”滝沢秀明”に本気で恋した中学生
アイドルを本気で好きになった当時中学生の私
この作品は私にとって青春時代を思い出すかのような作品です。当時大人気だったジャニーズ事務所の滝沢秀明ことタッキーは私の”大好きな人”そのものでした。当時私は誰でも通る道、”アイドルに恋をする中学生”でした。タッキーは私にとって青春時代そのものであり私は密かにアイドルに恋をしていたのです。友人もその事を知っていましたが、私はタッキーと結婚できるとまで本気で思っていました。友人はきっとそこまで私がタッキーのことを好きだったとは思わなかったでしょう。恥ずかしながら私は本当にタッキーと偶然どこかで会いお互い恋に落ちると信じていました。そんな私がこの作品を見るということがどんなに辛い思いをするか、きっと同じようなタッキーファンの人にしか分からないと思います。タッキーの存在が全てだった中学生の頃の私がこのドラマを見る決意をしたのはもちろん”タッキーを見たいから”という単純な理由からです。傷付ながら好きな人を見る私は、当時タッキーが自分だけのものだと思い込んでいたのでしょう。恥ずかしく情けなくなりますが大好きでした。私のようにアイドルに対して淡い思い出を持っている人はきっと他にもいるでしょう。ですから私のこの気持ちも初恋だったと理解してくれる人はいるのです。私の初恋の相手は確実に滝沢秀明だったのです。
届かない存在だと気付いた瞬間
そんな私には作品の内容を受け入れるのが辛くてタッキーを応援したいけど共演の松嶋菜々子と結ばれて欲しくないという複雑な気持ちを毎週感じ、少しづつ私のタッキーに対する感情は不思議と変わっていきました。つまり、”タッキーはもしかしたら”手の届かない存在なのか?”というように現実としっかり向き合うようになっていったのです。”手の届かない存在”であることを私は認めたくなかったのだろうか、徐々に自分の考えは現実的ではなく曲がってしまっているということに気付きました。この作品で気付かされたと言った方が合っているかもしれません。
共演していた松嶋菜々子は、当時の私から見れば綺麗なお姉さんという印象でした。彼女の役はタッキーのファンからしたら、ズルくて悔しくて出来ることなら自分がその役を演じたいという思いでした。ごく普通の女子中学生の私には悲しいことにそれは叶わない夢でした。作品が最終回を迎える頃には、徐々に現実を見るようになっていき少し大人になったような気持ちに私はなりました。タッキーが好きな事に変わりはなかったのですが、以前より気持ちが変に落ち着いていました。その瞬間、私の初恋は幕を閉じたのです。この作品が始まり終わるのと同時に、淡い初恋はまるで真夏にテーブルの上に出しっ放しにされたアイスのように溶けてなくなりました。残ったのはアイスの棒のように全てを無くした悲しい姿の自分でした。
”滝沢秀明”に本気で恋をした私、これを初恋と呼べるのだろうか。
滝沢秀明と松嶋菜々子どちらも大人気なわけですから視聴率も良く大成功をおさめた作品だったと私は感じます。タッキーがもっと幼い頃からファンでファン歴も長かったので彼が以前に出演していたドラマ、「ニュースの女」が放送されていた時は恋愛系ではなかったため毎週素直に楽しみにしていました。鈴木保奈美の息子役で口数の少ないクールな印象で、まだ演技にも慣れていないような姿が懐かしく思います。「ニュースの女」と違って今回の「魔女の条件」のストーリーは恋愛系なので気分良く見れなかったのは当たり前です。正直私が見ていたかったのは”滝沢秀明”そのものであって彼の恋愛する姿をわざわざ見たいわけではなかったのです。そんな気持ちにさせられたのがこの作品の第1話の後半で、誰もいない図書室に二人きりになったタッキーと松嶋菜々子がキスをするシーンでした。キスの瞬間を見た時、私の頭の中は真っ白になり、一気に世界中も真っ白に変わりました。あの瞬間の気持ちを思い出すと今でも胸が苦しくなります。私は本気で”滝沢秀明”という一人の男性を好きになったのです。それはどこにでもある恋愛と同じであり、ただ相手が芸能人だったという事だけが私には切なく感じられました。これだけ人を好きになったことはありませんでした。私は自信を持って滝沢秀明が初恋だったと言えるくらい本気だったのです。
松嶋菜々子の涙シーン
忘れられないシーンがあります。タッキーの相手役の松嶋菜々子が声をあげて泣くシーンがありました。それまで見せた事ない一面を見て、松嶋菜々子が本気でタッキーを愛しているという思いがしっかりと伝わりました。教師と生徒という立場から離ればなれにされてしまい、もの静かな印象の松嶋菜々子が本気の涙を見せているように感じたのです。そこまで感じさせる彼女の演技に驚き新しい顔を見る事ができ、頭に残って消えません。彼女のあの思いっきり泣くシーンの少しかすれた声が切なくて不思議と今でも良く覚えています。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)