生きる力が感じられる作品 - 宇宙ショーへようこその感想

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4.504.50
映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
4.00
感想数
1
観た人
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生きる力が感じられる作品

4.54.5
映像
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
4.0

目次

子供たちが自ら考えて行動する

この作品の魅力の一つに子供たちが主役であるということがある。誰に指示されるわけでもなく、自らが考えてやるべきことを決めて行動するのである。ポチと会うことになる夏休みの合宿自体も子供たちの自主性を養うという目的もあるだろうが、村川小の5人は既に自主性を身につけている感じがする。それがとてもよく分かる場面が、アルバイトの場面と周(あまね)がさらわれた後の話し合いの場面である。バイトはポチが心配はいらないと言っていたものの彼の行動がいまいち不安だったことから、清がまず自分がやると言い出し、それにつられる形で全員が何らかのバイトをすることになった。ここはダメな大人としっかりした子供たちと言った対比だろうか。皆それまでバイトなどやったことがないのにすごい度胸である。また、クライマックスにつながる4人の話し合いでは、それぞれがしっかり意見を言い合い、全員で結論を出している。村川小の子供たちは『生きる力』をしっかり持っているのである。 

全員が活躍する

子供たち全員が何かしら活躍するというのが本作品の特徴でもある。脇役は一人もいない、正に全員が主役と言える作品なのである。まず、最年長の清。バイトの提案をしたのも彼。4人のことをしっかり考えながら行動している。周(あまね)がさらわれたときもみんなのことを考えて苦渋の決断をしようとする。リックマン家(ポチの家)での出来事やこの旅を通して一番成長した人物と言えるのではないか。もう一人の男の子、康二。男の子らしく力仕事のバイトで頑張る。のちのち協力してくれるインクとの出会いも彼がいてこそである。また、みんなを危険な旅に連れてきてしまったと悩む清を「しっかりやってる」と励ますフォロー役も務めていて、ストーリー上かなり重要な役回りを担っている。続いて女性陣、まずは倫子。バイト探しには時間がかかってしまった彼女だが、女の子らしく家事は得意なところを発揮している。また、旅を通して自分の考えをきちんと言えるようになっていく。最年少の周(あまね)は子守のバイトで奮闘した。また、さらわれても気丈に振る舞っている。この出来事を通して自分の心に素直になって夏紀と話ができた。最後は主人公の夏紀。結構しくじったり、めげたりする彼女だが、周(あまね)がさらわれたときの彼女の言葉、その後の“ヒーロー”そのものの活躍はこの作品最大の見どころであろう。このように全員にきちんと主役になる場面があるところがこの作品の素晴らしいところである。

 奇跡のキャスティング

子供たちが主役ということはキャスティングの面からもうかがえる。監督の升成孝二氏はある映画情報サイトのインタビューでキャストについて、『絵コンテの段階から子どもたちにお願いしたいと考えていたが、もしダメなら大人の役者を使うことも考えていた』とのことで、芝居経験のあるプロの子役を集めてオーディションを行ったとのこと。そこで選ばれたのが本作起用の5人であった。別の機会、場面で別の子どもたちにやってみてもらったら下手だったらしく、この5人は選ばれた子たちだったということが分かったというエピソードから「この映画にとって5人のキャストが揃ったのは奇跡みたいなもの」と監督に言わしめたということである。確かにこの5人はうまい。声だけで喜怒哀楽を表現するのは非常に難しい中、全員が見事に演じきっている。さらにその人物の年齢相応の幼さであったり言い回しであったりも、キャラと同年代だからこそできる表現になっている。物語の中の存在なのに、本当に生き生きとしているのである。そして忘れてはならないのが脇を固めるベテラン声優陣である。ベテランの年季の入った声、演技がこの作品全体を引き締めているのである。

 見た目とのギャップを味わう

最後に、ここまで情けないとしか述べていないポチについてフォローしておく。本人は「犬ではない」と言っているが、出身の星が“プラネット・ワン”であるし、外見もどう見ても“犬”である。犬相応に振る舞っているような場面も見られる。そして、ダメな大人の代表格、ギャンブルに手を出すし、借金も多数しているようである。そんなダメなところもあるのだが、この犬、もとい、彼は大学教授なのである。そして教授らしく夏紀を諭すのである。それまでのダメな面があったからこそ、かっこ良さが際立つのである。人は外見やある一つ二つの行動で判断してはいけないということであろう。そして極めつけは戦闘シーンである。これが本当にかっこいい。ネッポとの一騎打ちのシーンは手に汗を握る。その全てを引き立たせているのが声の担当の藤原啓治さんであろう。ダメな時の声、かっこいい時の声、夏紀を諭す時の優しさあふれる声、ネッポと対するときの怒りに満ちた声、どれをとってみてもベテランの味があり素晴らしい。先ほど本作品を引き締めているのはベテラン声優であると述べたが、その筆頭は藤原さんであると言ってもいいだろう。

 

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