面白いのに、知名度がなさすぎるのが残念な漫画 - 描かないマンガ家の感想

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描かないマンガ家

5.005.00
画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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面白いのに、知名度がなさすぎるのが残念な漫画

5.05.0
画力
4.5
ストーリー
3.5
キャラクター
2.5
設定
2.0
演出
3.0

目次

どういう人に向けられて描かれた作品なのか?

たまたま地元の大きな書店で見かけたので、思わず手にしたのがこの作品を知ったきっかけだった。そんなにインパクトのある表紙でもタイトルでもないのに、買ってしまった。そうだな、当時僕が漫画家を目指していて、それで少しでも漫画家に関する書物を手に入れたい欲求と、このタイトルがマッチングしたのが購入したきっかけだと思う。「描かない漫画家」。自分以外の人はどんな理由で購入したのか。そこをちょっと考えてみたい。

ふむ。この漫画の内容は、漫画家志望のダメ人間が漫画家を目指す話なのだが、もうタイトルからも分かるように、何かと理由をつけて漫画を描くことを避けている。なので、とても「漫画家を目指す読者たちに向けて描かれた、ハウツー物」とは言えない構成になっている。

全7巻で完結する作品で、個人的には確かに最終話を読めば「漫画を描くやる気」みたいなものが少しは出てくるが、はっきり言って「中途半端な志で漫画家を目指す人の日常」と解釈した方がいいかもしれない。

なので「本気で漫画家を目指す」人には、物足りないと感じるはず。そういう人には「BAKUMAN。」を読んでもらおう。まぁ買って損はないよ。

主人公は何故「描かない」のか?

ここからは僕個人の妄想。プライドの高い主人公なので、下手な漫画を世に出して恥をかきたくはないというように取れる発言があった。毎度毎度屁理屈を言っては描くことを避けているのが、ある意味お約束であり、そこが読んでいて面白いと感じる醍醐味ではある。ちなみにこの主人公は、恐ろしく絵が下手でレベルは中学生のそれと変わらないほどだ。この辺の設定は良くできているなぁと感心するくらいだ。単行本のカバーに、主人公の脳内ワールドが描かれている。見ていると恥ずかしくなってくるレベル。しかしこのレベルの漫画を世に出すことに対しては、主人公は「恥ずかしい」とは思っていないようなのが面白い。

長年温めていた構想を世に出すのが怖い。その怖いの意味は「評価をされないかもしれない」のと「こんなすごいものを世に出していいのか?」の両方の意味にとられるとも思える。

これから漫画家を目指す方は、やらないで後悔するよりもやって後悔したほうがいい という言葉を心の隅にメモしておいてやってください。

描き始めた心境の変化とは?

実はこの漫画を、僕は6回読んだのだがストーリーの終盤になって、漫画を描き始めた理由ははっきり言って主人公自身が悪いのだと思う。

どう悪いのかっていうと、同じ専門学校の仲間の原稿を破ったら嫌われてしまい、それを悔しさに漫画を描き始めるという展開になっている。それでも主人公は、諸悪の根源は付き合っていた女のせいだと解釈し、わざわざ遠方の雪国まで殴り込みに行くのだが、そこで元カノの「一度やって失敗したらそれで終わりなの?」との一言で本気で漫画家を目指して心を入れ替える。

この漫画はサクセスストーリーではないので、順風満帆に「死に物狂いで頑張ったら即プロになれた!」みたいな話にはならないが、無事主人公は7年の歳月を経て漫画家になるという形で締めくくられる。描かない漫画家は、漫画家になれたんだ。誰にでも努力をすれば成就する可能性はある。それを作者は伝えたかったんじゃないかな。

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