王道ラブコメ
ラブコメ
今じゃラブコメと言えばトラどら!と言っていいほど、王道のラブコメなので
メインキャラクターには好きな人いて、悩みもあって、そんなありきたりな話かと思いきや、
意外と深いのがこのアニメの特徴です。
キャラクターには過去があるため、シリアスなシーンもあって当たり前ですが、
それが非常に少ないのにも関わらず、話の内容がしっかりとしているんですね。
語りすぎず理解できると言う、1人のキャラクターを語りすぎない珍しいアニメと言えます。
キャラクター同士の関係や立場なども、もちろん関わってきますが、
表情、台詞、すべてがリアルなんですね。
最初は少女漫画の様な展開で、恋する少女を中心に日常が描かれていて、
正直、先の展開を期待できないほのぼの日常アニメだと思いました。
その考えから、私の中でこれは他の作品とは違う、おもしろいアニメだ、と変わったきっかけは
女子同士が本音をぶつけ合ってケンカをするシーンを見てからです。
どのアニメでも女子同士のケンカくらいあるかもしれませんが、このアニメの場合
口喧嘩だけでは収まらず、暴力にまで達しているところに魅力を感じました。
普段思っていることを、女子らしい言葉使いとは言えない口調で、殴りながらケンカする、
綺麗事にしないリアリティのあるアニメは他にないと思います。
キャラクターだけで売れたアニメだと思っていたので、ケンカのシーンを見た時は、
売れた理由が納得できたし、これが王道というのにも賛成でした。
絵柄からかもしれませんが、そんな女の戦いにリアリティのある作品でも、
男性ファンの方が圧倒的に多いのもこのアニメの特徴です。
最後にはタイトル通り大河と龍二がくっつきますが、このあたりが急展開でとても驚いたのを覚えています。
タイトルから、この2人はくっつくんだろうな、と感じる人も多かったでしょうが、
だいたいこのようなアニメでは、どちらかが何らかのきっかけで恋心を自覚し、
その気持ちが大きくなり伝わって両思いになるというパターンがほとんどである中、
なかなかお互いが、最初から好きだった人をずっと追いかけていたこともあり、
好きだと気付くのに時間がかかったため、まだくっつかないの?と焦ったものです。
展開が遅すぎて、このまま進まず友情で終わってしまうのではと心配までしていたため、
お互いが好きだと気付いた時のシーンはとても感動しました。
曲とのマッチング
2クールあるうちのオープニング、エンディングは全て流行りましたが、
どれもキャラクターの心情にマッチングしすぎていて、感動した人も多いのではないでしょうか。
1クール目のオープニングテーマは、早口で明るい曲調だったため、
日常シーンがメインだった1クール目にはぴったりで、恋に勤しむ少女の心情が表現されています。
ですが2クール目のオープニングになると、突然落ち着いた雰囲気で
季節が冬であることもあり、なんだかシリアスを物語る曲になりました。
1クール目の「好きだから付き合いたい!」といった明るい気持ちだけでなく
「好きだけど・・・」と恋への壁に突き当たり悩む少女の気持ちが表現されています。
エンディングテーマの「オレンジ」では、
ゆったりとしたテンポに、自分をオレンジに見立てた切ない歌詞がまた視聴者の心を奪います。
オレンジを自分に、光を好きな人にすることで、憧れを抱き、歌詞通り
理想や夢は膨らむばかりで、それに気づいてほしいという気持ちが痛いほど伝わってきます。
少し食べてみたけど、まだ酸っぱくて泣いた。の歌詞では、
今の私じゃ、まだあなたに振り向いてもらえない、今のままではダメだ。と努力する姿が見えたことと思います。
アニメの進み方と、その時の心情をうまく表現している良い曲がたくさんあるのも、
その曲だけでキャラクターの前向きな気持ち、恋心、悩みが含まれているのも珍しいと思います。
ハッピーエンド
主人公たちがお互いの気持ちに気付いたあとは急展開で話が進んでいきます。
家出もそうですが、プロポーズしたりと、まだ現実をわかっていない高校生らしい考えなのも、
視聴者の共感を得たことと思います。
ですが、家出をしたままアニメを終わらすわけにもいきません。
大河は親と和解したことによって、何も言わずに龍二のもとから姿を消してしまいます。
このあたりが、急展開の中でも急展開で、頭の中を整理するのに時間がかかったことでしょう。
大河がいなくなったあとは、学校に戻るしかなくなり、
何も出来ない、救えなかった自分を悔やんだまま生活を送ると思いきや、
友人の支えと、大河から送られてきた星の写真から、自信を持って大河を待つことに決めますが、
このあたりがあっさりしすぎていて少し残念でした。
この先は特に大きなエピソードなく、卒業式になります。
お互いをきっと信じてきたため、再会自体には不安はなかったでしょうが、
再会の約束もなく信じてこれたのは素敵なことだと思います。
そして最後には大河と再会し、ここでも多くを語らず、綺麗な終わり方です。
ラブコメといってもここまで深く、満たされる作品は他に無いので、何度見返しても癒される作品だと思います。
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