キャラクターにどんどん愛着が湧く!
伊坂幸太郎原作『グラスホッパー』の作中に出てくる殺し屋蝉が主人公のスピンオフ的作品。作者の大須賀めぐみの繊細で美麗なイラストがとても目を引きます。
物語は蝉が暗殺の仲介業者岩西に出会うところから始まります。ストーリーはただのチンピラにもなれていない、人との繋がりを持たない蝉が岩西と出会いプロの殺し屋として仕事をこなせるようになるまでを描いていますが、少しずつ岩西との生活の中で人間らしい感情を取り戻していく姿がとても可愛いです。
一人前の殺し屋に成長するまでを描いていますが、蝉と岩西二人の距離感がどんどん変化していくところが本当に面白い。
特に家族にも恵まれず育った蝉にとって、岩西は初めての家族のような存在で、気付けば岩西の存在に依存している姿は年相応の幼さが垣間見えて蝉が益々可愛く見えます。
岩西は最初こそ『金で買えないものなんてない』というスタンスで蝉の事を簡単に切り捨て、使い捨ての駒としか見ていなかったのに、ストーリーが進むにつれて損得よりも蝉の命を惜しむようになっているのは読んでいて嬉しかった!
waltzは同じ大須賀めぐみが作画を担当している『魔王』の四年前の設定なので、waltzを読んでから魔王を読むとまた二人の関係の変化を見る事ができて新鮮です。
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