どうしてこんなにカッコいい?古典的ともいえる「技名を叫んで殴る」姿にほれる漫画 - 血界戦線の感想

理解が深まる漫画レビューサイト

漫画レビュー数 3,136件

血界戦線

4.204.20
画力
3.87
ストーリー
3.97
キャラクター
4.50
設定
4.10
演出
4.07
感想数
3
読んだ人
6

どうしてこんなにカッコいい?古典的ともいえる「技名を叫んで殴る」姿にほれる漫画

4.64.6
画力
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
設定
4.0
演出
4.5

目次

キャラもストーリーもとにかくカッコいい

「トライガン」で有名な内藤泰弘先生が現在連載されている「血界戦線」。タイトルの戦線はカッコいいからつけたとご本人がおっしゃるように、とにかく「カッコいい」をこれでもかと詰め込まれている漫画。キャラクター一人ひとりがカッコいいのはもちろんのこと、シーンの見せ方、台詞の選び方など思わず目を輝かせたくなるような、まさしくエンターテインメントとしてのおもしろさに溢れています。

かっこよさというものには何種類か種類があり、スタイリッシュなかっこよさや熱血的なかっこよさ、どこからどう見てもクズだろうと感じるのになぜかカッコいいなど、ほかにもいろんな種類がありますよね。血界戦線ではそれらの多様なかっこよさを楽しむことができます。たとえばザップ・レンフロ。この人はまさしくクズなのにカッコいいという人ですよね。もちろん見た目からの場合もあるでしょうが、奥底にある優しさや情熱的な面というのが見えたときのかっこよさというのは、特に女性には別格なのではないでしょうか。

同じくK・Kも息子のことになったらグダグだなのに、バトルシーンのかっこよさは漫画内でもトップクラスなのではないでしょうか?彼女の場合はかっこよさと共にかわいさも良く描かれていますよね。このようなギャップによるかっこよさというものは、印象に強く残りやすく、読んだ瞬間に読者を漫画の中に引き込んで話さないという強い力があります。内藤先生はトライガンのときから同じように、ギャップによるかっこよさという書き方を良くされていましたが、血界戦線ではより読みやすく引き込まれやすい漫画になっているのではないでしょうか。

突飛な設定に矛盾を感じさせない

血界戦線の舞台は「ヘルサレムズ・ロット」ニューヨークのど真ん中に現れた異界が舞台ですが、一番最初の読み始めたときは少し理解しにくい漫画なのかもしれません。一番初めに設定そのものを読者に投げて、細かなところは後から少しずつ明かしていく、というやり方をとっているのでこういったやり方の漫画をはじめて読む方には、設定がおかしい、良くわからない漫画だと感じてしまうかもしれません。

ですがこのやり方の場合、読み進めていくごとに新しい漫画の世界を知っていくことができるので、いつまでも飽きずに漫画を楽しむことができるというメリットがあります。逆に進んでいくにつれて前の設定を忘れてしまう作者の方もたまにおられますが、血界戦線の場合設定に矛盾が出ることも無く、ここでそんな意味深なシーンをはさまれたら気になって仕方が無いじゃないか!と読み進めることにいいストレスを感じることができます。漫画を読む楽しみを存分に味わうことができます。

ある意味漫画の内容的にはドキドキしたりカッコいい!ともだえたりで忙しい漫画ですが、読んでいく間の安定感はさすがの一言になるのではないでしょうか。幻界病棟ライゼズの回などまさしく突飛としか言いようの無い設定ですが、なんの矛盾を感じることも無く読み進めることができた回なのではないかと感じます。そしてまた「ルシアナ・エステヴェス」も違う面でのかっこよさを見せてくれる人でした。

「技名を叫んで殴る」がコンセプト

内藤先生自身がおっしゃっていた血界戦線のコンセプトは「技名を叫んで殴る」。これは漫画好きからしてみれば王道のやり方ですが、これもまたかっこよさの一つでもあり、外に出すわけには行かない中二心をくすぐってくれるポイントですよね。見せ場のシーンでもあるのでカットもかっこよく、敵を一掃するさまは読んでいるだけでスカッとするもの。王道の見せ方ではありますが、独特のコマ割やスタイルが良くある漫画というマンネリ感を感じさせることがないので、夢中で読み込む方も少なくないと感じます。

技名がかぶってしまったときのK・Kの「こういうのって被ったら駄目なんじゃないの?!」という少しメタ感を感じさせる台詞も、少し芝居がかったぐらいにカッコいい血界戦線の中では、あまり違和感を感じませんね。内藤先生自身が生粋のアメコミファンであることも影響しているところがあるのでしょうか?オーバーアクションや少し下品と感じてしまう(褒めてます)やりとりや、技名を叫んで殴るというところなど、すべてにおいて日本の普通のアクション漫画には無いところなのではないでしょうか。男性女性問わず、キャラやストーリーに惚れ込むことができる数少ない漫画の一つですね。

女性キャラがかわいくなった

これは完全に個人的な感想になりますが、女性キャラがとてもかわいらしくなったように感じます。トライガンのときから魅力的な女性キャラを描いておられましたが、絵の特徴上どうしても線が硬い感じを受けていましたが、血界戦線では女性キャラの描き方がとてもやわらかくなっているように感じます。男性キャラはもともととてもかっこよく描いておられる先生でしたが、今では女性キャラの絵もとても魅力的になってきているので、絵からファンになるという方も増えたように感じます。もちろん中身もかわいい女性キャラたちの、それぞれの活躍も描かれていますね。

まだまだ物語の背景には謎が一杯なので、続刊が楽しみな漫画です。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

異世界で巻き起こる事件のオムニバス

ある意味笑ってしまうあらゆるファンタジー漫画って脈絡がないものだけど、これほど脈絡ないのは…びっくりだった。レオが「神々の義眼」を持つに至った経緯を簡単に明らかにし、しかもそれはただの偶然で、何の素質も関係性もない。秘密結社のくせにライブラの存在はすぐに明らかになる。敵の全容もわからず、いったいこれは…何と闘っているの…?物語を読み進めていくとわかるのだが、これはニューヨークが一夜にして別の世界とつながる異世界と化し、そこでは人と人ではなくなってしまったものが共存しているってこと。化け物同士の争いもあり、化け物と人との争いもあり、化け物の中にも警察のような統率を図る団体がある。…もう起こってしまったこととして、受け入れられているとも言えるのだ。倒すべき悪の存在があるわけじゃない。お互いが脅威で、拮抗状態・人と人とが国同士で別れているのと同じようなもの。確かに人ではないために抜群の殺傷能...この感想を読む

3.53.5
  • kiokutokiokuto
  • 268view
  • 3199文字
PICKUP

血界戦線にチワワがかじりついてみた!

リアリティを感じさせながらも、異世界がやってきた現実世界!この作品の舞台はご存知の通り、異世界と繋がってしまった都市、元ニューヨークである『ヘルサレムズ・ロット』です。舞台を元ニューヨークとした点にリアリティを感じさせる、他にはない斬新さを見ました。日本の漫画なんだから日本が舞台でいいじゃないか、東京が舞台でいいじゃないかと考えてしまいがちです。しかし、敢えて誰もが知っていますが、身近になく、直ぐに見る事ができないニューヨークとした事によって、「もしかしたら明日にでも・・・」「今頃はもう・・・」と妄想をゴリゴリと掻き立てられてしまう、厨二病には堪らない状況を作り上げています。これが日本や東京を舞台とした場合、ふと外を見ると笑顔の小学生たちが走っており、犬と散歩をするおじさんがあくびをしながら歩いているといった、非常に平和な現実を目の当たりにしてしまい、やっぱり漫画だと感じてしまうわけで...この感想を読む

4.54.5
  • チワワはわんチワワはわん
  • 230view
  • 2619文字

関連するタグ

血界戦線を読んだ人はこんな漫画も読んでいます

血界戦線が好きな人におすすめの漫画

ページの先頭へ