武司の人生を見て私が涙した理由。 - 若葉のころの感想

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若葉のころ

4.504.50
映像
4.00
脚本
4.50
キャスト
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音楽
5.00
演出
4.50
感想数
1
観た人
4

武司の人生を見て私が涙した理由。

4.54.5
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
5.0
演出
4.5

目次

話題のデビュー前の2人が演じた2作品目が、小学生にまでを魅了した理由。

この作品を私が見たのは当時私が小学生の時でした。小学生の子供が見るには少し難しい要素もあり、親にあなたにはまだ分からないでしょ、と言われたのを覚えています。私は何故かこの作品に引き込まれていきました。親の言う通り、大人と同じような解釈は出来ていなかったかもしれません。でも小学生ながら、必死になって見ていました。夜9時からだったので、起きているのがいっぱいいっぱいでしたが、眠いのを我慢して頑張って見ていました。それくらい、小学生も集中して見てしまう確実な魅力があったのだと思います。当時はまだkinki kidsとしてデビューしていなかったジャニーズ事務所の堂本剛と堂本光一が、主人公を演じていました。この2人といえば、思い出されるのは”人間失格”というドラマです。2人はこの頃から素敵な演技を見せてくれました。同じ名字のため、実は兄弟?と当時噂されたりして話題性もありました。特に、堂本剛の演技が私は好きでした。暗く、悲しいイメージの役ばかり演じている印象がありましたが、彼の演技には魅了されていました。ジャニーズ事務所ということで、やはり格好良かったので、小学生同士で、剛と光一どちらが好きかなどと大変人気がありました。どちらも同じくらい大人気だったので、あれだけ注目されていたのかなとも思いました。

対照的な環境で育った2人の切ない物語

堂本剛は、武司役で、前回と同じように、暗い印象の役でした。アルバイトをしながら家族の面倒を見ていました。頭が良く勉強が出来たので名門高校に通っていました。そこで出会ったのが、堂本光一が演じていた、甲斐でした。甲斐は武司とは正反対の環境で生まれ育ちました。そのため、武司からしてみれば裕福な家で何の苦労もしないで生まれ育ってきた甲斐のことが許せなかったのです。それは仕方ないと思います。裕福な環境で育った人は、何をするにも、平凡な家庭で育った人からしたら、嫌みに聞こえます。まして、それが高校生同士では尚更です。色々なことが少しづつ分かってくる時期で自分と他人を比べてしまうものです。甲斐は悪気があるわけではなくても、貧乏な生活をしている武司から見たらどうしても嫌な気持ちになってしまうのでしょう。できる事なら関わりたくないと思ったかもしれません。しかし、甲斐は、武司と友達になりたいと必死に思っていました。最初は複雑な関係の2人でした。その後は分かり合い仲良くなります。しかし、武司の幼馴染の泉が入り、3人は更に複雑な関係になっていきます。似ても似つかない家庭で育った2人という設定がこの作品をおもしろくする1つの鍵だったのでしょう。その後、対照的な環境で育ってきた2人の物語は様々な方向へとすすみ見ている人を引きつけます。

武司演じる堂本剛の完璧な演技に惹かれ、”武司の人生”を一緒に見届けた私。

武司には悲しい現実が待っていました。小学生ながら、可哀想だなと何度も思う場面がありました。涙も流しました。貧乏なところ、父親がお酒ばかり飲み働かないこと、2人の兄妹の面倒も見ながら、自分も勉強して夜はアルバイトです。武司が父親から暴力を受けて入院、武司が誤って父親を刺してしまい、少年院に入ることとそこでのいじめられるシーンも泣きました。堂本剛の演じた武司には悲しい場面が多すぎるのではないかと思うくらいでした。彼は、完璧にその悲しみ、悔しさを演じきっていたと思います。”人間失格”の時とはまた少し違った力強さを感じました。彼の演じる武司に同情し、この作品を毎週見ていたのかもしれません。武司のその後が気になり過ぎて必死に見ていました。それくらい堂本剛の演技に惹きつけられていたのだろうと感じました。武司が少年院にいる間、泉が甲斐の子供を妊娠してしまいます。これは小学生ながら驚き、また武司が可哀想に思い、その事実を知った時の武司の顔は忘れられない程でした。なぜここまで武司を追い込み、不幸にするのか当時は分かりませんでしたが、それがこの作品の狙いだったのでしょう。不幸と思っていた武司に、更に何度もの不幸が降りかかります。視聴者は次はどうなるのだろう、武司はこの不幸にどう立ち向かうのか、この悲しみに耐えられるのかと興味を持ち出すのです。その狙い通り、私は毎週見ていましたし記憶にも残っています。武司が後半、人が変わったかのようになります。甲斐と泉の間に子供ができ、大切に面倒を見てきた弟と妹から素っ気ない態度をとられたり、甲斐の父親が武司の実の父親という信じがたい事実を知ります。武司の顔、表情は周りの人間の態度の変化によって、少しずつ怖く恐ろしくなります。もし自分にこんなことが起きたら耐えられるのだろうか。考えてみても検討がつかないくらいの人生を武司は歩んできているという事実にまた涙が止まりませんでした。せめてもの救いは、最後に武司が最初の頃の笑顔を取り戻せたということだと思います。その笑顔の奥にはもしかしたらまだ苦悩を抱えた武司がいるかもしれませんが、武司の笑顔に視聴者はホッとしたでしょう。武司の育ての父親は、武司のために、貯金をしていたことも分かり、武司の涙には切なさが溢れていました。彼に悲しい涙だけではなく、嬉しさからでた涙も存在させる事で、視聴者を更に釘付けにさせました。この作品は”武司の人生が描かれた作品”という見方を私はしていたのだろうと思います。

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