ハリーポッターの人間関係から考える人が人を信じるということ - ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2の感想

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ハリーポッターの人間関係から考える人が人を信じるということ

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

ダンブルドアがスネイプを一番信頼していた理由

ダンブルドアはスネイプに絶対の信頼をおいています。それは愛するリリーに直接手を下したヴォルデモートのもとにスネイプはもどらないという確固たる理由があったからです。そして誰よりもヴォルデモートを憎み、また許すことのできない相手だったからだと思います。それは両親を殺されたハリーより、強いものだったのではないでしょうか。リリーに対する愛が深いゆえにうまれた憎悪だったのでしょう。

「人を呪わば穴二つ」ということわざがあります。これは人を憎んでいるときも同じことで、誰かを憎めば必ず自分もその憎んでいる気持ちの大きさだけ苦しむことになります。憎しみから解放されるためには、憎んでいる相手を陥れたり、殺してしまったりするのではなく、相手を許すことだと言われています。しかし、殺したいほど憎んでいる相手を簡単に許すことができるでしょうか?それは到底すぐにできることではありません。それゆえダンブルドアはスネイプがヴォルデモートのもとに戻ることは決してないと言いきれたのでしょう。だからヴォルデモートを倒すために必要なことであれば、スネイプはどんなことでもするという信頼をおいていたのでしょう。スネイプに自分を殺すように命じ、ヴォルデモートのもとに戻ったふりをするように言うことができたのもこのためでしょう。スネイプはダンブルドアに対し「我が輩に多くを求めすぎではありませんか」と言っていますが、スネイプが指示された通りに動くのはダンブルドアに対する忠誠心からではないことを理解しているからこそ、スネイプにしか指示することのできない内容だったのでしょう。

ダンブルドアを信じて進むハリー

ハリーはアバーフォースに対して、「自分の知っている先生を信じる」と断言しています。これは一見ダンブルドアに対する信頼の強さをあらわしている言葉にも思えます。「ダンブルドアが言ったことしたことには必ず理由があると信じているんだ」と言ってもいいかもしれません。しかし、注目したいのはハリーが言った「自分の知っている」という言葉です。アバーフォースの言うようにハリーには見せていないダンブルドアの姿があり、知らされていなこともたくさんあるようです。ダンブルドアのことについては、ハリーよりハーマイオニーのほうがはるかに詳しく知っているでしょう。しかし、ハリーの信じているのはあくまでも「自分の知っている先生」なのです。

「人を信じる」ということには二つのパターンがあると思います。本当に相手を信じている場合と、相手が信じても大丈夫な人だと判断した自分を信じる場合です。ハリーの場合は後者だと考えられます。自分を信じることができる人はもし信じた相手に裏切られたとしても、それは信じてはいけないタイプのリストが増えるだけなのだと思います。相手の自分に対する行動などからこの人は大丈夫だと判断をし、そう判断した自分を信じているのです。また全面的に信じるのではなく、時と場合によって信じる信じないを判断する場合もあります。その結果裏切られたとしても、相手に対して恨みに思ったり人を信じられなくなったりすることがないのでしょう。それを証明するかのようにオリバンダーが「ニワトコの杖」のありかをヴォルデモートに教えたと知っていても、マルフォイ家から救い出し保護していたのでしょう。その反面本当に相手を信じている場合は、裏切られた時に人間不信に陥る人が多いようです。では何を基準に相手は信じることができると判断したのでしょう?それには社会的地位であったり、有識者であったりと周りから認められているからという理由で信じてしまっていることが多いのではないでしょうか?そのため裏切った相手だけでなく、その人を認めているといった人たちまで信じられなくなり結果人間不信に陥るのだと思います。

敵対する者の良心を信じたハリーとドラコ

ドラコは必要の部屋でハリーが助けに来たとき素直に助けを受け入れます。それはハリーが本当に自分を助けようとしていることが分かったからなのでしょう。一方ハリーはヴォルデモートに「死んでいる」と言ったナルシッサの助けを受け入れます。お互い普段は敵対する側の人間であるにもかかわらず助けを素直に受け入れるのは、相手が本当に助けようとしてくれているということが分かったからなのでしょう。

良心とは、正しく行動しようとする心の動きのことです。人を助けるのと見捨てるのでは一般的に見ても助けるほうが正しい行いと言えます。しかしこれはその時の環境・時代によって左右されることが多いようです。時代によっては昨日まで正しいと言われていたことが、今日からは正しくないと言われることになっても不思議ではないということです。しかし根本的に人間は良心に従うときは自分の肯定感が増し、従わないときは自己否定的になるようです。そのため良心に従いたいという気持ちは強いようです。良心の中に人を見捨てることは悪いこと、助けることはよいことというカテゴリーに分けられて入れば、たとえ敵であったにしても助けようとするのが自然の摂理なのかもしれません。

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