女王クレオパトラの姿なのだが、作品としてはイマイチ - クレオパトラの感想

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女王クレオパトラの姿なのだが、作品としてはイマイチ

3.53.5
映像
4.2
脚本
3.0
キャスト
3.5
音楽
4.0
演出
3.3

目次

クレオパトラの生き方とは?

クレオパトラと言えば、絶世の美女としてしられていますが、この「クレオパトラ」が、この時代をどう生きたか?という事が知ることができます。私から見たクレオパトラは、前半では野心家で、プライドの高い女性と思ってみました。女の武器を使って、シーザーを誘惑し、エジプトを自分意のままに動かそうとしている女王です。「クレオパトラ」では、女王としての彼女だけではなく、女性としてのクレオパトラを見て欲しいと思います。プライドや地位があるばっかりに、男性の愛に揺れ動き、国のために動かなければいけないのです。もしも、クレオパトラが女王ではなくて普通の女性だったら、もっと愛に満ちた人生を送っていたのではないかと思います。クレオパトラは絶世の美女と言われ、容姿ばかりに気を取られてしまいますが、時代の狭間で揺れ動く、1人の女性だと言う事を感じさせてくれました。

じゅうたんから出てくるクレオパトラ

ジュリアス・シーザーとクレオパトラの出会いのシーンは有名ですが、この映画の中でも印象深く描かれていました。じゅうたんの中から転げ出てくるクレオパトラの度胸のよさと、意外性に驚かされます。クレオパトラはその当時の女性ならば、持ち得ることのない頭良い女性、エジプトを守り自分の国にするために、シーザーに身を捧げます。彼女に野心がある事は、もちろんわかりますが、彼女をとりまいているローマとエジプトの関係を、この映画で知ることができます。この映画の出来事が起きたのは、紀元前48年、日本はまだ石器時代で、なんの文化も文明も発達していませんでした。そんな時代に、これほどまでローマの文化が栄えていた事には驚きを隠せません。映画ではありますが、人類がこのような歴史の中で、発展していったのかを「クレオパトラ」でみることができました。

 

ドラマがなくメリハリがない

映画を楽しみ夢中になってみるという言葉からは、「クレオパトラ」は、かけ離れていると思います。歴史に忠実だからかも知れませんが、作品の中にドラマがないので、面白くありません。しかも、クレオパトラは3時間以上ととても長いので、飽きてしまいました。クレオパトラに興味がある方や、ローマの歴史に興味がある方でなければ、最後まで観賞するのは、難しいのではないでしょうか?

面白くない理由に、主人公に感情移入できないという原因があります。登場人物に感情移入できれば、退屈せずに面白く見れますが、クレオパトラは、気位の高い女王、とても彼女の気持ちになって、映画を覩ることはできませんでした。

クレオパトラ役のエリザベス・テイラー

「クレオパトラ」で重要となってくるのが、主役のエリザベス・テイラーですが、本当のクレオパトラは、もっと若かったと言われているようです。私が想像するクレオパトラは、妖艶な美女でしたが、エリザベス・テイラーには魅力を全く感じられませんでした。グラマーなボディですが、クレオパトラにしては太り過ぎではないでしょうか?女性としての色っぽさをも感じません。私は「クレオパトラ」を日本語の吹き替え版で見たのですが、クレオパトラの声を小川眞由美が演じています。小川眞由美の声は、きれいな女性を想像させる声ではなく、女王らしさはありますが、年齢を感じさせる声にしか聞こえないので、その点が残念に思えました。もう少し、声の美しい方を起用すれば、エリザベス・テイラーの魅力もアップするはずです。

ただし、クレオパトラの身にまとっている洋服は、一見の価値があります。女王としての衣装を始めとして、場面が変わるごとに違う衣装をみることができます。さすが、巨額な製作費をかけて作った映画ですね。

 

毒をもられる場面

クレオパトラが口にする物には、お毒味係が付き、毒がないかを確かめますが、そのお毒味係が毒をもった事がばれてしまう場面あります。私には、その場面がとても印象的でした。毒をもった人物にクレオパトラは「許す」というのです。しかし、その後に「それを飲みなさい」と凛とした表情で言い渡します。許すという言葉の裏に、自分で持ってきた毒で死になさいと、命じているのです。何事にも動じないクレオパトラ、それと同時に裏切りは許さないという、強い心をもった女性なのだと感じる事ができました。

 

息子を溺愛するクレオパトラ

そんな、強く賢い女性のクレオパトラですが、シーザーとの間にできた息子は、溺愛して可愛がります。シーザーとの子供ということで、クレオパトラとエジプトの未来がかかっている重要な子供なので、仕方ありませんが、育て方を見ていて、わがままな子供に育つのだろうなと思いました。シーザーも息子を溺愛して、息子の前では女王としての威厳や、王としての威厳はみられません。

 

恋に生きるクレオパトラ

「クレオパトラ」の前半では、シーザーにクレオパトラは、身も心も捧げますが、後半では、アントニーと恋に落ちます。美しい容姿として、女王に生まれた彼女ですが、この作品では恋に生きるクレオパトラが描かれています。プライドが高く、女王という地位にありながらの彼女の恋の行方は、一見の価値があるのかもしれません。ただし、この作品は3時間以上と長いので、一気に鑑賞するよりも、わけてみる方がいいですね。

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