哀しくも美しい隣人の復讐 - 美しい隣人の感想

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美しい隣人

4.754.75
映像
2.75
脚本
2.75
キャスト
4.75
音楽
2.75
演出
4.75
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哀しくも美しい隣人の復讐

5.05.0
映像
4.5
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
4.5
演出
5.0

目次

「原因」と「プロセス」

平凡に暮らす専業主婦が、

隣に引っ越してきた謎の女性によって

家庭崩壊に追い込まれていくサスペンスドラマ。

専業主婦「絵里子」を演じるのは檀れいさん。

謎の隣人「沙希」を演じるのは仲間由紀恵さん。

二人の演技もさることながら、

謎の復讐劇の心理描写や背景が

とても丁寧に描かれていて

見ていても心地よかった。

復讐モノを見て心地良かった、というのもナンだけど(笑) 

余談であり単なる私個人の好みなのだけど

こういう陰的な性質の物語を見るとき、

「なぜそういう犯行に及ばざるをえなかったのか」

「なぜそういう心理にならざるをえなかったのか」 

「なぜそういう痛ましい事が起こらざるをえなかったのか」 

という、「原因」が丁寧に描かれていると嬉しくなる。

初めから悪意で出来ている人間なんていない、と思う。

物事には必ず原因があるし 

復讐にしろ、犯罪にしろ、

悪意をもたざるをえない「何か」があったはずで

その根っこをたどれば

「本当はこうしたかった」

「本当はこうされたかった」

という、純粋な「願い」があるはずで。

その純粋な「願い」が、何がどうなって「悪意」へと

発展せざるをえなかったのか・・・

その原因とプロセスを、演出や俳優陣の演技によって

表現されたのを感じられると、とても安心する。

この作品の場合は、

もともと心の闇を抱えていた「沙希」の、 

とある「逆恨み」から計画は動いてゆく。

「沙希」は、自分の不注意から、

一人息子を公園の池で溺死させてしまったのだが、

「絵里子」もまた同じ日に、

眼を離したすきに一人息子が行方不明になってしまう。

この哀しい偶然によって

二人の運命はクロスしてしまった。

そして復讐のきっかけとなった「逆恨み」の原因は

哀しいくらい、繊細な人間の心の叫び、だった。

その、「原因」と「プロセス」が

とても分かりやすく描かれていた。

欲を言えば、「沙希」が心の闇を抱えることになった

一番の原因まで描き切れていれば尚よかったかな~、

とは思ったけど。

「母親との関係性に傷があるのか?」と彷彿させる描写は

ほんの少しだけあったけど、明確には描かれておらず。

それでも、復讐をせずにはいられなかった「沙希」の心情や

「絵里子」や周りに対する行為のやりとりなどが

緻密に描かれていたので、大満足でした。

それぞれの立場

この作品は、「沙希」と「絵里子」の両者について

比較的まんべんなくバランスよく描いていると思うのだけど

どちらかといえば「沙希」の視点を軸に丁寧に描いているせいか

ついつい「沙希」に肩入れして見てる自分がいた。 

しかも、復讐のきっかけは

完全に「沙希」の一方的な逆恨み、なのに、だ。

「絵里子」の立場からすれば、

とんでもない言いがかりの何物でもなく、

一体私がどんな悪いことをしたというのだ!と、

ブチ切れてもいいハナシ。

だけど、「沙希」の立場からすれば、

「絵里子」ほど無神経で自己中な人間はいない、

そんなお前がのうのうと幸せで生きていていいはずがない、

としてしか映らない。 

人はそれぞれ、自分の事情で生きていて、

自分の事情で好きなように人を、世界を、見る。

通常は、その、

各々の事情とは別にある「尊重」ゾーンで人は人と交わり、

お互いの事情を生かし合う交流を育んでいくのだろうけれど

「自分の事情」に傷があると「尊重」ゾーンに身をおけない。

このドラマの「沙希」のように。

そして、人は体験したことしか理解できないから、

「絵里子」もまた、自分の性質だけでは体験しえない人間の側面を、

「沙希」と関わることによって理解する、という体験をし、

結果的に、自分自身をより豊かに深めていく。

自分の日常においてもよくある人間関係の構図で

ドラマはより俯瞰的にその構図を味わえるので

やっぱり・・・オモシロイですね。

「絵里子」について

私自身、「絵里子」と「沙希」のような関係性のパターンは

結構身近に、あって。

私の場合は典型的な「絵里子」タイプで

「沙希」タイプの人から

「沙希」ほどやり方はひどくないけど

やっぱり一方的な言いがかりや

インネンを吹っかけられることが

人生の岐路において、過去にあった。

だからこそ、「絵里子」を「沙希」の視点で客観的に見てると

自分ごとのようにヤキモキしたよね(笑)

「絵里子」は自分の気持ちをハッキリ言わない。

だから付け込まれるし、不利な立場に追い込まれるのに。

「沙希」は人間心理にたけていて、「誤解」もうまく使う。

例えば、「絵里子」には一切落ち度はないのに、 

「沙希」の「誤解」を使った巧みな心理操作で

友人の「真由美」と仲互いさせられて孤立に追いやられていく。

でも、「絵里子」も「真由美」に

自分の気持ちとか 、

自分はこれこれこうだよ、と、

自分の事実をちゃんと伝えればいいのに

「真由美」に気を使ってなのか、何も言わない。

あ~~~~~、見ててイライラしたよね(笑)

なんで言わないんだーーー、っつって。

でも、ワカル。

理不尽な態度への憤りや怒りとかを

そのまま出して相手を傷つけたくない、って思ってしまって

自分の中でなんとか解決しよう、って思ってしまうんだ。

それが逆に、人と自分との間に、

薄い膜のようなものを無自覚に形成してしまってたりして

人によっては「心を許してもらえてない」って

思わせてしまうことにも 繋がってたりする。 

それと、そもそも基本的に

人を無条件で信用してしまってるとこがあるから

まさかそんな否定的な心理で人が動いているなんて

なかなか発想に繋がらないんだよね。

だから混乱する。 

「え?なんでそんな態度なの?」

って、理由が分からない。

んでまた、「絵里子」のそういうトコロが

「沙希」や「真由美」タイプからしたら

無神経で能天気に見えるんだろうなあ・・笑

・・・と、完全に私個人の視点のハナシ、なんですが。

でも無事、紆余曲折ありつつも、

「絵里子」は再び平安な暮らしを立て直すことができました。

よかった、よかった。

私も一安心です(笑)

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他のレビュアーの感想・評価

目の保養になったドラマでした

タイトルだけではストーリーを予測することができなかったので、どういう結末になるのか毎回ドキドキして観ていました。続きが楽しみなドラマというのはめったにないのでこれはよかったです。仲間さんも壇さんもどちらも美人でストーリーとは別で目の保養にもなりました。私は女ですけどね、でもきれいなものを見るのはいいですよね。同じ子持ちの主婦として「こんないい家住んで、家の中きれいだしインテリア素敵だしいつもおしゃれにしてるしヘアスタイルばっちりだしすごいな」っていう感想も持ってました。ドラマですけどね。そんな目線でも見てました。どうして隣を狙うのかという理由が仲間さんの子供が昔死んだことと関係があったとして、自分の子が死んだのではなかったことにたいして「よかった」と言ってしまうのは自然な流れだと思います。他の誰かが死んでしまったかもしれないけど、自分の子じゃなかったらたぶん私もよかったと言ってしまうか...この感想を読む

4.54.5
  • みかんまろんみかんまろん
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