どこに向かっていくのか!? - 最遊記RELOADの感想

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最遊記RELOAD

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声優
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音楽
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どこに向かっていくのか!?

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

このコンテンツ最大の魅力は!?

ご覧になられた方はどのように感じるのでしょうか、またどのように考えられるのでしょうか。さまざまな意見があるでしょうけど、私は主人公キャラクターたちに感じる魅力がもっとも大きいです。また、それぞれのキャラクター、主人公が抱えている闇の部分が非常に大きく、癒えない心の傷となっています。

しかし真正面から捉える、向き合っているということではないように思うのです。真正面から向き合っていると、前に進めないほどの大きな問題ですよね。あくまで、創作物・フィクションの世界ではありますが、現実社会においてリアリティーがないのか、と考えると、似たような状況に陥ることはあるのではないでしょうか。

沙悟浄

自分自身が両親から望まれない子どもであったなら?両親からの虐待を受けて育つという環境?親を殺してしまう、という罪を犯してしまったなら?

猪八戒

実の姉が好きになってしまったなら?もっとも愛する人が強姦されてしまったら?強姦された愛する人が身ごもってしまったら?報復する為とはいえ、自分が大量虐殺を犯してしまったとしたら?

玄奘三蔵

幼少期、心からリスペクトしていた親を目の前で殺されてしまったら?幼かったゆえに何もできなかった自分、またその自分をかばってくれた親に対して、残された者の葛藤は?

それぞれが抱える闇

抱えている闇やテーマが重いことが、彼らの魅力を大きくしているように思うのです。普段は、ふざけて遊んでいたり、そんな様子を一切みせることはありません。しかし、時折、思い出してしまう過去と、決して癒えることのない心の傷が人間くさい部分を感じさせてくれます。

しかし、忘れられない過去を振り払い、彼らは前に進んでいくことを選びました。振り払うという表現が、このキャラクターたちに似合っている表現のように思います。辛い過去と向き合ってばかりいても、前に進めないし、自分自身の人生は続いているのですものね。また大切な人が死んでしまったとき、その亡くなった方は生きている方に何を望むのでしょうね。辛くても、前に進むことだと思うのです。

それがこの作品においては、「旅をすること」に比喩されているように感じます。

そして、「たばこ」「麻雀」「女遊び・ナンパ」「お酒」といったものを全面に押し出しているように思います。アニメ作品では、食事する場面を描くことで、視聴者に親近感を覚えさせる手法があるそうです。「たばこ・麻雀・女遊びやナンパ・お酒」というパーツも、食事シーンを描く手法と同様の効果を狙ったことなのでしょうね。「最遊記」でも、食事シーンは多く描かれいますのが、より普段の大人の生活ぶりを描くことで、食事シーンでは表現できない、それぞれのキャラクターが持つ心の傷、暗いイメージを示唆しているように思うのです。

「たばこ・麻雀・女遊びやナンパ・お酒」は、決して現実社会においても良いイメージをもつものではありません。しかし、このキャラクターたちは敢えてしているようにみえます。それはカッコ良さを演出するものでもないと思うのです。

反社会的なことを敢えてすることで、視聴者が明るい部分にだけに目を向けないように、キャラクターたちが背負っている深くて暗くて重い十字架を意識づけるもののような気がします。

孫悟空の位置づけ

またそれぞれのキャラクターが集まることで、チームとしての魅力を打ち出しているように思います。それぞれのキャラクターは、それぞれどんな十字架を背負っているのか知っています。悟空だけがピンときていない様子ですけど、それがチームの中で、孫悟空が担っているクッション的な役割だと思うのです。

チームの中で、もっとも戦闘力が高いのは悟空でしょう。彼自身が抱えている問題や、十字架もありますが、子どもの悟空がいるからこそ、チームとして人間関係が機能している部分が大きいように思います。

悟空が他メンバーと同様に、大人の事情や深い闇を抱えていたら、お互いの関係がギスギスして、それぞれのキャラクターの距離感をとるのが難しいのではないでしょうか。普段の会話では、絶対にお互いの抱えている傷の部分に触れるのはタブーでしょう。お互いの遠慮、チーム内での対立構造が強くなってしまう気がします。能天気キャラクターですが、悟空がいることで、チームとして機能しており、また保たれている微妙な距離感のようにみえます。

人間・妖怪、そして神さま

これら種族を描いているのは、「差別」というもの愚かさ、醜い部分のように受け取れます。人間と妖怪との間に、子どもを設けることができる、ということは妖怪も人間も本来は同じ種族という捉え方ができます。生物学的に同じ生き物でなければ、子どもをつくることはできません。犬と人間の間では、交尾をしたととしても、子どもができることはありません。また馬と虎が交尾をしても、子どもができることはありません。

しかし、この「最遊記」の世界では、人間と妖怪の間に子どもをつくることができます。すなわち、人間と妖怪は同じ生物であると考えることができるのです。しかし、それは禁忌とされています。なんだか、差別社会の中で起こっていることとイメージが重なりませんか?また現実社会では、人種の違いと同じようなものと捉えることができます。そして、人間と妖怪の争いを終始、描かれていますよね。

今後の予想・予測ですが、今後の物語の展開で、神さまと人間、また神さまと妖怪の間で子どもができる、ということが出てくるかもしれません。

前作から通して終始、旅の中で主人公たちと妖怪・神さまと対立して、打ち勝っていく展開が続きます。これは差別や、その対立構造を描いた皮肉や風刺のように考えられませんか。

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