魅力はある、だが問題もある
初代ルパン役の山田康雄が亡くなって、栗田貫一が正式にルパン役をすることになったTVスペシャル。
ゲストキャラが007のモデルだったり、第二次世界大戦の話が織り込まれたりとしていたが、個人的にこの話の魅力は財宝を手に入れるために必要な像を探すという、王道の宝探しが話の中心になっていることだと思う。
ルパンのTVスペシャルは人間ドラマが主体だったり、悪党の邪魔をするのが目的だったり(ルパン達も悪党だけど)と色々あるが、今作は「宝を求めて冒険をする」というかなり昔から好まれているジャンル。謎を解いて(奪い奪われるの)苦労をして手に入れた像を使い、辿り着いた先で巨大な金色の潜水艦が出てきた時はゾクゾクした。
このゾクゾクする感覚も、潜水艦の出し方が少しでも違ったら感じなかったかもしれない。「お宝の登場だ!どうだぁぁ!」と言わんばかりの演出が上手かったのだろう。
よくよく考えると突っ込みどころも多いアニメだが、ストーリーのテンポが良く、上記の演出の良さなどが相俟って最後まで見ることができる。
問題は当時、正式にルパン役をすることになったばかりの栗田貫一の演技。他の出演声優がばっちりキャラにはまっている為、その大根っぷりが特に目立つ。声優もアニメの世界を作る要素の一つ、と何処かで聞いたことがあるが、このアニメを見る度に全くその通りだと頷いてしまう。
最近多い、俳優をアニメ声優として起用するパターンのように、声優がその世界に入っていないと視聴者も入れないという悲しい事が起きているアニメ。著しく評価が悪い、という訳ではないが、あまり人気が出なかったのは声優の演技も原因の一つだと思う。
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