テレプシコーラ二つの謎
ダ・ヴィンチにて長期に渡って連載された「テレプシコーラ」
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ダ・ヴィンチにて長期に渡って連載された「テレプシコーラ」
憧れの夢の世界から過酷な現実へかつて、実在するロシアのバレエ団を舞台にした長編バレエ漫画がありました。美しい登場人物たちによって織りなされる華々しい物語に、当時の少女たちは夢中になったものです。それから30年を経て、時代と場所を日本に移して描きだされたバレエの世界は、実に過酷で残酷な現実を浮き彫りにしたものでした。作者の山岸涼子氏は、その長い作家人生でたくさんの長編・短編・エッセイ漫画を著してきた方なのですが、ねっとりと纏いつくような心理描写では、他者と一線を画す表現力をお持ちです。ファンタジー・伝奇・歴史・ホラー等など、これまでに発表されたジャンルは多岐にわたりますが、凍てつくような恐怖や、人を精神的にじわじわと追い詰め、狂気に囚われるプロセスを描かせたら当代随一なのではないでしょうか。そしてその演出力は、この作品でも遺憾なく発揮されております。主人公が少女時代の第1部と、数年後の第2部...この感想を読む
魅了されるという事果たして、何かに魅了されるとは、どういう事なのだろうか。天賦の才能を与えられた千花が、怪我によって夢を絶たれ、バレエの道を諦める事を受け止められず、自ら死を選んでしまうほどに、どうしても惹き付けられ、焦がれてしまうということなのだろうか。天才・山岸涼子先生の描くこの作品には、様々な境遇の中で、それぞれに狂おしい程に、バレエに魅了され、翻弄される少女達が登場する。中でも第一部の主軸のキャラクターである千花は、誰よりもバレエの神に愛されていて、だからこそバレエに自身の全てを捧げて生きようとする。そして、そんな努力など一切報われないという話なのだ。だからこそそこには、世に蔓延るいわゆるスポ根漫画とは違い、リアルさが胸に響くのである。今でも私は、思い出すだけで、この漫画に心揺さぶられ、涙を流し、胸が苦しくなるのだ。正直、私には今までの人生において、そんなにも生涯をかけて魅了さ...この感想を読む
六花がバレリーナとして成長していくストーリーテレプシコーラ(舞姫)は、山岸涼子のバレエ漫画です。主人公・六花とその姉、千花の母親は、埼玉のベッドタウンでバレエ教室を営んでいます。母親は、二人の娘に幼少からバレエを習わせていますが、才能もあり、努力家、体格にも恵まれている千花の訓練に、母親は力を入れています。しっかり者の姉の陰で、序盤の六花は、のんびり屋の甘えん坊として描かれていますが、同級生の空美に触発されたり、千花の足の故障が長引いたり、様々な経験を経て、バレエダンサー、コリオグラファー(振付家)として、技術的にも精神的にも成長していく様が描かれています。テレプシコーラの一部は、六花が中学二年生までで完結します。六花、そして一歳年上の姉の千花も、プロダンサーとしては幼く、テレプシコーラはこの姉妹の学生生活もたくさん描かれています。その中で大きなテーマなのが「いじめ」ですが、読者をやり...この感想を読む