スクエニのお家芸となりつつある四コマギャグ漫画の最先端 - 月刊少女野崎くんの感想

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月刊少女野崎くん

4.384.38
画力
4.13
ストーリー
4.25
キャラクター
4.50
設定
4.38
演出
4.25
感想数
4
読んだ人
17

スクエニのお家芸となりつつある四コマギャグ漫画の最先端

3.53.5
画力
3.0
ストーリー
3.0
キャラクター
4.0
設定
3.5
演出
3.0

目次

四コマギャグ漫画の最前線を走る作品

『月刊少女野崎くん(以降、野崎くん)』はスクウェア・エニックスのウェブコミック配信サイト「ガンガンonline」にて連載中の漫画だ。

月2回更新の四コマ漫画であるため、掲載ページは一般的な漫画より少なく、単行本になるスピードも遅い。現在(2016年4月)時点で連載期間は五年になるが、まだ既刊は7巻である(およそ半年に一度のペースだ)。

現在漫画業界は、ニッチなはずのweb掲載作品が人気を集めることが珍しくなくなっている。作者の自作のweb掲載から人気を集めた『WORKING!!』や、アニメ化が予定されている『ReLIFE』などはまさにその好例だろう。読者層の手に取りやすいメディアによって一旦無料公開し、やがてコミックス化して書店に並び、新規の読者を拡げるという手法を取る出版社も多くなってきた。

作者に相応の報酬が入るならばちょうどよく読者とwinーwinの関係となるのだろうが、そこら辺のインフラ整備が整っているかは不明である(無料公開の期間があることで、不利益が高じてなければいいのだが……)。

ともあれ、『野崎くん』は特殊な掲載体形でありながら人気作品となり、アニメ化までした作品として、世の注目を集めているのである。

『WORKING!!』を超えることは出来るのか

同じスクエニ作品、ゆるい四コマギャグ作品ということで、『野崎くん』はやはり『WORKING!!』を意識せざるを得ない。『WORKING!!』は北海道のレストランを舞台にしたギャグ四コマ漫画で、秀逸なギャグもさることながら高いキャラ人気と恋愛模様で有名になった作品だ。

『野崎くん』も同じようなゆるい日常的ギャグ漫画である。四コマという体裁も同じでありながら、もっとも共通している点は個性的なキャラを最大の武器としているところだろう。

『野崎くん』は主人公の少女漫画家・野崎と野崎に恋する佐倉を中心に、野崎が漫画の参考に(ひそかに)している高校の同級生や先輩たちとの日常が繰り広げられている。レストランでの仕事を中心に恋愛模様を混ぜてきた『WORKING!!』と似たような構成となっている。

しかし、先にも述べたように『野崎くん』はキャラクターが最大の武器であり、『WORKING!!』にも負けず劣らずの魅力を持っている。

『WORKING!!』は刀を持ったウエイトレスやロリコンの主人公といったケレン味溢れるキャラクターがいたが、『野崎くん』は全員高校生だからか外見上はさほど際立った個性はない。

だが、見た目がごつい少女漫画家だったり、少女漫画ヒロインのようなイケメンがいたりと、漫画家が主人公である『野崎くん』ならではのキャラが光っている。

野崎はいつも漫画について考えているため、ヒロインである佐倉の恋は空回り。バスケ部の若松は憧れのローレライが天敵の瀬尾であることに気づいていない。みんなどこか一つ「残念」なのが、『野崎くん』に出てくるキャラクターたちの魅力であろう。

『WORKING!!』と似た傾向でありながらも、『野崎くん』は確かな独自の魅力を持った作品だ。いずれ『WORKING!!』ほどの知名度を得る日も遠くはないだろう。

しかし、名作になるには何かが足りない気もする

日常系ギャグ漫画にありがちな展開として、キャラクターの飽和状態にある。登場人物の少ない初期のころは楽しめたが、連載が長引くにつれてキャラが増え、面白さも減っていく……というのはよくあることだ(これがどうした心理によるものか、残念ながら筆者には明確な答えを出せない。単に飽きるのだろうか?)。

『野崎くん』も連載が進むにつれ、徐々に面白さが減ってきている気がする。作品としての目新しさが減るのか、それともギャグ漫画を持続させること自体が難しいのか、答えは判然としないが、コミックスを買うまででもない……という考えに読者が陥るのは極めて危ういことだ。

なぜなら、面白いものが描き続けられないとweb掲載で読者は満足してしまい、コミックスの売り上げにもならない。これは出版社としても受け入れがたい事態であろう。web掲載でどれだけの利益が発生するのかは不明だが、出版業界の現状を顧みるにさほど作者に恩恵はないと筆者は予想している。

ギャグ漫画を持続させることは難しく、『野崎くん』もまた人気作の階段を上り続けることに息切れしているような気もする(筆者は正直『WORKING!!』でも同じことを思い、途中で読むのをやめてしまったのだが)。

アニメで売り上げを増すこともまた販売・宣伝の一つの方法であるのだろうが、『野崎くん』が漫画史に残る名作になるかと問われれば、首をひねってしまう作品であることは確かだ。

漫画として頭ひとつ抜き出るには、もう一つ進んだ見どころが欲しいところである。これだけの光る個性を持った作品だけに、『野崎くん』のこれからに期待したい。

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他のレビュアーの感想・評価

面白くって、キュンキュンしちゃう!笑えて、癒されるラブコメディー。

何と言っても、やっぱり主人公野崎くんと千代ちゃんの恋の行方!無表情、無神経、デリカシー無しの野崎くんだけど、とっても素敵な魅力がひしひしと伝わって来ます。それも、千代ちゃんフィルターを通して更に倍増されて…(笑)千代ちゃんの勇気を出した「ファンです!」宣言から何故かガッツリとベタ担当へと変貌を遂げ、野崎くんの手作り料理やらお菓子を食べ、一緒にゲームをし、漫画のネタを一緒に練ったりと、いつの間にやら全幅の信頼を置かれる存在となりつつある忠犬、千代ちゃん。そんな千代ちゃんも、巻が進むごとに野崎くんになくてはならない存在と言うのか、特別な存在に薄っすらなり始めているのを感じて心の中でグッと拳を握ってヨシッ!と千代ちゃんを応援してしまいます。野崎くんも千代ちゃんならまんざらではないだろうと、ベタ上手だし…と微笑ましく見守っています。そこへ残念なイケメンみこりんが加わると、もういっそ女子会状態で笑...この感想を読む

5.05.0
  • hinatanママhinatanママ
  • 86view
  • 1378文字
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みんな個性的で面白い!

男子高校生で、ガタイがよく、全然少女マンガなんて読んでなさそうなのに、実は少女マンガ家で日常での恋バナや胸きゅんをさがしたり、自分がヒロインになったらで考えたり、まさに少女マンガって感じのことを実際にやったりして誰よりも胸きゅんをわかっているけどどっか抜けている部分があったりり、面白い展開にいっちゃってる。登場するメンバーも個性的で、千代ちゃんは野崎くんにめちゃくちゃ一途だけどなかなか伝わらないところも野崎くんぽい!確かにあるあるって思う少女マンガの展開を実際にやるとこんな感じで面白いんだろうなあって感じでそれに対して個性的なキャラクターがあわさってさらにいい展開に!性格はかなり違うし関わりなんてないだろうと思えるような人とも少女マンガを通してつながっているけど、野崎くんのアシスタントならわかるけどそれを知らない人達と知っている人たちでも勘違いがうまれて、解釈がいろいろで、野崎くん、堀...この感想を読む

5.05.0
  • まよらーまよらー
  • 73view
  • 508文字

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