってるさ。


でも、ぶちょおとホタルは、
元々恋愛感情はないところから始まり、
最初からお互い素の状態を見せ合えていて、
その「自分らしくある」お互いの姿に
だんだんと惹かれていったんだと思う。


どんな人でも
自分らしく生きている姿は美しい。


もちろん、好みや相性はあるから
そういう者同士がみんなパートナーになるか、
といえばそうじゃないとは思うけど、
その状態からそうなれたら
その絆やつながりはとても強く、
お互いを生かし合う関係性になるだろうな、と思う。

綾瀬はるかのポテンシャル

主演の綾瀬はるか。
大好きな女優さんのひとりだけど、
つくづくポテンシャルの高い女優さんだな、と思う。

この役どころも、かなりぶっ飛んでるし
コミック原作、ということで
セリフも現実離れしてるけど、
キャラと一体化してて、セリフが浮いてないのがスゴイと思った。

綾瀬さん自身にも、こういう素要があるのかも、しれないけど
「雨宮ホタル」というキャラクターが
とても生き生きと、ありありと、違和感なく鮮明に見えてくるのは
やっぱり役者としてもスゴイなあ、と思った。


ぶちょお役の藤木直人も、大好きな俳優さんのひとりだけど、
こちらは若干、セリフ浮きは否めなかった。

藤木さん本人の中にも、結構ズッコケキャラは見え隠れするんだけど、
もうひとつ振り切れてない感があったような。

そこが少しだけザンネンだったけど、
それでもやっぱり、ぶちょお役は藤木さんじゃないとね、って思う。


綾瀬はるかのどじょうすくいは名シーンだった。

あれだけ恥ずかしい醜態をさらしながらも、
その可愛さは少しも色あせないのが見事。
逆にアップしてたりして。


綾瀬はるか出演作品の中でも
かなり代表作といえるのではないだろうか。

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