ダレン・シャンが関わった団体とヴァンパイアと血の関係 - ダレン・シャン 2 若きバンパイアの感想

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ダレン・シャン 2 若きバンパイア

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文章力
4.75
ストーリー
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設定
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演出
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ダレン・シャンが関わった団体とヴァンパイアと血の関係

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文章力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
5.0

目次

シルク・ド・フリーク

フリークとは一つの事に熱中している人(マニア)という意味がありますが、原義として「奇形」という意味があります。なのでシルク・ド・フリークは奇形(異形)の者をあつめたサーカスということになります。通常フリークショーと言われるものは、見た目が普通でない人達を見世物にしてお金を稼いでいる非人道的な見世物小屋といったイメージが強いです。実際フリークショーに売られた人たちは人間扱いされず、家畜のように扱われ食べるものも着るものも満足に与えられず、檻の中に閉じ込められたりすることもあったようです。

ミスター・トール率いるシルク・ド・フリークも異形の人たちを集めたサーカスですが、いわゆる見世物小屋とは違います。異形を見世物にしているところは同じですが、人間社会では普通に暮らすことが難しい者たちが集まって共同生活をしていると言うほうが正しいでしょう。異形の人たちだけではなく、普通の人たちもサーカスの手助けをしています。「来るものは拒まず、去る者は追わず」といった精神で、基本的に自分のことは自分ででき、サーカスの仕事を手伝うことができれば誰でもこの共同生活に参加できるといった形式のようです。

血を飲み干すということ

ダレンはスティーブを救うためとはいえ、半ヴァンパイアになったこと、特に自分が人間ではなくなったということに対してまだ受け入れることができません。そのためいくらクレスプリーが人間の血を飲まなければ死んでしまうといっても、がんとして飲むことを拒み続けます。動物の血までは飲むことができるダレンですが、それだけではパワーが足りず次第と衰弱していってしまいます。ダレンは知り合った人間の子供サム・グレストがウルフマンに襲われ死にかかったとき、クレスプリーに言われ血を飲み干すことでサムの魂の一部を取り込みます。そしてサムの好きだったオニオンピクルスが食べたいと思ったとき、クレスプリーの言ったサムの一部を自分の中に残すといった意味が理解できます。

心臓移植を受けた人たちが、移植を受ける前は自分になかった趣味嗜好が移植後あらわれ、よく調べてみると生前その心臓の持ち主が持っていた趣味嗜好だったということがあります。科学的にみると心臓の中に記憶を宿す機関のようなものはないと言われていますが、こういった変化があった人たちは一人二人ではないようです。こういった現象があることを踏まえると、血液を飲み干した場合、飲み干した相手の記憶や趣味嗜好がそのヴァンパイアに移るといった考えも納得できる気がします。ヴァンパイアでなくても、鯉・まむし・スッポンなどの生血は薬として飲まれることがあります。人間の血のパワーというのもヴァンパイアはもともと人間という設定が多いので、人間の生血であればこれらのものよりパワーがあるとされても不思議ではないでしょう。

NOP(環境戦士)

自然を守るために田舎や森や湖の自然破壊を食い止めようとする人たちのことです。環境保護団体と動物愛護団体が合体したような団体でしょう。道路建設の反対や歴史のある建物が壊されないように守ったり、動物を守ったりしているようです。ダレンがフリークショーに招待したR.Vですが、ウルフマンやマダム・オクタの毒の威力を証明するために殺されたヤギをみて、動物虐待だと騒ぎます。最後には檻に入れられているウルフマンを出し、自分の両手を食いちぎられただけでなく、サムを襲わせることとなります。いくら檻にいれられているのは虐待行為だとはいえ、ウルフマンによって人間だけでなく近くで飼われていたほかの動物が襲われた場合、どういう判断になるのかすごく興味があります。ウルフマンを人間扱いとして、エブラやダレンが近くの家畜を襲ったのと同じく動物虐待・窃盗と判断して犯罪者とするのか、ウルフマンを動物扱いとして、動物が動物を襲ったと判断して無罪となるが、異形の者への差別を認めるのか難しいところでしょう。

エコテロリストと言われる団体があり、環境保護・動物愛護を全面的にうたうことで、環境破壊・動物虐待ともとれる行為をする者に対し武力で阻止する団体があります。NOP自体は暴力で解決する団体ではないようです。木を切らないように手をつないで木の周りを囲んだり、建設機械のエンジンに砂をつめて機械を動けなくしたりというのが主な妨害方法みたいです。R.Vはどちらかというとエコテロリスト側ではないでしょうか。暴力を行使してでも破壊活動は妨害したほうがいいということを言っています。環境保護・動物愛護は確かに地球を守ったり人間以外の種族を守ったりするのには、必要な精神だと思います。古代の遺跡を壊してとか、無駄な木の伐採、密漁などはいくら自分たちの生活を便利にしたり、豊かにしたりするためとはいえ褒められた行為ではありません。しかし、それを阻止するためとはいえ人の命を奪ったり、危険にさらしたりするのは行き過ぎといえるでしょう。

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他のレビュアーの感想・評価

バンパイアになったダレンの成長が描かれています

ダレンシャンシリーズの2作目。前作でバンパイアとなってしまったダレン、でもどうしても血を飲むことは受け入れられないし自分をバンパイアにしたクレプスリーとも打ち解けてないまま。クレプスリーの提案でシルクドフリークに身を寄せることになりました。一筋縄ではいかないサーカス団員に囲まれたらバンパイアの自分も大したことない存在に思えてきたダレン、そして同年代の親友エブラ・フォンもできます。望んでいないのにバンパイアになった自分、そんな状況を憂い原因となったクレプスリーを恨み続けるということはなく前向きに日々を生きているダレンの精神力に驚かされます。普通の暮らしにあこがれつつも、もう戻れない、普通ではない自分を受け入れてく、私たちもこうやって毎日不条理なこと納得できないことを受け入れ現状の中で努力するしかないのかな、と思いました。血が飲めなくて苦しみ弱っていくダレン、ダレンがクレプスリーにバンパイア...この感想を読む

4.54.5
  • じゅりごんじゅりごん
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