パイロットの親たちの心情に注目してほしい
「蒼穹のファフナー」では「生と死」「存在と無」といったように、対極的な2つの言葉がテーマとなっている作品です。ファフナーに搭乗する少年少女たちは命を削りながらフェストゥムとの死闘を繰り広げますが、放送当時はまだ幼いといってもいい中学生でしたので、少年少女がバタバタと命を落としていく様子は鮮烈でヘビーでした。しかし今振り返ってみると、少年少女たちを送り出さなければならない親たちの心情も理解できます。
どうしてもメインである主人公周りのキャラクターに焦点が合いがちですが、例えば主人公の真壁一騎に労いの言葉をかける史彦の心情に注目してやれば違った視点から物語を見ることもできます。父親の手一つで子どもを育てることの苦労、また最終決戦前には父親らしいことは何一つできていなかったなどの心情を垣間見ることもできます。他のキャラクターの親たちも同様で、それぞれの事情がありながらも自身の子を戦場に送り出すこと、それでも生還させるために精一杯のサポートを誓って行動している様子は、大人になった今になってようやく理解できたものです。
深く考えさせられるテーマをメインに扱っていますが、そのそばで「家族愛」というものも扱っているのがファフナーなのではないかと感じます。親としてできること、親だから何ができるのかといった子どもには分からなかった内容が、大人になって初めて考えることができわかるものです。
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