幸せな人生 - はつ恋の感想

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はつ恋

4.004.00
映像
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脚本
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キャスト
4.50
音楽
4.00
演出
4.00
感想数
1
観た人
1

幸せな人生

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.0

目次

初恋ってそんなに忘れられませんか?

初めて人を好きになったのはいつだったでしょうか?あれはたしか小学生のころ、ちょっと優しくしてくれたクラスで一番頭のいい男の子でした。でも、次の年クラス替えがあると、もうすぐに違う男の子のことが気になってしまいました。漫画や小説に出てくる恋愛というものにあこがれていただけなのでしょうね。

緑のように、高校生の頃から付き合いはじめ妊娠までしてしまって、それすらも告げられずに冷たい言葉を投げかけられた相手なら、忘れてしまった方がずっと幸せなんじゃないですか?逆にトラウマになってしまって、恋することに臆病になってしまったのだから、酷い相手じゃないですか。本当に男は自分のことだけでいっぱいいっぱい。相手の身になんて露ほどもなれやしないんです。

緑の初恋は傷つけられたからこそ忘れられなかったんですよね。

愛する人は子どもより大事ですか?

酷い人なのに、酷い事されたときに相手が傷ついていたことを知って、許してしまったのはなぜですか?実際、女は多角的に考えられる、つまり相手の身になって考えることができるからですよね。でも、女はリアリストなので、相手の身になって考えて行動の理由に合点がいっても、好きじゃなかったら許したりしません。まあ、単純に好きだから許し、愛し、子どもも捨てることができたという事ですよね。

現実の大事にしてくれる旦那さんとカワイくまだ小さい男の子がいるのに、昔愛した相手の方が大切だなんて理解に苦しみます。今の夫が暴力男だとか、やつあたり野郎だとか、お金かせいでこないだめんずならまだしも、ちゃんと愛してくれて大事にしてくれる人なのに…。つまり、愛してくれる人より愛する人って事なんですかね。夫のことはそんなに好きじゃなかったんでしょう。恋に臆病になっていた時に頑張って愛してくれた人にほだされて結婚しただけなんです。そして、子どものことは本当は大事で一緒にいたいけど、これ以上のわがままを主張するのは悪いから遠慮してあきらめたんですよね。あきらめられる程度のことだったんです。女は自分の感情に嘘がつけません。

好きな人が困っていたら何をおしても助けてあげるの?

何年も離れていたのに、 三島が脳出血で言語が不自由になったことを知った緑は助けずにはいられませんでした。職業柄の使命感もあったのかもしれません。この職業についたのは、三島の暴力的な言葉がきっかけだったのに、三島の言語能力のリハビリをすることになるなんて、なんという皮肉、なんという運命。でも、自分にやれることがあるからやるということだったのかもしれません。たとえば、緑がこの職業ではなく、友人の広瀬の店でお弁当を作っていたら、父親の店で理容師になっていたら何もできなくて、三島を助けることもなく、みんなが丸く納まっていたのかもしれませんよ。

いやいやそれではドラマになりません。たとえ職業が違っても、熱心に勉強したり、何らかの助けを借りて三島のリハビリにいそしんでいたことでしょう。好きな人が困っていたら手を差し伸べずにはいられないのが緑です。

死んでいく身にとって大切なのはやっぱり家族なの?

ガンが再発して余命が少ないと分かった緑は子どもに会いたくなりました。人はいつもないものねだりなので、愛する人と一緒に生活している緑は、子どもに会いたくなるのは当たり前ですよね。子どもの傍に戻って、死ぬことができた緑は幸せ者です。でも、子どもとっては、いなくなったお母さんが帰ってきたけど、すぐに死んでしまったなんて、ものすごく悲しく辛いことですよね。一生忘れられません。けれど、自分を捨てて男の元に走ったお母さんが帰って来たのだから、これはこれで納得できる結末なのかもしれませんね。

これ、逆に家族とずっと暮らしていてガンが再発したら、愛する人に会いたくなって、夫が気を利かせて三島に会って死ねるようにしてくれたのではないかしら。人生は岐路に二つのことを同時に選ぶことができないから仕方ないけれど、逆パターンの人生でも、それなりに幸せな気持ちでいることができたのかもしれません。

辛い初恋も今となっては甘酸っぱい思い出です。お腹の子を流産してしまったのも残念でしたが、中絶して、自分で自分の子を殺してしまうよりずっとましです。その後もだまされたり、傷つけられたりすることもなく、ちゃんとした仕事に就き、いい人に出会い、ちゃんと子供を産むこともできました。つまり、緑の人生は短くはあったけれど、気遣ってくれる親や家族、友人、愛する人がいて、幸せだったのではないでしょうか。ある意味うらやましい話です。

人は皆1度は死ぬのです。年を取って、病気になって家族に迷惑をかけて長く生きていくことが幸せとは限りません。長生きすることが不幸というわけではありませんが、家族に悪いと思いながら生きるのも辛いことです。死ぬことは寂しく怖いことだけれど、家族に長く辛い思いをさせない程度にできれば、それは最後の幸せかもしれません。

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