ライカンの長、ルシアンの悲しい過去がここに
ライカンの進化の始祖ルシアン
人間から狼男に自分の意思で変身できるようになった最初のライカンです。ウィリアムに噛まれた人間は狼に変身したままで、人間に戻ることができないため、見つけたら殺すしかありませんでした。そのままにしておけば、次々と人間を襲ってしまい狼男が際限なく増えてしまうからです。そのため変身をしていなくても、噛まれた形跡のある人間は焼き殺されていました。そのなか人間に戻ることができたのはルシアンただ一人でした。ビクターは彼の命を助ける代わりに、ルシアンが血に飢えると人間を与え人間に戻ることができるライカンを増やし、奴隷として仕事をあたえました。
人間に戻ることができたライカンは、変身することを主人であるヴァンパイアに禁止され首輪をつけられていました。賢かったルシアンは次第にライカンとヴァンパイアの始祖は、おなじコルヴィナスの息子たちであるのになぜヴァンパイアが支配する立場で、ライカンが奴隷として扱われるのか疑問にもちだします。そしてソーニャと助けるためとはいえ、首輪をはずし変身したことでビクターの怒りを買い、見せしめの意味を含めて死刑にされそうになります。ソーニャとタニスの手助けで朝ヴァンパイアたちが眠っている間に仲間と一緒に脱走します。
ライカンVSライカン
ウィリアムに噛まれた人間は狼のままに、ルシアンに噛まれた人間は自由に狼に変身することができる人狼にと、同じライカンでも2つに分かれてしまいます。そして狼のままのライカンは見つけたら殺される対象となりますが、人間に戻ることのできるライカンはヴァンパイアの奴隷として首輪をつけられ働かされます。ウィリアム系のライカンからヴァンパイアを守る仕事もさせられ同じライカンでありながら、殺し合うことになっていました。ビクターからルシアンは同じライカンを殺すことに抵抗はないのかと聞かれますが、ルシアンにとってもウィリアム系のライカンはけだものにしか思えず、自分たちとは違うといった思いがあるようです。どちらかというと同じ種族でありながら、見境なしに襲うウィリアム系ライカンに対し嫌悪感さえ抱いていたのかもしれません。
ソーニャがウィリアム系ライカンたちに襲われているとき、人間の姿では限界を感じたルシアンは首輪を外し狼の姿に変身してライカンたちを抑えます。ルシアン系のライカンだけでなく、ウィリアム系のライカンまでもルシアンに従った姿をみて、ルシアンにはライカンみんなを治める力があるとその時にいた誰もが感じたでしょう。ビクターがそのあと死刑にしようとしたのは、その力を恐れ反乱を起こすのを未然に防ぎたかったためなのでしょう。しかし、それが裏目に出てしまったのかもしれません。すでにヴァンパイアに対し不満を抱いていたルシアン系ライカンたちは、ルシアンに従いヴァンパイアの奴隷でいることを捨てる決意をします。そして同種であるライカン同士の戦いは終わりました。
ルシアンとソーニャ
ルシアンとソーニャは互いに愛し合っていました。しかし主従関係にあった両者の間が認められるわけがありません。ルシアンはヴァンパイアの中ではいつまでも隠れて逢わないといけない関係に我慢できず、ソーニャに外に出て自由になろうといいますが、日光に対する心配もあったのでしょう城に残ることを強く希望していました。同じころタニスに二人の関係が知られることとなりますが、賢いタニスはビクターにそのことを報告したところで、自分の身を危険にさらすだけで何の得にもならないと考え、ルシアンにだけ自分が知っていることをほのめかします。そしてルシアンが処刑される前、そのことをソーニャに知らせ議会の議席をもらうかわりに、ルシアン脱獄の手助けをします。
ルシアンとソーニャの間には子どもができていたようです。脱獄後ソーニャを迎えに戻ってきたルシアンもこの時に初めて知りました。ソーニャはビクターに子どものことを言って慈悲を請いましたが、かえってそのことがビクターの決心を固めてしまったようです。ルシアンだけでなくソーニャにも裏切り者として死刑が言い渡されます。ビクターにとっても苦渋の選択だったようですが、ライカンと愛し合っていたというだけでも罪は重いのに、おなかに得体のしれないものを宿しているということで余計に罪が重いとされ、ソーニャにも死刑が宣告されます。自分の娘でもあるソーニャを死においやったビクターを恨みライカンとヴァンパイアの戦いがはじまります。
ルシアンは本当にソーニャを愛していたようで、ソーニャの首飾りを何世紀にもわたってずっと身に着けていました。マイケルがビクターとの戦いで死にそうになった時も、敵であるセリーンに「マイケルを助けたければ噛め」進言しています。セリーンとマイケルに当時のソーニャと自分の姿を重ね、倒すことより愛し合う二人を助けたいという思いが勝ったのではないでしょう。
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