タイトル名と一致しない内容 - 30歳の保健体育の感想

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30歳の保健体育

4.804.80
映像
5.00
ストーリー
4.00
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
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タイトル名と一致しない内容

4.84.8
映像
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

アダルトなものを想像しますが…

案外、そうでもない内容でマイルドな展開に、マイルドな描写でした。簡潔にいうと、奥手同士の男女の恋愛話といったものを強く感じました。この展開って、物語として考えると面白いのですが、現実社会をリアルに想像すると相性最悪の二人の気がします。奥手に対して、グイグイ引っ張る強気な相方がくっつくのが世の常のように思います。

特に、ナツというヒロインに対して、主人公ハヤオに課せられたハードルが高いように感じます。ナツの抱えている男性恐怖症という部分は、恋愛をしてこないで、全く経験ナシのハヤオにとっては未知の領域過ぎると思うのです。また困難な道のりであることを容易に想像させます。それがこのアニメ作品の面白みといえる部分で、ハヤオやナツの協力者として登場する神さまたちの必然性を生んでいます。物語の構成は、非常によく考えられたもののように感じました。また画風は柔らかく可愛い感じでありながら、ハヤオの協力者で神さまでもあるダイゴロウの毒舌ぶりや露骨な発言にギャップがあって面白いです。

30歳で経験のない、と想像すると、オタク系男子を思い浮かべますが、主人公ハヤオは真面目で暗めのサラリーマンです。それ以外は、特筆するようなことがない平凡なキャラクターといえるでしょう。ただ、空気嫁と呼ばれる存在の衝撃が大きいのと、オタク的な独自の感性を持ち合わせていることも否めません。

逆に考えると、ハヤオのような男性だったことで、ナツも心を開いて、自発的にハヤオを迎え入れることができたのかもしれません。ナツに対して、押しが強い男性がアプローチをしても、男性恐怖症の代表例AKフィールドの反発もより強固なものになっていたのかもしれません。

一般的には、相性悪い二人に思えても、実はハヤオとナツという二人に限っては、相性が良かったように思えてしまうから不思議です。

 

個性的な神さまの存在感

主人公とヒロインは暗く、おとなしい感じなので、脇役の重要度は非常に高い作品だと思います。脇役のキャラクターが立っていないと作品自体の面白みに欠いたものになっていたでしょう。

ハヤオのサポート役として機能しているダイゴロウはオレ様系で変態が入っていてインパクト抜群でした。むしろ、ダイゴロウが主人公なのではないか、と錯覚させるほど印象的な登場人物に仕上がっています。「幻想魔伝 最遊記」の玄奘三蔵に似ている気がします。玄奘三蔵に「変態」という調味料を加えた感じがして、また独特な存在感を放っています。

また、ダイゴロウの弟、マカロンの存在も作品全体の中で良いスパイスになっているように思います。兄のダイゴロウとは、キャラクターが全く異なり、癒し系と呼べる登場人物になっています。変態という部分では、兄のダイゴロウと似通った部分を感じました。女装癖は間違いなく本人の嗜好とする部分でしょうし、好みとする性別を意識していないバイセクシャル要素をもっているように思います。

不思議なのは、兄のダイゴロウに対して、弟がマカロンという名前であることです。兄弟なので、関連性のあるネーミングをしそうですが、全く関連性がないのではないでしょうか。

また、ヒロインであるナツのサポート役として機能しているぴぃちゃんに至っては、何故か「ちゃん付け」になっています。ぴぃちゃんの姉、くぅちゃんにおいても同様に「ちゃん付け」になっており、ここではネーミングに関連付けています。ぴぃちゃんにおいては、典型的なツンデレ系であることも作品自体の面白さになっている気がします。しかし、姉であるくぅちゃんの存在感の薄さも、姉妹での良い意味でギャップとなっており楽しめる部分なのかもしれません。

神さまたちの仕事

個性溢れる神さまたちでしたが、最後の去り方がそれまでのドタバタとして存在感を示していくものと違い、サッと消えていくことが印象的でした。また、あの去り方をすることが、ハヤオとナツを結びつける上で最良の方法だった、と共感できる部分があって好きです。

基本的には奥手であるハヤオ、ナツの背中を押す役目として、ダイゴロウ、ぴぃちゃんのようにオレ様、ツンデレ系であったことも良かったです。無茶ぶりが、神さまたちのキャラクターから必然のことのように感じられました。そして、物語の展開に違和感を感じることがなく、自然なかたちで進行していったように思うのです。

まさに「神さま」らしく、素晴らしいお仕事ぶりだったのではないでしょうか。

 

保健体育と銘打たれた作品ですが、保健体育という内容より、恋愛指南という方がタイトルと内容が合致します。しかし、タイトルをつける上で、「30歳の恋愛指南」と「30歳の保健体育」では、後者の方が明らかに楽しそうですし、興味を惹きつけるものがあります。きっとタイトル名から、少しでも多くの方に見てもらえるようにした工夫だったように思います。

そして、30歳の保健体育の役割は、あまり果たせていない気がします(笑

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